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一悶着

中庭から大広間へと戻ってきた私達は、それぞれの家族を探すため、辺りを見回す。


「あ!お父様、お母様!」


先に自分の両親を見つけたのはサラだった。


「早く戻ってあげて。きっとサラのこと心配してるだろうから。」

「ええ、そうさせてもらうわ。……本当にありがとう、クロエ。このハンカチもちゃんと洗ってお返しするわね。」

「ああ、そのハンカチよかったら貰って?」

「え?でも……」

「その猫の刺繍気に入ってくれたんでしょ?」

「なんで、わかったの?」

「だって、ずっと指で撫でてるから。」


そう指摘するとサラの顔がほんのり赤く染まる。きっと照れているのだろう。


「そんなに撫でていたかしら…。」

「うん。優しく大切そうにね。だからそのハンカチはプレゼント。」


私が渡したハンカチを大事そうに握っているサラの手を包み込みそう言えば、サラはパァと明るい笑顔になる。


「ありがとう、大切にするわ。……このお礼はいつかさせてね?」

「うん、楽しみにしてる。」

「それじゃあまたね、クロエ。」


笑顔でそう言うと、彼女は少し離れた場所にいた両親の元へと向かって行った。

私は見送っていた彼女の背中が見えなくなったところで、ほっと一息つく。


(気づかなかったとはいえ、まさかゲームの主要キャラとまた友達になるとは……後でレイスに相談だな、コレは。)


内心苦笑しながら、私も両親とレイスを探すため歩き出そうとした時。


「ちょっとそこのあなた!」


気の強そうな高めの声に呼び止められる。

面倒くさい予感しかしないが、明らかに私に向けられているその言葉を無視できず、恐る恐る振り向くとそこには数人の女の子達が私を睨めつけながら立っていた。


その顔ぶれにはなんとなく見覚えがある。先程両親と挨拶まわりをした時に会った子達だ。

名前とかはあまり覚えていないが、女の子達の中心にいる私に声をかけたであろう子は、確か侯爵家の御令嬢だ。


「えっと……私に何か?」

「……あなた、公爵家の養子になったからって調子に乗っているのではなくて?先程も王太子殿下とお喋りしてましたけど、庶民の出であるあなたには身分不相応よ!」


その侯爵令嬢の言葉に彼女の取り巻きであろう周りの子達は頷いて同意したり、私に蔑んだ視線を送ったり、クスクス笑っていたりしている。


そうコレはよく漫画とかで見るアレだ。


(もしかしたらあるんじゃないかと思ってたけど、本当にあるとは……。)


正直こんな事は想定内だ。私の立場をよく思ってない人達は絶対にいるとわかっていたから、こんな事が起きるんじゃないかと予想していたので、私にはノーダメージである。


(さて、どうしようかな……。どう切り抜けるのが1番面倒くさくないかな?)


そんな事を考えながら、黙って相手が捲し立てる言葉を右から左へと流す。


「公爵様にどうやって取り入ったのか知りませんけど、あなたは所詮庶民!この様な高貴な場にいて良い人間じゃないのよ!庶民臭くてたまらないわ!」


(何というか……すっごいテンプレ的だなこの子。ていうか、この歳でこれだけ性格悪いとか将来心配だわ。)


無表情のまま呆れていると、おもむろに侯爵令嬢は近くのテーブルの上にあったグラスを持ち、中に入っていた水を私のドレスにぶち撒けた。


「ふふふ、これで少しは庶民臭さが薄まったのではなくて?」


嫌味ったらしく笑う彼女に同調する様に、取り巻きの子達も私を馬鹿にする様に笑い出す。


流石にクラリス様……お母様が選んでくれたドレスを汚された事に苛立ちを覚えて、言い返そうと口を開こうとした時、後ろから声をかけられる。


「お前たち、一体何をしているんだ?」


その声に振り向くと、いつもの無表情なのに目には殺気がこもっているレイスが立っていた。

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