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喪失

もし、神様がいるのだとしたら私は嫌われているのかもしれない。



その日はいつも通り家の手伝いをした後、ゲルドおじさんの家で本を読んでいた。

すると突然近所に住むおばさんが慌てた様子で訪ねてきたのだ。


「クロエ!大変だよ!あんたの家がーー」



おばさんの言葉を聞いて急いで家へと帰ると、目の前には燃えている自分の家。

話によると、隣の家から燃え移ったらしい。


「お父さんとお母さんは⁉︎」

「まだ中に……」


その言葉を聞いて、おもわず燃え盛る家へと駆け出そうとする。しかし私の腕を、追いかけてきたゲルドおじさんが掴み引き留めた。


「クロエ!行ったらいかん!」

「でも、だって!中にお父さんとお母さんが!」

「お前まで死んじまうだろ!」


そう言うとおじさんは私を行かせまいとキツく抱きしめた。

私にはどうしようもできないのだと突きつけられた気がして、おじさんの腕の中で体から力が抜けていく。燃え続ける家を私は、ただ見ている事しか出来なかった。


そして、その日私は両親を失った。



消火が終わり、焼け跡から両親が運び出された。私はおじさんの手を振り解き、フラフラとおぼつかない足取りで横たわる2人へと近づく。

死因は煙による窒息死だったのだろうか、火事で亡くなったにしては外傷はなく、見た感じはまだ生きているんじゃないかと思ってしまう。


「起きてよ、お父さん、お母さん。目を、あけて、よ……ねぇ……おね、がい、だ、から」


声をかけても返事が返ってくるわけがない。そんな事はわかっていた。けど認めたくなかった。

目から涙が溢れてくる。

私はその場に崩れ落ち、父と母に縋りつきながら声を出して泣いた。



泣いて、泣いて、泣いてーー


正直その後のことは朧げにしか覚えていない。

心の整理がつかないうちに、両親の葬儀が行われることになりまだ幼い私の代わりに、ゲルドおじさんや近所の人たちが色々と助けてくれたのをなんとなく覚えている。


その後、私はゲルドおじさんや近所の人たちの勧めで街外れにある教会に併設されている孤児院へと身を置くことになった。

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