パーティーはいつも金欠
「シーカーさん、やばいです」
つり目がちのポニーテールの女の子の呟いた言葉に戦慄した。
シャカシャカと歯磨きをしながら宿屋「波乱亭」の水場の出来事だった。
「んぐっ」
思わず歯磨き粉を飲み込んでしまい。お腹の辺りがかゆくなる。
「えっと・・・つまりそれって・・・もしかして?」
「はい。昨晩の宿泊費で財布の底を突きました」
やっぱりか・・・。しばらく宿屋で過ごせているなと思っていたがやはりそうきたか。
ミリヤは我がパーティーの冷徹な財務担当。ちゃんとこちらの動きを見てそろばんをはじける商人だ。ポニーテールが似合う14歳の少女がお金を握ってニマニマするのはどうかとおもったりするけどさ。
でも、いつものミリヤなら三日前ぐらい、ちゃんとクエストの準備ができるぐらいの日数を開けてくれていたはずだけど。
ちらりとそんな目で見たのがバレたのか、
「ロッドさんが宿屋のツケでお酒飲んでいたみたいで」
「あー、なるほど」
あの問題児のせいか。あのやろう。
「クエスト、受けないと」
「だよね。うん、じゃあ朝ご飯食べながら会議しようか」
「食事代は各自の自腹と言っておいてください」
にこりともせずにミリヤが頭を下げて、部屋に戻っていった。
自腹か・・・。お小遣いが50コル切ってるんだよなぁ・・・。
まあいいか、とりあえず朝ご飯は大事だ。みんなを呼び集めよう。
こうして、僕のパーティーメンバーと一緒にクエストへ出る久しぶりの朝となった。