謝罪してもらえます?
「私の弟に、それ以上酷いこと言わないでもらえます?」
そう言いながら手を背後に回し、震えているリオンの手を優しく握る。大丈夫だよ、という意味を込めて。
突然割って入ってきた私に驚いたのか彼等は一瞬たじろぐ。しかし、すぐにまたニヤニヤと嫌な笑みを浮かべる。
彼等の中で1番爵位が高いのか、真ん中に立って一際偉そうにしていた男子が、一歩前へと出てきて馬鹿にしたように私へ話しかけてくる。
「ああ!これはこれは、誰かと思えば『まがいもの』の公爵令嬢、クロエ・アストレア様じゃないですか。俺はジョン・トーマス。トーマス伯爵家の長男です。……まあ、お前に自己紹介する価値ないけどな。」
(コイツ、わざとまがいものって所だけ大声で言ったな。)
彼はこのグループのリーダー的ポジションらしい。彼の言葉に同調するように、取り巻きの男子達が笑い出す。
どうやら完全に私を、見下しているようだ。
「呪われた奴に加えて、庶民の出の奴までいるなんて。どうやって王太子殿下に取り入ったんだ?それとも無断で紛れ込んだのか?どちらにしろ、目障りなんだよ。」
ジョンがそう言ったのを皮切りに、周りの男子達も私に対し次から次へと馬鹿にしたり、暴言を吐く。
しかし、所詮子供の悪口だ。私にはノーダメージである。しかし、リオンはそうではない。
握っているリオンの手はずっと震えている。
(私は平気でも、リオンの精神面的に悪影響だな。……さっさと黙ってもらって、リオンに対して謝罪してもらわなきゃ。)
彼等がリオンに向けて言った言葉を許すわけにはいかない。絶対に、リオンへの謝罪はしてもらう。
そう思い、彼等が一瞬黙った隙に口を挟む。
「私への侮辱、暴言に関してはどうでもいいのですが、先程リオンに言っていた聞くに堪えなかった言葉の数々、リオン本人に謝罪してもらえます?今すぐに。」
自分でも冷たい声が出たと思う。彼等から一切視線を逸らさず、そう言えば取り巻きの男子達は少し怯む。
私の態度が気に食わないのだろう、ジョンは苛立ちを隠さず声を荒げる。
「公爵令嬢になったから勘違いしているのか?偉そうに俺たちに意見をしているが、お前は庶民の血しか流れていない下等な人間だ!そんな奴が俺達高貴な人間に、生意気な口をきくな!」
「……人目につかない所で、1人に対し複数人で寄ってたかっていじめてる方々が、高貴な人間って。可笑し過ぎて笑ってしまいますね。」
「ーーっ!このっ!」
どうやら、私の言った言葉が癪にさわったらしい。
彼は持っていたグラスの中身を私にぶち撒けようとする。
(あー、アルバートの誕生日会の時も似たような事あったな。え、なに?貴族の子供の中で、気に食わない奴には飲み物かけるのが流行ってるの?)
飲み物をかけられるくらいどうって事ないと思い、心の中でそんなくだらない事を考えていたが、ふと、グラスの中身が目に入る。
(……って、ちょっと待って!そのグラスの中身、ぶどうジュースじゃん!それはダメだって、絶対シミになるやつじゃん!とりあえず避け、たらリオンにかかる!……あー、ダメだ間に合わない。)
お母様が選んでくれた服が汚れる事を覚悟し、目を瞑る。しかし、一向に濡れた感覚がやってこない。
恐る恐る目を開けると、レイスがジョンの腕を掴み阻止していた。
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