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目障りなのは…

「今度は間に合ったな。」

「レイス……!ナイスタイミング!」


私に視線を向けながら、微かに口の端を上げて笑うレイスの姿を見て胸を撫で下ろす。

腕を掴まれたジョンは驚きで固まっている。


「……それで?お前等、俺の妹と弟になにしてたんだ?」

「ひっ!レ、レイス・アストレア……!」


レイスの今にも人を殺しそうな目と、場の空気を凍らせるような冷たい声に、取り巻きの誰かが小さく悲鳴をあげる。他の男子達もさっきの威勢は何処へやら、ただ震えるだけになる。


「早く答えろ。何、してたんだ?」

「そ、その、お、俺たちは、何も……。ーーいっ!」


レイスはギリギリと、腕を握る力を強める。レイスに腕を掴まれたジョンは、痛みに顔を歪ませる。


「そんなわけないだろ。俺の目には、お前がこのグラスの中身をクロエにかけようとしていたように見えたけど?」

「そ、それは……。」

「……お前達がアストレア家にケンカを売った、と捉えていいか?」


レイスの言葉にジョンも取り巻きの男子達も青ざめる。


「ああ、ちょっと待ってレイス。」


そこへ、アルバートがいつも通りの笑顔でこちらにやってくる。しかしよく見ると、その目は笑っていない。


「この件は主催者である俺の責任だ。ここから先、彼等のことは任せてくれないかな?」


アルバートの言葉に渋々レイスは頷き、握っていたジョンの腕を離す。

アルバートの登場で場の空気がさらに張り詰める。


「さて、君達のおかげでパーティーが台無しだ。……俺の顔に泥を塗るのは楽しいかい?」

「も、申し訳ございませんでした!殿下!」


その言葉に息を呑んだジョン達は、物凄い勢いでアルバートに頭を下げる。


「謝る相手が違うんじゃない?聞いたよ?クロエとリオンに、よってたかって酷いこと言ったらしいね?……正直パーティーを台無しにされた事よりも、俺の大切な友人とその弟君を傷つけた事に怒っているんだよね、俺。」

「……ゆ、友人?」

「そう。クロエは俺の大切な友人だよ。……彼女を侮辱した罪は重いよ?」


いつもの優しい笑顔はどこにもない、ただただ、冷たい表情と声で話すアルバート。


ふと、私はアルバートが言った言葉に疑問を抱き、近くにいるレイスへと小声で尋ねる。


「私とリオンが酷いこと言われてるって、何で知ってるの?その時いなかったよね?」

「クロエ達がいた場所の近くで給仕をしていた人が、全部聞いてたらしい。それをアルバートと俺に一言一句漏らさず教えてくれたよ。」

「なるほど。」


レイスの話を聞き納得する。


「さて」


と、ひと息ついたアルバートはジョンの肩に手を置き、告げる。


「君達には今すぐここから出て行ってもらおうか。」

「そ、そんな……!」


ジョン達の顔はさらに青くなる。

アルバートが主催するパーティーで強制退場など、家のメンツが丸潰れだろう。彼等が家に帰って物凄く叱られのが、簡単に想像がつく。

本人達もわかっているのだろう、彼等は必死にアルバートに許しを乞う。


「殿下、お許しください!」

「……しつこいよ。ああ、こう言えばいいかな?クロエでもなくリオンでもない。君達が1番、『目障り』だ。……衛兵。」


アルバートの合図で、どこからともなくやってきた数人の近衛兵が、抵抗しているジョン達を半ば無理矢理、パーティー会場から連れ出して行った。

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