表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/63

兄様、姉様

リオンが私達と朝食を一緒に食べれるようになって、数日がたった。今では朝食以外にも夕食やティータイムなども一緒にできるくらいまで慣れてきた。

それに私達との会話も増えて、それほど緊張もしなくなったみたいで安心している。


「リオン、だいぶ慣れてきたね。」

「そうだな。これもクロエがきっかけを作ったからだな。さすが。」

「そんな事ないよ。リオンの勇気とお父様、お母様、レイスの優しさのおかげ。」


夕食後、私は自室でレイスと紅茶を飲みながらそんな会話を交わす。

こうして夜レイスと2人で話すのは日課になっている。前世での話やマジスクの話など、気軽に話が出来るこの時間がとても心地いい。


「そろそろ、寝る時間だな。」

「本当だ。時間経つのはや。」


時計に目を向ければ、いい時間だ。レイスと話をしていると、あっという間に時間が過ぎる。


「それじゃあ、俺は部屋に戻っーー」


そう言いながらレイスがソファから立ち上がった時、部屋をノックする音が聞こえた。


「?どうぞ?」


こんな時間に誰だろう?と思いながらも入室の許可を出す。

そーっと開いたドアから顔を覗かせたのはリオンだった。


「リオン?」

「え?あ、レイス様……?」


レイスもいると思っていなかったのか、驚いた表情のリオン。

そんなリオンに何かあったのかと思い、優しく声をかける。


「リオン?どうしたの?」


私の問いかけに、ハッと我に返ったリオンは少し遠慮がちに小さな声で話し出す。


「あ、あの、今日は……その、また一緒に寝てほしくて。」

「また、眠れない?」


そう聞けば、小さくコクリと頷くリオン。


「いいよ。一緒に寝よう。」


そんな私とリオンの会話を黙って聞いていたレイスが、突然口を開く。


「俺も今日はここで寝る。」


その言葉に私とリオンは目を丸くしてレイスを見る。レイスはいつも通り無表情だ。


「いや、突然すぎでしょ。」

「ダメか?」

「いや、別にいいけど……。」

「じゃあ、決定な。」


そう言うと、レイスはリオンに向かって話しかける。リオンは驚きすぎて固まっている。


「リオンもいいか?俺も一緒に寝て。」

「……!も、もちろん、です。レイス様。」


話しかけられて我に返ったリオンは、戸惑いながらも了承する。その答えにレイスは満足そうに頷いた。


寝る支度を済ませて、3人寝てもまだまだ広いベッドへみんなで横になる。

リオンを真ん中にして、左にレイス、右に私の並びだ。若干、リオンは緊張気味だ。


「…….1つ、ずっと気になってたことがあるんだけど。」


レイスが私とリオンの方を向きながら、静かな声で突然そんな事を言い出す。


「なに?」

「……なんでしょうか?」

「リオン、なんで俺達のこと「レイス様」「クロエ様」って呼んでるんだ?」


そう尋ねられたリオンはビクッと肩を震わせる。


「ご、めんなさーー」

「いや、怒ってるんじゃなくて。」

「そうそう、リオン。レイスは怒ってないよ。」

「……え?それじゃあ……?」


不安そうに私とレイスの顔を交互に見るリオン。そんなリオンの頭をレイスはそっと撫でる。


「リオンは俺達の弟なんだから、俺達の呼び方は「兄さん」「姉さん」じゃないか?」

「あー、それ私も思ってた。クロエ様、とか他人みたいだなって。」

「え?」


そんな事を言われると思っていなかったのか、リオンは驚いた表情で私達の顔を見る、しかしその後視線をずらして黙ってしまう。

そんな様子のリオンに、レイスと私は優しく声をかける。


「嫌ならいいんだ。」

「そうそう、無理に呼んでとは言わないよ。リオンが呼びやすいように呼んでくれればいいから。」


そう言うと、リオンは視線を外したまま首を横にフルフルと振る。

そして泣きそうな声で話し始める。


「……ぼ、僕が、僕なんかが、お2人をそう、呼んでも、いいんですか?」


