チャーリーのお仕事 3
◯ ケース3
ピアが変身を覚え始めています。最初は失敗を重ねていましたが、徐々に精霊の時の感覚を思い出したみたいで子猫の姿を取れるまでになりました。光になったり影になったり水になったりは出来ているし、霧の様に霧散して影に潜る様子は作った映像のようでした。
あの邪気をまとった武器もあんな感じにすり抜けて欲しいものですが、力ある物をすり抜けるのは難しいようです。ピアの運動神経は普通。ですが、アキの時のドジっぷりは健在です。自分から武器に突進しかねないので下手な事はさせれないというのがマリーの意見です。それについてはフォローできません。
「武器を手に取るとかは絶対にさせれないタイプですからね」
アキの時代にマリーが試しに長い目の棒を持たせて振らせたら、一回目から自分の足にダメージを与えて悶えたとか。自滅とは悲しいです。そもそも、魔法も真直ぐ飛ばせた事が無いのですから危険きわまりありません。ピアがその危険を引き継いでいるのかはまだ試していないのです。誰が犠牲になって確かめるかで、もめています。ピアの心にダメージを与えるのは必須でしょうから。
「ピアが人型を取ったよ」
洗濯済みの衣類を、クローゼットに入れていたら、脳内に連絡が来ました。
「本当ですか?!」
レイからの連絡でリビングに戻れば、白い天使が所在無さそうに立っていました。背中に羽のある翼人族の姿を取った綺麗な女の子です。自分の人型よりも幼い姿に既に夢中です! 獣守全員が妹ポジションを大歓迎しました。
そう思っているのは紫月も同じようで、夕食にはカシガナの実をピアに食べさせ始めました。小さな恋人同士の様に恥ずかしそうに食べる姿は微笑ましい限りです。そのまま紫月のお食事が始まりましたが、ちょっと幼い子供には刺激的過ぎな気がするのです……。ピアも予想して無かったようで、真っ赤になってうろたえています。しかし、これで二人の仲が進んだのは良い事です。
ピアの人化の姿で喜ぶマリーの顔で、既にお洋服のことしか頭には無いらしいことが分かります。その日から創作活動が活発になったのは言うまでもありません。
ピアの姿は幻想的なお洋服が似合うので、色合いも華やかで甘く、軽やかな生地を活かした物が多く作られました。特にピンクの瞳は時折違う色をたたえていて、どきりとする程綺麗なのです。今朝はメタルブルーな色で、お昼にはピンクになっていて夕方には乳白色に変わっていました。ピア本人も驚いていましたが、あれは何故なのでしょう。レイに聞いてみたら分かるでしょうか。
「まだアキの力が安定してないせいだよ。神眼だからあそこに現れてるんだ。心配ないよ。あれはあれで綺麗だけど、もうすぐ落ち着くよ」
青年姿のレイは怖いくらい綺麗だけど、笑うと親しみ易さが出て直ぐに優しいと分かります。今も軽く微笑んでくれて雰囲気が和らいでいます。
「落ち着いたら本来の色に?」
「そうだね。ピンクで落ち着いてくれると思うけどな。本当は本人が選べたら良いけど、今はそこまではまだ無理かな」
レイと話をして理解いたしました。神眼を持つレイも綺麗なブルーからグリーンの光色変化を付けているのですが、レッドからパープルへのバージョンに七色バージョン等色々と楽しんでいるとの事でした。
今は出会った時に、アキが碧の目を褒めてきたので、なるべくそれに固定しているみたいな事をちらりと仰っていました。確かに一番合っていると思います。
小さな天使は今日も庭で花々を集めています。自分用のお昼ご飯なのです。まだ人と同じ物を食べる事は出来ていないので、好みの物を紫月と手をつないで一緒に集めています。
食事も気に変換して食べる事を覚えた秋の頃、ピアはアキの姿を取る事に成功しました。月夜神の姿も直ぐに適応し、姿を取る事が出来ていましたが、家の全員が同じ不満を持っていました。
「「「ピアの姿で大人にならないと意味が無い!!」」」
全員の意志を伝えるべく、レイが月夜神姿のピアをマッサージに連れて行きました。
「説得してくる」
「レイならきっと説得出来ますっ!」
その後、マシュの月夜神の白色バージョンがピピュアの大人バージョンだとの説得で、何か掴めたのか変身に成功をしていました。おとぎの国から来ましたと言っても良い美の化身が誕生しました。創作活動に刺激を与えて下さるお姿です!