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僕は君達に追放された ~ Evil should be puNis|he|D ~  作者: 江川無名
第一章 「イセカイ」
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第二話 一対多の交戦

Tips : 何かを知るということは、何かを失うということでもあるのかもしれない

 追放――いや、寧ろ解放されてから、数時間が経過した。今の時刻は、地球でいう正午付近に当たりそうだ。


 今は正午であるが、陽が地平線から姿を現した頃に、山を下り終えてはいた。

 そして、山を下りてすぐ目の前にあったのが、外壁がなく全体を通してみても、開放的なイメージを持つ街――<リベル・ボルム>。


 朝早くであったことから、人通りは少なくゆったりとした時間が流れていた。

 穂香がある事実に気が付くまでは。


「ああ! この世界のお金が、ない!!」

「……ああ、随分と短い命であった。僕はこの世界に爪痕を――」

「ふざけたこと言ってないで、何とかするの! 情報集めは、見知らぬ土地で最初にやること。基本はやっていかないと! 元の世界に帰る前に死んじゃうから!」 

「ちょっ、穂香。耳引っ張らないで痛いから。分かってる分かってるから!」


 そんなやり取りを皮切りに、僕達は様々な人からこの街の情報とこの世界の情報を尋ねることにした。


 尋ねるにしても、言葉が通じなければ意味がないという不安もあったが、その不安は杞憂に終わった。不都合なく言葉が通じたためだ。


 言葉が通じたのは奇跡といえるだろう。ただ、<リベル・ボルム>以外はどうなのかはまだ分からない。

 因みに、文字は僕しか読み書きができなかった。



 情報を集める際、酒場に近しい場所に、午前九時頃に訪れることになった。

 そこにいた受付嬢に、金がないなら依頼を受ければいいと言われたため、今日は一日中、依頼をこなすことになった。

 

 依頼を受けるためには、ちょっとした手続き――機関登録なるものらしい――が必要らしく、手続きに時間を要したものの、朝早くの段階から、生きるための術を手に入れたことは、嬉しい誤算といえる。


 お金が欲しい理由は、最初は死なないためであったが、情報収集時に、服装が悪目立ちする、この世界のことを知ることができる本が欲しい、等も追加されることになった。


 依頼を受けるにあたって、ジーニアの助言によって、魔物の討伐依頼は、基本的に報酬がいいことが明らかになってはいたが、最初は、僕が魔法を使えないという理由から、その類の依頼を受けないようにしていた。


 ところが、依頼をこなしている途中で、魔法に関する説明がなされた古書の購入に成功。

 穂香の使える魔法が支援魔法なるものと確定したため、とある戦略を用いて、魔物たる存在を倒そうと画策することになる。



 しかし、討伐方法が、穂香が僕に向けて支援魔法を放って物理で殴る、というあまりにも原始的であったため、案の定、非効率的であったことが分かり――そして、今に至る。




 雲が殆どない青空の下。太陽(?)の眩しさと風の涼しさが、体感温度をバグらせる。

「今のところ、この討伐方法しかない……んだけど。……それに、魔力だったっけ、エネルギーだったけ? とにも、かくにも、それの枯渇速度が速すぎて……効率が、悪い……ね」

「一応エネルギーだってことは言っとく。――魔物討伐は行わないってことで、一旦この件は終わろう」

「そう、だ、ね……」


 ほかにも、魔物討伐を行わないという判断に至った理由はある。


 相手は、人を襲うことはなく、この周辺ではかなり弱いとされる魔物。しかし、人の生活に迷惑をかけてしまうため、討伐しなければならない存在だった。


 その魔物たちも防衛するための術は持ち合わせていたが、弱いことに変わりはない。

 にもかかわらず、右腕に包帯を巻かなければならない程――穂香の過剰反応もないわけではない――の怪我を負わされたのである。

 

「はぁ……はぁ――」

「息切れ、大丈夫?」

「……ただの疲労だから、気にしないで」


 穂香の極度な息切れに心配を覚えるが、それよりも問題視すべき状況が発生していることに気が付いてしまった。

 包帯が巻かれた右腕をさすりながら、僕は前方にいる大量の魔物を睥睨する。



「――――!!」

 


