ホットミルク
リオンを慰め、話をしていたら既に時計は夜の1時を指すところだった。
「そろそろ、寝なきゃ。」
私のその言葉に、リオンがピクリと反応する。
リオンの瞳は不安そうに揺れている。
「……眠くない?」
リオンは無言で頷く。
「そっか。……じゃあ私と良い物、飲みに行こうか。きっと良い夢が見られるようになるよ。」
そう言いながらリオンを部屋の外へと連れ出した。不安そうなリオンの手を優しく握り、私はキッチンへと向かう。
静かにキッチンの扉を開ける。
こんな夜中だ、流石に誰もいない。
未だに不安そうな顔をしているリオンを近くのイスに座らせ、私は慣れた手つきで必要な物を揃えていく。
なぜこんなに手慣れているのかと言うと、たまにここでお菓子なんかを作っているからだ。
最初は公爵令嬢にそんな事させられないと使用人のみんなに止められたが、(前世の)母の思い出のお菓子が作りたいと頼み込んだら同情を買い、たまにならと言う事でOKをもらえた。
ちなみに腕前はまあまあだと思う。前世では母の代わりに時々料理もしていたし、味はレイスにお墨付きをもらっている。
「牛乳と蜂蜜。あとは牛乳を温める鍋……このくらいの大きさでいいかな?」
2人分の牛乳を鍋に入れ、火にかける。
ちょうどよく温めたら、マグカップに移し蜂蜜を入れよく混ぜる。蜂蜜を少し多めに入れるのが私のこだわりである。
完成したものをリオンに手渡す。
「はい、少し熱いから気をつけてね。」
「これ、は?」
「私特製、ホットミルク。口に合うと良いんだけど。」
ホットミルクは前世の母が眠れない時によく作ってくれていたもので、それを飲むと不思議とよく眠れるのだ。
リオンは暫くホットミルクを見つめた後、恐る恐るカップに口をつける。
「……おいしい、です。」
ほぅ、と息をつくリオン。
(良かった。気に入ってもらえたみたい。)
そんなリオンの様子を見ながら、私もカップを口へと運んだ。
ホットミルクを飲み終え、私達はリオンの自室へと戻ってきた。
「さて、本当にもう寝なきゃ。さ、リオン、ベッドに入ろう?」
そう言うと、リオンはまた私の服の裾を軽く掴む。まだ、眠るのが怖いらしい。
少し考えて、私はリオンのベッドへと潜り込む。不思議そうに私を見つめるリオンに手招きをする。
「……それじゃあ、一緒に寝よう!おいで、リオン。」
「いいの、ですか?」
「もちろん。リオンが嫌じゃなければ。」
そう言えば、少し戸惑つつもいそいそとベッドへと入ってくるリオン。
私の隣へ横たわると、少し照れたように可愛らしいお願いをしてくる。
「……手を握っても、いいですか?」
「もちろん。……おやすみ、リオン。」
「おやすみ……なさい……」
連日の寝不足と、泣き疲れたのだろう。リオンの手を握ると彼は安心したように、すぐに眠ってしまった。その様子に安堵し、私も眠りについた。
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