その言葉に、今度は私とレイスが驚く。思わず2人で顔を見合わせて、その後リオンへと視線を向ける。


「当たり前だよ、リオンは私達の大切な弟だもん。むしろ、そう呼んでほしい。」

「……なんでそんな風に思うんだ?」


そうレイスに問いかけられたリオンはゆっくりと体を起こし、私とレイスの方へ向く。その目には涙が溜まっている。

私とレイスも慌てて体を起こし、何かを話そうとしているリオンの言葉を待つ。


「……だって、こんな、見た目の気持ちの悪い僕が、お2人を……。クロエ様は、呪いじゃないって言ってくれた、けど、でも、やっぱりみんなと、違う、ぼ、くは、お2人の弟に、相応しく、ない……」


そう、言いながらリオンは涙をぼろぼろと零す。私はそんなリオンの涙を前の時と同じように、服の袖で優しく拭う。レイスは落ち着かせるようにリオンの背中をさすっている。


「……リオン、誰が気持ち悪いなんて言ったか知らないけど、私達はもちろんお父様とお母様、この屋敷の人たちは全員そんな事を思ってないよ。」

「ああ。むしろ初めて見た時、雪のように白い綺麗な髪だと思っていた。」

「私も。天使みたいに綺麗な子だなって思ってたよ。」


私達の言葉にリオンは驚いたようで一瞬涙が止まるが、また不安そうに顔を歪める。


「でも、髪以外にも、僕は、目の色が……。」

「とても綺麗だよ?それに私達とお揃い。」

「……え?」


何のことかわかっていない、リオンは首を傾げて私達の顔を見る。


「右が私の目と同じで、」

「左が俺の目と同じ色。お揃いだろ?」


私とレイスは自分達の瞳を指差しながら、リオンに笑かける。リオンはその言葉を聞いて、また涙を浮かべ始める。


「私達とお揃いは嫌?」


冗談混じりにそう問い掛ければ、リオンは勢いよく首を横に振る。


「う、れしい、です……!」


そう答えた瞬間、リオンは声を上げて泣き出した。そんなリオンを抱きしめて落ち着かせるよう背中をさする。レイスは優しくリオンの頭を撫でている。



暫くしてリオンが落ち着いたようなので、抱きしめていた体を離す。


「落ち着いた?」

「……はい。」


リオンは自分の服の袖で涙を拭いながら頷いた。その顔はどこか付き物が落ちたようだった。そんなリオンの様子を見てレイスと2人、安堵する。


「それじゃあ、そろそろ寝るか。もう遅い。」


レイスの一言で、改めて3人仲良くベッドへと横になる。

すると、リオンが小さな声で私達に話しかける。


「……僕はアストレアの、皆さんの、家族にちゃんとなれますか?」

「なれる。というか、もうなってる。」

「……血が繋がってなくても?」

「そんな事を言ったら、私も血は繋がってないよ。リオンと同じ養子だからね。」

「そうなのですか?」


私が養子という事に驚いたのか、リオンは目を丸くして私を見つめる。


「うん。だけどみんなも私も家族だと思ってるよ。血の繋がりは関係ないんじゃないかな。」

「……そう、ですね。」


そう答えれば、リオンは少し嬉しそうに呟いた。


「そうそう、だからリオンも気軽に私とレイスを「お姉ちゃん」とか「お兄ちゃん」って呼んでね。」

「気が向いたらでいいからな。」


そう言って私とレイスが寝ようとした時、リオンが小さな声で私達に話しかけてくる。


「……手を繋いで寝てもいいですか?……兄様、姉様。」


そう呼ばれた事に驚いてリオンの顔を見れば、少し照れたような表情でこちらを見つめていた。私とレイスはお互い顔を見合わせて、思わず笑ってしまう。


「「もちろん。」」


レイスと声を揃え、リオンの可愛らしいお願いに応える。手を握ればリオンは嬉しそうに微笑んだ。

それぞれお互いにおやすみと声を掛け合い、私達は仲良く手を繋いで眠りに落ちた。

読んでいただいき、ありがとうございました。

ぜひブックマーク、下の評価をよろしくお願いします!

していただけると、とても嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