閑話休題―一
Tips : この世界には、「魔法陣がみえそう」という、雑や粗が目立つこと全般を指すスラングがある
「文字が書けない?」
「……すいません」
穂香が目の前にいるジーニアに対して、申し訳なさそうな顔をする。
一方、ジーニアは、お気になさらずと言いたげな表情で笑っていた。
「いえ、構いませんよ? 本人が必ず書く必要のある書類ではないので。かわりにカオルさんが書いていただければ」
「だったら、僕が代わりに書きますね」
「……ホノカさんにカオルさん。――名前から察するに、西国出身みたいですが、あの国って唯一文字が違う地域じゃないですか? なので、場合によっては、西国以外の地域の文字を書けない人もいるんですよね」
「――そ、そうなんですよねっ」
「私の友人にも、西国出身の方がいるのですが、最初は手間取ったという話をしていました。なんで教えてくれなかったのよ! あの母親! みたいな感じで、今でも時たま愚痴をこぼしていますし、根にも持ってるみたいですよ」
その後、僕が書類に必要事項を記載している傍ら、ジーニアが拳を握った左手を口元に当てて黙り込み、何かを考え始める。
「そういえば……」
「どうかしたんですか?」
「いや……案外その子と知り合いだったりするのかなあと思いまして」
「「……え?」」
「年齢も近そうですし、もしかしてご友人だったり!」
「「うっ」」
「今のところ名前は伏せておきますが、出会ったときに想い出トークで盛り上がるかもしれませんね!」
「「……」」
「あれ、お二人ともどうなされて――」
「「…………」」
「……地雷でした? 顔が少し――」
「「………………」」
「あのなんか言ってください! 」
「「地雷でも何でもないです!!」」
申し訳なさとバレる恐怖で胃がめちゃくちゃ痛んだ。
Tips : 「「(— × —)」」 ←本当はこんなことやりたかった
西国は結構広いので、知り合いとか云々のせいでバレる心配はないです。
今後閑話休題があるのかは謎。(ギャグ要素というわけではなく、進行上、入れるタイミングがなかった内容をぶち込むというのが主なためです)