タロウ入院す
ボクはタロウ。
優しいハナ先生がお世話してくれる『あかしばのタロウ』
今日はハナ先生に『どーぶつびょういん』て言うボクの嫌いな場所に無理矢理連れてこられたの。
昨日のお散歩でうんちがよくなかったから連れてこられたの。
ボクもこのところ何かと具合が変な感じしてたけど、あんなへんなうんちしたらボクもハナ先生に誤魔化しができない。
嫌いな場所で苦手な二本足さんと大好きなハナ先生にあれこれ弄られて、ボクは具合が悪いのに暴れてしまった。
「つまりタロウの腫瘍はガンなんですか?」
「検査してみないとわかりませんが、この大きな塊が悪性腫瘍の恐れがあります」
あくせいしゅようってなんだろう?ご飯でもボールでもないみたい。
なにやら不安な匂いのハナ先生の顔を見上げるボクの視線は嫌いな医者の先生に向けて力なく頸をもたげてた。
ハナ先生、一緒にお家帰ろう?ここの匂いは嫌いだよ。
「では検査のためにタロウちゃんは入院してもらって検体を取りますね」
「先生!タロウを助けてください!この子はまだ三歳なんです。こんな若いのにガンだなんて・・・・・・うう」
どうしたのハナ先生?どこか痛いの?
ボクはハナ先生が心配になりハナ先生のすべすべで柔らかい手を嘗めて慰めてあげた。
「・・・・・・タロウ、タロウ。ごめんね。タロウは嫌だろうけど、あなたは入院しなければならないの。一緒に帰りたいけど、タロウは良い子だから我慢してね?」
ハナ先生の表情が曇る。
だからボクも帰りたいよ。やだよ此所。変な匂いするんだもん。
ハナ先生がボクの背中を優しく撫でる。
「タロウ。必ず迎えに来るから今日は我慢してね?」
ボクはこの場所に来てからずっと嫌な予感がしてた。その晩、ボクは大好きなハナ先生と離ればなれになった。