家族
3人で結婚記念日に何をプレゼントするか話し合いをした日から2週間後。
とうとう、両親の結婚記念日がやってきた。
「おめでとうございます、父様、母様。」
「おめでとうございます。」
私とレイスはそれぞれ用意したプレゼントを、両親へと手渡す。それを受け取った2人は嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとう。レイス、クロエ。」
「プレゼントまで用意してくれたのか。ありがとう。」
「開けてもいいかしら?」
「もちろんです。」
2人は早速私達の用意したプレゼントを開け始める。
まずはレイスのプレゼント。中身はどうやら高そうなワインだ。
「これは……。」
「父様と母様が結婚した年のワインです。お2人で飲んでください。」
「よく見つけたわね、レイス。」
「ありがとう、レイス。大切に飲むよ。」
(……6歳児が親の結婚記念日にワインって、いいのか?)
レイス本人が買いに行ったのだとしたら絵面的にアウトじゃないか?などと考えていると、顔に出ていたのだろうレイスが小声で私に説明をしてくれた。
「店を家に呼んだんだ。酒をこの見た目で買いになんて行けないだろ。アストレア家御用達の店だから、事情を話せば買うのも問題ない。」
「なるほど、店を家に呼ぶとか……。さすが公爵家子息。」
レイスの話に納得していると、お母様の嬉しそうな声が聞こえてきた。どうやら、私のプレゼントを開けたらしい。
「まあ、可愛らしいハンカチ!この刺繍はクロエがしたの?」
「はい。あまり上手くはないのですが、気持ちは込めました。」
「上手くないなんて。とても綺麗にできているわ。……見て貴方、それぞれのハンカチに私達のイニシャルと、可愛らしい鳥が刺繍されてるわ。」
「本当だ。よくできているよ、クロエ。コレも大切に使わせてもらうよ。」
そう言いながらお父様は私の頭を撫でる。お父様もお母様も喜んでくれたみたいで良かった。
けれど、プレゼントはあと1つ残っている。
「お父様、お母様。もう1つプレゼントがあるんです。」
「そうなの?」
「それは、楽しみだな。」
その言葉を聞いて、私とレイスは顔を見合わせ頷き合う。そして2人で扉の前まで歩いて行き、左右の扉のドアノブを片方ずつ握る。
私達の行動の意味がよくわからないのか、お父様とお母様は首を傾げている。
「最後はこの子からのプレゼントです。」
レイスへ目で合図を送り、息を合わせて両方の扉を開く。
扉が開いたその先には、サルビアの花束を両手に抱えたリオンが立っていた。
リオンがプレゼントを用意しているとは思ってもいなかったのだろう、お父様もお母様も驚いて目を丸くしている。
そしてもう1つ。本命のプレゼント。
リオンが微笑みながら口を開く。
「結婚記念日、おめでとうございます。「お父様」「お母様」」
その言葉を聞いた瞬間、両親の目に涙が浮かんだ。お母様はリオンに駆け寄りギュッと抱きしめ、お父様もゆっくりとリオンに歩み寄りお母様ごと抱きしめた。リオンは嬉しそうに笑って、2人を抱きしめ返している。
3人でプレゼントの話をしたあの日、リオンは花束と、2人を「お父様」「お母様」と呼ぶ事をプレゼントにしたいと、私とレイスに言ってきた。
実はリオンも両親の事をずっとそう呼びたいと思っていたらしいのだが、どのタイミングで呼べばいいのか分からなくなっていたらしい。
それはきっと喜ぶと私とレイスは口を揃えて賛成し、このサプライズが決まったのだ。
ちなみに花束はの花はリオンが一生懸命、花言葉を調べ選んだもの。
サルビアの花言葉は「家族愛」
今の状況にピッタリだ。
抱き合っている3人の様子をレイスと2人で見守っていると、お父様がこちらを見て私達を手招きをする。
「おいでだって、レイス。」
「……しかたない。普段なら絶対にしないけど、今日くらいはいいか。」
若干恥ずかしそうに言うレイスと一緒に、3人の元へと向かう。近づいた瞬間、お父様に纏めて抱きしめられた。
この日、私達とリオンは本当の家族になれた。
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