 前方凡そ百メートルの位置にいる魔物の咆哮。

 その魔物は、長く鋭利な二本の牙――さながら、サーベルタイガーのような姿で、肉を食い千切るためにうみだされたと思われる、恐ろしい武器をむき出しにしていた。



「あー、朝の発言はフラグってやつだったのかー」

「そんな、こと。言ってる場合じゃないでしょ……! この状況は……どうしたものだろうって……感じだね」

「逃げる一択。でも――」


 同一個体の魔物が群れを成して、九十、八十と距離を縮めてくる。目視だけでも二十体は優に越えていた。


 僕達は一歩ずつ後ずさっていく。

 広き草原を異質が進む。規則を知らぬと堂々と。魔物の四本の足が規則正しく、多くの足が不規則に、地面をたたきつける。

 敵愾心を感じはしないが、僕と穂香を襲おうとしていることはまず間違いない。


 魔物たちが持つ感情は一つ。



 殺意。



 単純で明確なその感情だけを持ち、それ以外の感情を全て置き去りにしているようにさえ思えた。


「走って……」


 走って逃げる。


 これが出来れば良いだけなのに、底知れぬ殺意が恐怖へ誘う。足が竦み、歩く事がやっとの状態だった。

 さっきまで戦っていた魔物とは、わけが違う。どんな魔物か知らないが、それだけははっきりと言えた。


「…………はぁ、はぁ、はぁ」

 それに、どうやらこの世界に存在する理には反せないらしい。

 穂香の息切れの原因と考えられる、この世界で生きるために必要なエネルギーの使い果たし。


 立っているのがやっとに見える。走るのは難しいだろう。



 彼女を守るためには、自分が動くしかない。



「穂香、肩を貸すから……」

「はぁ……ありがとう、薫」

 穂香の右腕を自分の首にかけ、恐怖で棒になりかけの足を動かす。

 しかし僕達が、一、二と離れる間に、魔物は、五十、四十と、紅く染まった双眸で、僕達を睥睨しながら詰めかけてくる。



 魔法が使えたら、魔物を倒せるかもしれないのに。



 自分自身ではどうしようもない悔いを背負いながら、全力で足を動かし続ける。

 しかし、現実において、希望も理想も期待も、儚いものでしかない。



「――――――――!!」



 地面を揺らし、鼓膜を破らんとするほどの咆哮とともに、一体の魔物が美しくも凶暴な牙を僕達に向ける。

 開いた口から、透明な粘性のある液体を、滝のように地面に落としながら。


 そして、その魔物が持つのは殺意ではないと、近づいて分かった。

 


 それは――欲望。



 潰したい、千切りたい、砕きたい。目の前にいる存在をただ欲望のままに喰らいつくしたい。

 殺意よりも単純で、殺意よりも凶悪性の孕んだ、純粋な本能であり、我儘ともとれる感情。

 


 今更気付いたところで――いや、そもそも魔物が持つ感情を理解したところで、この状況を打破できるわけがなかった。



 死んだ、という言葉が頭をよぎる。この言葉が比喩なら良かったのに、と意味なき思いに耽ながら、目を閉じる。

「穂香」

 己の身体で牙が止まってくれるならば、万々歳。穂香が助かる可能性を広げるために、彼女の体を覆うようにして庇う。

 

 目を閉じていたとしても、鋭利で固い牙が近づいてきていることが理解できる。

 その牙は、身体と咫尺の間にまで接近し――。

 


 折れた。



 正確には折れる音が聞こえてきた。次いで、風を切る音。そして最後に、魔物が発した断末魔の叫び声。



「ガァルアアアアアァァァァ……!!」



 叫び声が聞こえると同時に、肌という肌に、生温かい液体とごつごつとした小さな塊が付着する。肌を伝いながら地面へと落ちていく液体と塊が、身体を筆で撫でたときのような、こそばゆさを覚えさせた。



 何が起こったのか確かめるために、恐る恐る目を開ける。



「!?」



 目の前の惨状を見て、僕は慄然とした表情を浮かべた。

 そこにあったのは、肢体がばらばらの状態で、地面に跪き、息絶えている、僕達を襲おうとしていた一匹の魔物の姿。



 大きく乱雑に斬り刻まれた身体の断片から、赤黒いドロッとした体液が雪崩のように落ち続け、緑色の絨毯を赤色に塗り替えていく。

 そして、巨大な牙は、完全に真っ二つに折れ、獰猛さも恐ろしさも何処かへ置き去りにして、大地に突き刺さっていた。

 


 その死した魔物が属していた群集と僕達の間に――。



「大丈夫か!?」



 一人の男性が、負の感情全てを薙ぎ払ってしまいそうな勢いのオーラを身に纏い、僕の身長に達しそうな程大きな剣を、草原に突き刺した状態で、屹然と佇んでいた。


 男性の身長百九十センチ前後だろうか。

 髭のない整った顔立ちで、何色にも染められていない、ごつごつとした黒髪と瞳を持ち、服の上からでも、鍛え上げられた肉体がはっきりと分かる。

 そして、赤と黒を基調とした、防護性を一切考慮せず、軽さと動きやすさのみ重視したと思われる服を着用していた。



 今まで見てきた人物の中で、最も()()()という言葉がよく似合っていた。

 


 魔物はというと、突然の出来事に困惑したのか、欲望を隠し、後ろに引きさがり、彼の様子をうかがっている。

 

