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世界を繋ぐお仕事 〜キヒロ鳥編〜  作者: na-ho
ちゃーむとうぞくだん
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38 脱出

 ◯ 38 脱出


 不意に何か結界が張られる様なそんな感覚を拾った。チャーリーが月光の魔術を使って影からドームに戻って来た。


「悪神が結界装置を出したと同時にそれを妨害しようとしたのですが、次々と新手が現れたため断念しこちらに戻って来ました。最後の通信として状況を送っておきました」


「そっか……」


 困った。敵の拠点の中に捕われてしまった。取り敢えずは見つかってない事が幸いかな。悪神達の数は今の所十人近く確認しているみたいだ。洞窟の大きさから考えても人数が多過ぎる。空間を変化させているというよりは転移装置があると考えた方がしっくりくる。なにせ何の物資も援助も出来ない孤島だ。


「地図にはこの島は書かれていませんが、調度ここになります」


 改めて地図を見た。二つに分かれていた地図をくっ付けながら手で示している場所をみた。ここの海流がこっちからこの様に流れているはずとか、何処からそんな情報を得るのか分からないけど、チャーリーは説明してくれた。

 脱出を試みるには船を出すしか無い。僕の闇のベールの時間も考えたらどうしても自力で脱出しないとならない。カジオイドの船で潮流にそって外洋へと出るルートを取り、結界に穴を開けて隣国へと転移するという案が出た。透明ドームをなるべく使ってと説明をしてくれたが、ふと思った。


「チャーリーは潜水艇を知ってる?」


「潜水艇ですか?」


 首を傾げられたが、説明が難しい。僕は日本でのテレビの映像でしか知らないけど、海中を進む事の出来る船だ。念話で伝えてみた。


「良い案です。海中深くはこの結界も届かないはずです。水圧にさえ耐えるだけの魔力があれば行けます」


「じゃあ、早速準備しよう」


 チャーリーは潜水艇の設計をやり出したので、僕は魔結晶を持ち運びの収納スペースに入れてあったのを出した。ここに飛ばされる事になったあの、ガラス擬きの方のだ。

 こないだのナリシニアデレート世界での事件で常に持っているべきだと思っていたので調度良かった。貴重品は自前精霊の収納魔法で出し入れが出来る様になったので、奪われる様な事も無い。自前収納が出来るのに更に収納をするアイテムを使うのは死ぬと自前収納の方の中身が出てくるからだ。その際は少ない方が助かる。もう一回仕舞うのは骨が折れる。肉体が消滅しても収納が維持出来るまでになりたい所だ。


「あ、ヴァリー、ホング、実は……」


 僕は遅ればせながら閉じ込められて迎えが来なくなった事を説明した。そして脱出ルートの話を始めたら二人は同時に溜息を付いた。


「動力が魔力しかありませんし、運転と攻撃の両方を同時にとなると敵の追っ手が来た時に対応出来ません。ですので魔法陣を組む事にしました」


 既に書き込まれたカジオイドの潜水艇にはびっしりと魔法陣が重なっている。さすがマシュさんの弟子だ。音を遮断する為の魔法陣を用意して、それを動力部分を中心に組み込むと出来上がりだ。


「じゃあ、行こうか」


 チャーリーと一緒に悪神達が眠りに付きそうな時刻を狙って、透明ドームごとゆっくりと海に向かって進んで行った。消し忘れた足跡に首を傾げている見回りが通り過ぎるのをドキドキしながらも見送り、四方向を確認しじりじりと進んで海に入った。

 調度、ボートに乗った邪神が来た時刻ぐらいだから、丸一日が経とうとしていた。海の中をしばらく進んで潜水艇の中に入ってハッチを閉めた。チャーリーがゆっくりと海水を何処かに取り込んで潜らせた。透明ドームはゆっくりと解除し、僕達は海中の人になった。

 ヴァリー達を収納スペースから呼び出して船内に出てもらった。

 一メートル程の長さの建材に使用する為においてあった透明な鉱石の柱を魔法で加工し、進行方向と両壁と天井に嵌めて視界を確保したので、中々快適な水中の旅になった。船内も魔法陣がびっしりと刻まれている。そして魔結晶があちこちにはめ込まれていて壁一面がスイッチの様になっていた。僕のあやふやな知識で出来た潜水艇が進んでいる事に驚く。チャーリーに聞いたら、似た様な物を何処かで見たらしい。


「だよね……」


 酸素キャンディーがあるのでそれを時々舐め、のんびりと海の魚達を眺めていたら、クラーケンらしき生物に出会った。遠くの方を泳いでいるので大丈夫だが、これ以上は近寄れない。少し大回りして進む事にした。

 世界に繋げて感覚で見ている世界を直接念話で映像のまま送って、それを画面に出して実際に見ている景色との差を計算しながらチャーリーが舵を切って進行方向を決めている。ヴァリー達は殆ど真っ暗な海の底に気味悪がっていたが、僕とチャーリーはよく見えていた。五十メートルから八十メートルくらいの海底はさすがに光が届きにくいみたいで視界が悪いのだ。


「結界はかなり広範囲をカバーしているね」


「そのようですね。海の中までは見てないのは助かりました。もう直き第三結界膜を抜けます」


「壁は無いよ……」


 目を閉じて感じ取る。


「はい。……無事に通過出来ました」


 船内は緊張が解けたおかげで会話が戻って来た。


「これで外に出れたのか?」


「そうだね。連絡は?」


「はい。今通信が繋がりました」


 チャーリーの可視化した画面の向こうにはむっつりとした玄然神がいた。


「遅いぞ。結界は中からしか開けれぬ。どうやって出て来た?」


 見つかる前に強行突破してくると思っていたらしい。


「海底近くはカバーされてないから通行し放題ですよ」


「何っ、穴が空いていたのかっ。あいつら役に立たぬではないか!!」


 炎を吐きながら言われても困るよ。家を燃やさないで欲しいぞ? 後ろで慌てふためいている総総尾の二人がちらりと見えた。

 既に言っていた怪しい派閥は捕まえて牢に綴じ込め、尋問が始まっているという。遅いと言われる訳だ。


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