パーティーは年寄り臭い
僕らが拠点にしてる町はゴールドラッシュという一攫千金を狙えそうなネーミングなのに長閑な牧草地と小麦畑が素敵なところだ。
冒険者ギルドの本拠地があって昔は栄えていたんだろうな、という風情がちょっとは見られる。建物が意外としっかりしているとか。修繕の行き届いてない石畳とか。
そんな町の中でもひときは古そうな宿屋【波乱亭】。聞くからに荒くれた冒険者がきそうだが、いるのはちゃんとした挨拶ができるような真面目な初心者パーティー御用達の安宿。一泊の六人大部屋、冒険者価格35コル。食事もたっぷりで安くて美味い。
すさまじく良心的な価格で泊まらせてもらっているが、それでも我が貧乏パーティーにとっては出費が痛い。クエストをこなせばいいだけなんだけどさ。
「さて、今日の会議なんですが」
朝食も平らげて、みんな(ひとりは酔いつぶれている)食後のお茶をすすっているときに僕はそう切り出した。ついつい美味しくて食事中は無言になってしまう。おそるべし波乱亭。
「クエストでありんすか?」
おかっぱの日本人形のような可愛いルーティが首を傾げつつ聞いてくる。
見た目に騙されてはいけない彼女は超怪力の持ち主で、年齢は僕の三倍あるドワーフの女性だ。ドワーフってのがこんなにも可愛いなんてこっちの世界にきて初めて知ったけど。
「そうそう。そろそろ次のクエストをしないと野宿になる」
「わっちは野宿でもいいでありんすよ」
「いや、それは僕がいやだし、みんなもいやでしょ?」
ルーティは昔じめじめして暗いダンジョンでも平気で寝られる高レベルの冒険者だったから問題ないけど一般人は夜露に濡れる野宿では体を壊す。
「いえ、私も大丈夫です」
優雅にお茶を飲んでいたリクスが白い歯を輝かせて笑った。
「兄、めんどくさい」
「ああ、そうですね。愛しのミリヤが汚れては大変だ。クエスト、しましょう」
ミリヤの一言ですぐさま意見を変える。極度のシスコンがなせる技だ。兄と呼ばれるだけでも嬉しいのか蕩けるような笑みを浮かべ始めた。
これがなければモテそうなのに。
「ぐごーぐごーー」
「・・・・・・・・・・・・」
同じ席で酔いつぶれて寝ているロッドさんは放置して、隣の席で一人聞き耳を立てているマリアは大丈夫だろう。声かけたら悲鳴あげられるので意見を聞くのが難しいのだ。
「というわけで、クエストを受けに行こう。リクエストある?」
「そうでありんすねぇ・・・天気がいいのでピクニックとかしたいでありんす」
「私はミリアの喜ぶものであれば」
「お使いぐらいしかすることがないので、遠い場所までいけば効率いいのではないのでしょうか」
なんだろ・・・。
いつも思うけどこのパーティーって初心者にある向上心というか元気がない。
よしっ! クエストか! 何するっ!? ってぐらい元気さがあればもっとこう明るくなんだけど・・・。
我がパーティーって年寄り臭いのかもしれない。
「じゃあ、ピクニック的に遠出という方向のクエストで」
なんだか泣きそうになりながら僕はそうまとめた。