 彼の心配そうな表情を安堵へと変えるために、僕は口を開く。

「何とか、大丈夫です」

「私も、大丈夫……です」

「それならよか……って腕怪我してんじゃねえか!?」

「あっ、この腕の怪我は、目の前の魔物たちとは無関係です」

「そうなのか――。でも、あとでちゃんと見てもらえよ? 」


 彼の心配を、完全に消し去る事は出来なかったものの、多少なりとも安心させる事はできたらしい。

 魔物に警戒しながらも、安堵の息を漏らし、僕達に優しい笑顔を浮かべてくれた。


「俺の名前はウルリラ。取り敢えず、こいつらをなんとかするから、お二人さんは後ろに下がっていてくれ」


 僕は無言で頷き、穂香に肩を貸しなおして、安全そうな位置まで、ゆっくりと引き下がる。

 ウルリラは、笑顔を浮かべるのをやめ、僕達から魔物の集団へと意識を戻す。

 そのまま、目を細めて魔物を睨みつけつけ、不機嫌そうな表情を浮かべた。


「ったく、場所が違うじゃねえか。……そもそも、こいつら草原に来る事ねえのに、異常もいいところだぞ。……いや、本来人を襲わない魔物が襲ってるってだけで異常っちゃあ異常か」


 ぶつくさと愚痴やら憶測を飛び交わせるウルリラ。

 その内容から察するに、目の前に群なす魔物は、見た目こそ凶暴な性格に見えるが、本来ならば他者を襲わない――言い換えるならば、友好関係を築ける魔物()()()なのだろう。

 その点を踏まえると、この魔物たちから敵愾心が感じられなかったことには、納得がいく。


 このあたりなら大丈夫だろうと、僕は足を止める。

 彼の方を振り返ると、そこで大丈夫、と告げるように朗らかな笑みを浮かべていた。


 しかし、その笑顔は長く続かず、すぐに真剣な表情へ戻し、魔物の群衆を睨みつける。――感情の切り替えがとにかく早い。

「何が起こったかは知らねえが、殺せの依頼を受けたんだ。普通なら、お前たちを殺すこともなかっただろうな。でも今は――」



 殺さなければならない。


 

 彼が口にしたわけではない。しかし、確かにその言葉が聞こえた。


 ウルリラは地面に突き刺していた、片手で握るにはあまりにも無理がありそうな大剣を、右手で抜き出す。

 重さも、大きさも、一切感じさせない――まるで木の枝を持っているかのような雰囲気で、剣を脇腹当たりの高さにもっていき、切っ先を魔物に突きつけ、構える。


 そして、彼は目を閉じる。

 数秒後。青や白に輝く光が、ウルリラの全身を包んでは消え、包んでは消えを繰り返し始める。

 それは自らを補助する魔法の輝き。美しく鮮やかな虹色のような煌めき。

 今の僕には理解できないが、色だけでどんな補助を行うかの大まかな予想はできるらしい。

 

 全ての色が小声で「すまねえ」と口にした後、ウルリラは睨むように目を開く。

 その目に宿るのは、多くの戦いを経て培われた――覚悟と自信。



「一瞬でケリをつける!!」

「――――――!!」

 


 魔物は魔物で、彼と戦う覚悟を決めたらしい。

 覚悟と同時に、再度、喰らいたいという欲望をむき出しにして、何とも表現し難い咆哮を上げた。

 

 魔物とウルリラの戦いにおいて、先に仕掛けたのは魔物の方だった。

 数体の魔物が、ウルリラに向かって、獰猛な牙を空の光で輝かせながら、猪突猛進していく。

 


 ――しかし、彼は動かない。



 タイミングを見計らうために……じっと。


 他の魔物を先導していた一体の魔物が、目と鼻の先にまで近づき、牙を振りかざすために速度を落としたその瞬間――彼は跳躍した。


 それは昨日の夜。クラスメートの誰かが使っていた魔法だった。


 一番前にいた魔物は驚いたのか――牙を振りかざす前にその場で立ち止まろうと、走る速度を急激に落とす。

 そのせいで、後ろにいた魔物がぶつかり合い、そしてよろめく。

 


 完全なる好機。

 彼は獲物を捉えたチーターのように、鋭い眼光で魔物を睥睨する。

 空中で地面に背中をつけるように一回右に回り、そのまま敵に向かって落ちていく。



「うぉぉぉおおおおおお!!!!」



 彼は吼ゆ。

 目にも止まらぬ剣舞劇。上空から鋭い雨が降り注ぎ、魔物は雨の餌食となりて、周囲に鮮血散らし、死へ向かう。


 彼は斬る……!

 剣が舞い、魔物が躍る。剣と魔物の隙間から、赤く淀んだ液体が、飛沫となって宙を飛ぶ。


 彼は穿つ!

