結婚記念日
リオンがアストレア家に来て2ヶ月ほどがたった。
私とレイスにはだいぶ慣れ、朝食、夕食以外でも3人でよく話をしたり昼食を一緒に食べたりと、一緒に過ごす時間も増えた。
けれど、お父様とお母様とはまだどこか距離がある。話す時もどこか緊張ぎみで、いまだに「クラウド様」「クラリス様」と呼んでいる。
そう呼ばれるたび、お父様とお母様はどこか寂しそうだ。
そんな状態が続いていたある日。
「そう言えば、もうすぐ父様と母様の結婚記念日だな。」
私、レイス、リオンの3人で午後のティータイムをしていた時、突然レイスが独り言のように呟いた。
「……初耳なんだけど。それって、いつ?」
「2週間後。」
「もう、すぐじゃん!何で言ってくれないかな……。」
「俺も今思い出した。」
そう言いながらレイスは優雅に紅茶を飲んでいる。そんなレイスを思わず恨めしげに見つめてしまう。
「……それで?いつも何かしてるの?パーティーとか?」
「いや、特別なことは何も。ただ俺は、プレゼントを渡したりしてるな。」
「プレゼント……。例えば?」
「去年は父様と母様の為だけにバイオリンを演奏した。」
(……さすが、チートイケメン。やることが違う。)
レイスの答えに、思わず苦笑いをしてしまう。
それにしても、プレゼントか……。何をあげたらいいものかと、私は頭を悩ます。
前世の両親にはお揃いの食器なんかをあげていたりしたが、何せ今の両親は貴族。何をあげたらいいのか全く見当がつかない。
「クロエがあげるものなら何でもあの2人は喜ぶよ。……例えば、そうだな。クロエが刺繍したハンカチ何かはどう?」
頭を抱えているとレイスが、思ってもみなかった提案をしてくれる。
(………刺繍入りハンカチか。)
高いものではないが、手作り感もあり気持ちも込めやすい。2週間しかないので凝った物はできないが、あの2人ならきっと喜んでくれるはず。
「そうだね、私はそれにする。今日から頑張って完成させるよ。ありがとう、レイス。」
「どういたしまして。」
そんなやりとりをしていると、今まで黙っていたリオンがおずおずと口を開く。
「僕も、何かプレゼントしたいです……!」
リオンが自らそんな事を言い出すとは思っても見なかった。けれど、そんなリオン自身の変化がとても嬉しい。
「いいね。リオンはお父様とお母様に何をあげたい?」
「えっと……その……プレゼントを渡すのは初めてで……。」
「リオンからのプレゼントも何でも喜ぶけどな、あの2人。」
「……本当ですか?」
「ああ。」
レイスの答えを聞いて、考え込むリオン。暫くして、何かを思いついたのかパッと私達の方へ顔を向ける。
「あ、あの、例えばーーー」
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