僕はタツヤが好きだ
「僕はタツヤが好きだ」
僕は4年1組
タツヤも4年1組
この学校の先生は ほとんどの先生が
僕を 『しゅんくん』って呼ぶ
他の子たちを呼ぶときは
『田中さん』とか
『前田くん』とか
『木下さん』とかって
呼ぶのに
なんで 僕は『しゅんくん』なんだろう
僕は
ある時 イタズラした
わざと隣の女子の筆箱を掴んで
落としてやった
女子は「あっ、ごめんね」と言った
なんで 女子があやまるの?
悪いのは 僕なのに
絶対 絶対 僕なのに
何日かたって また僕は
イタズラした
今度はタツヤにイタズラした
タツヤの教科書をわざと掴んで
落としてやった
タツヤは怒った
真っ赤な顔して怒った
「しゅん、おまえ わざとやろ!
なんでそんなことすんねん!」
僕は 嬉しかった
タツヤが怒ってくれて嬉しかった
次の時間は特別支援教室に
戻っての授業だ
特別?
特別なんかじゃない
僕は僕が生きるのにたくさんの人の
助けは必要だけど 人より
たくさんたくさん助けが必要だけど
同じなんだ
苗字で呼んでよ
悪い事したら怒ってよ
明日の1時間目は4年1組での
授業だ
タツヤと同じクラスだ
「僕はタツヤが好きだ」