 痛みと死に怯えた魔物の雄叫び。死に際に、道連れ選んだ魔物が一匹、ウルリラに向けて、天に轟く叫びとともに牙を振る。



 彼は魔物の攻撃を躱そうと試みるが、既のところで牙が右腕に掠る。


「っ!」

 

 牙が引き千切った右袖が乱雑に破れ、その隙間から、痛みを象徴する液体が地面に垂れる。

 ウルリラは左手で傷口を抑え、赤く濡れた草を潰しながら、後ろに下がった。


「油断大敵ってことだわな」


 彼は地面に罅を入れかねない程、強く踏ん張り、気合を入れなおすために剣を構える。


 赤と緑の輝きが、新たに彼を包み消えていく。

 その魔法は傷口を塞ぎ、他者からも分かる勢いで力を与える。


 赤色に激しく煌めくオーラの中で、覚悟と自信に満ちた目が鋭く光り、お返しといわんばかりに、跳躍せずにまっすぐと、魔物に向かって突っ走る。


「うぉおおらぁあああああ!!」


 ()なし殴り叩き穿ち守り放ち潰し倒す。


 彼の手にかかれば、細剣にも直剣にも変化する大剣が、自由に、気ままに――何より楽しそうに暴れまわる。



「……なに、この光景」



 慄然とも驚愕ともとれる表情を、僕は浮かべていた。



 僕達が見ているのは、確かに彼と魔物の一対多の交戦――しかし、目の前に広がっているのは、多対一。


 ウルリラの圧倒的なまでの強さ。他者と比較する事すら烏滸がましく、他者が肩を並べる事すら叶わない。



 優雅にして暴風。華美にして送り梅雨。



 鮮やかなのに力強い。

 何一つ無駄のない動きで、一体、また一体と魔物の息の根を止めていく。

 敵が朽ちるその度に、晴れ渡った世界に、紅色の雨が降り注ぐ。


「……何が起こってるのか分からないよ」


 僕は無言で頷き、首肯した。


 二十体以上いたはずの巨大な魔物は、既に十をきっていた。

 魔物は仲間の屍を踏みつけて、ウルリラに向けて猛る。

 

 しかし、彼は完全に勝利を確信したと魔物と僕達に告げるように、ニヤリと笑う。

 切っ先を青空に向け、身体の前で煌めかせる。

「仕上げといこうか!」

 ウルリラは魔物に警戒しつつ、剣を右下に持っていき、そして、この世界に存在する魔法を使用するために、詠唱を開始する。


「詠唱番号10126(イチマルイチニロク)。魔法分野、攻撃! ……根脈より呼び出せ! 美しく、輝く世界に爆ぜて奏でろ吹き荒れろ!」


 詠唱が終わると同時に、彼が持つ大剣が――赤く、紅く、朱く、爆発しそうなまでに激しい光で輝き、世界に主張する。

 

 仇なす敵を全て土へ還してやる、と。


 剣の光が、ウルリラのオーラと同調し、さらに激しさを増す。

 覇気に溢れた彼の姿に、魔物が相手を間違えたことに漸く気付き、委縮しながら一歩、また一歩と徐ろに後退を始めた。


 あまりにも遅すぎた魔物達の気付き。後退など間に合うはずもない。

 誰が見ても、過剰となった能力を持つ大剣を、ウルリラは力強く一閃。


 その一閃は、五体以上もの魔物に断末魔の叫びをあげさせる。なすすべもなく、最期にただ吼えるしかなかった魔物たちの叫び声。


 彼の持つ大剣で斬られたら死にゆくのみ。生き延びれたなら評価もの。

 運よく生き延びた数体の魔物が、「逃げる」行為をかなぐり捨てて、最後の望みにかけて、再突進しようと試み始める。


 しかし、ウルリラは背後から迫りくる魔物に振り向きもしない。

 その面立ちは、勝敗は決したと、確信しているようだった。



「これで……さいごだ」



 彼は大剣を背中に納刀する。


 刹那。

 生き延びていた魔物たちが、さいごの踊りを繰り広げるように、身体を赤く光らせながら動きまわり、そして――文字通り爆散した。

 死を拒む雄叫びをかき消すほどの爆発音が、天を(つんざ)かんばかりに轟く。

 

 血の雨が草原に降り注ぎ、赤を真っ赤に染めなおす。魔物の肉片と、臓器と、大骨が、どす黒い血の海に浮かんでいた。

 魔物と雑草の焦げた匂いと、血の鉄臭い匂いが鼻にこびりつく。


 そんな匂いはお構いなしに、ウルリラは、「ふう」と軽く息を吐き、今までの覇気はどこへやら。僕達に心配を含んだ笑顔を向けた。


「今ので怪我とかしてないか?」


 優しい風が、草()を揺らした。全てを見ていたというように、出来事全てを受け入れるように。

Tips : 害なす魔物を殺して生きていく

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