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プロローグ 先生は〇〇〇〇になりました
「先生は、チンチンになりました」
教室に響く可愛らしい声に、教壇に立つ俺はあ然とした。
ええっ?
何を言ってるんだ、この子は!? 授業中に。
もしかしたら聞き間違いかもしれない。俺は早速確かめる。
「釜山千絵さん。教科書のさっきのところ、もう一回読んでくれないかな?」
「はい、わかりました」
小学六年生とは思えないハキハキとした返事。俺を向く真摯な眼差し。
こんな真面目な子がふざけて教科書を読んでいるとは、とても思えない。
「先生は、チンチンになりました」
やっぱり……。
聞き間違いじゃなかった。
そこで俺はあることを思い出す。
そっか。
あれか……。
――小さな異能者。
今日から俺は、そんな小学生たちを教えることになったのだ。