自動卓を設置しよう
みなさま、かなりお久しぶりです。
この作品は本当に自己満足で書いているだけなのであまりお気になさらず!!!
でも読んでいただいて、少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
ですのでこっそり更新しときます。
「ということで麻雀卓この部屋に置こう」
ここは1LDKのアパートの一室。
6人掛けのテーブルに4人の男が思い思いに座っている。
そんな中、唐突に話を切り出したのは真面目な顔でマグカップを傾ける京川 真哉である。
ちなみにマグカップの中身はただの水である。
「いやということでもクソもねえよ唐突すぎるわ!」
すかさずツッコミを入れたのは真哉の正面に座ってスマホで二次元画像を漁っていた眼鏡男子、社 長次であった。
今日もキレのあるツッコミであった。
「まあ落ち着けって。オレら学生時代にPZP(携帯ゲーム機)で麻雀やってたじゃん? んでこの前4人で飲み歩きした時に開店時間待ちのために雀荘で時間潰ししたじゃん? んでやっぱリアルで牌触ってやる麻雀いいね〜ってなったじゃん? つまりそういうことよ」
「いやどういうこっちゃねん」
「てかそもそも雀卓ってどのタイプ?手積み?」
ここでやっと興味が出てきたらしい長次の隣に座っている男、成瀬 千代佐が会話に参加する。
「よくぞ聞いてくれました!なんと全自動卓が手に入ったんよ!!」
「手に入ったって・・・。みんなで買おうぜってことじゃなくてもう現物あるのか・・・。高い?」
lPadで音楽ゲームアプリをプレイしていた最後の1人、岡逹 十也が値段が気になるようで会話に参加した。
ちなみに十也は日頃からゲーセンに通っているため日常的に金欠と戦っているのだ。
「お値段聞いて驚け!!! なんと1万円ナリ!!」
「・・・待てそれ・・・さてはジャンク品だな!? 鉄屑じゃん! よくてテーブルにしかならないのでは?」
「全(部)自(分で)動(かす手積み)卓」
「割り勘でも2500円。 音ゲーが25回分・・・」
各々から盛大なブーイングが起きる。
だがいきなりこんな爆弾案件を投下してきた張本人である真哉は余裕の笑みであった。
「ふっふっふ。 そう言われるとわかっているのになんの対策もなくオレがこんな話をすると思うか??」
「「「思う」」」
「少しも信用ねえな!?!?」
見事な満場一致だった。
この場にいる真哉以外は全員が同じことを考えていた。
すなわち、
(((日頃の行いじゃねえかなぁ・・・)))
と。
いつもいつも考えなしに突っ込んでいく様を見ている3人は「またか」と思わずにはいられなかったのである。
「コホン! とにかく今回は本当にいい買い物をしたんだって。 確かに買ったのはジャンク品なんだけど、なんとこの雀卓死んでると思われていたモーター部分が生きてたんだよ!!」
「ああ〜もしかしてモーター焼きついて死んでると思ってたら長期間動かしてないせいでグリスの固着が起きてただけだったと」
「その通り! 人力でグリグリしてやったらそのうち快調に回るようになったんよね〜」
「まあ動くならいいんじゃない? いつこの部屋に持ってくるの?」
実はこのアパート、主に千代佐が住んでおり、他の3人が少し家賃を負担することでみんなの遊び場兼倉庫的な使い方をしているのである。
真哉はこの部屋に自宅から溢れかえった漫画やラノベを置いているし十也と長次は4人でプレイできるゲームをハードごと置いていたりしている。
つまりこのアパートは千代佐に他の3人が間借りしているような状態であり、千代佐が居ないとそもそも部屋自体が使用できないのだ。
「明日」
「真哉お前ぇぇ・・・。そういうとこだぞ」
「???」
「千代が居なかったらどうするんだよ・・・。しかも全自動卓ってめっちゃ重いって聞いたことあるんだけど4人で運ばないと無理なんじゃね?」
「明日は・・・音ゲーやりにゲーセンいk」
「全員で運び込んでくれたら雀卓代はオレ持ちだ」
「明日は家居るよ」
「音ゲーは逃げない」
「・・・・・・・まあオレも暇なんだが」
「ほい決定〜」
見事な満場一致だった。
次の日、自動卓を真哉の車に乗せ部屋に運び込んだ4人は早速電源を入れて動作確認をしてみることにした。
みんななんだかんだ言っても自動卓が使えるとなるとそれなりにウキウキしているようだ。
「おお〜結構調子いい感じだね」
「外見もキレイだし確かにいい買い物かも」
「壊れてたとこがモーターだけでよかったね」
「いや他にもダメなとこあったよ」
「「「は?」」」
1人を除いて一瞬の思考停止。
何言ってるんだこいつという懐疑的な目が真哉を襲う。
「この雀牌を磁石で持ってくターンテーブルみたいなやつとか持ってきた牌を流してくベルトのとことかモーターが回ってもなんか空回りというか滑って回らなかったんよね〜」
「でも今はちゃんと回ってるよ?パーツ交換でもしたの?」
「いんやパーツはいじってないよ」
のらりくらりと遠回しな回答をする真哉に長次が痺れを切らしたのか催促するように聞いてきた。
「んじゃ何したん?」
「輪ゴム仕込んだ」
「「「ん?」」」
聞き間違いかな?と3人が首を傾げているところに、真哉は追い打ちをかける。
「滑るなら滑らなくすればいいじゃない」
「いやそれで治るんなら苦労は・・・・・・まじ?」
「イエス。 この雀卓は輪ゴムの力で動いている!!」
真哉、渾身のドヤ顔である。
それはもう清々しいほどの笑顔でこのセリフが言いたかったのだと言わんばかりにドヤ顔をかましている。
「とりあえず動くんだし麻雀やろうぜ〜」
3人は悟った。
なぜ唐突に雀卓を持ち込もうなどと言い出したのか。
なぜ割り勘ではなく全額自分持ちでいいと言ったのか。
(((このドヤ顔がしたかっただけだ・・・)))
この4人の部屋に新たな遊び道具が追加された。
ドヤ顔かますためだけにこっそり全自動卓を購入し、修理してから持ちこむという無駄に手の込んだことをする真哉、それに巻き込まれつつもなんやかんや一緒に遊んでしまう千代佐、長次、十也。
「真哉それロン」
「まじか〜」
「国士無双」
「ふぁっ!?!?!?!?」
これはそんな大人の遊び方のお話。
また気が向いたら更新しますね。