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世界を繋ぐお仕事 〜キヒロ鳥編〜  作者: na-ho
しょうかんしょう
222/225

175 苦情

遅くなりました〜m(_ _)m

 ◯ 175 苦情


 半日が過ぎて、教授の実験の手伝いをしていたリラが僕の方の手伝いに来てくれた。今回の呪術の傾向の纏めに教授が更に似た呪術の人達の実験に入ったと教えてくれた。

 そんな状態で解呪と治療をやっていたら、ナオチーフが怒鳴り込んで来た。


「なんて物を使うの!! C3Uの威厳を下げないでっ! そんな出来損ないの恥ずかしい薬を使うなんて、大・迷・惑・よ!」


「ええ?!」


 出来損ないだなんて何の事だかさっぱりである。僕の持っている薬瓶にはいってるのは、解呪中の体力低下なんかを緩やかに押さえてくれるアストリューの良い薬なのだ。

 首を傾げてたら、そっちじゃなくて意味不明の笑い声だとか痙攣を起こしている方だと馬鹿にした視線を向けて説明された。


「あー、あれは副作用が個性的な薬だけど、効きはすごく良いから」


 経過状況の見た目を気にしてたら治療は進まないよ。みかんの町で生産されてる薬を真面目に説明してたら益々怒りの表情が酷くなって、頭から湯気が上がりそうなくらいに熱く叫び始めた。


「きぃーっ!! そんな下品なのを使う輩と同じに見られるこっちの気にもなりなさいっ!!」


 患者には良くない程の音量で叫んだナオチーフがこっちの薬にケチをつけ始めた。というか大声でいかにダメなのかを叫び始めたのだ。が、その声に我慢出来なかった人物が怒りのオーラを纏って仕切りカーテンの合間から出て来た。


「うるさいわね!! 実験の邪魔よっ。治療で見た目を気にしてどーするの?! お遊びにきたお嬢様なんて役に立たないわ、とっとと帰りなさい」 


 さすが教授。まあ、こっちの使っている薬のダメ出しをしている時点で、彼女の狙いが薬の優劣を付ける事だと気が付けるけど。大声で言ってるのも周りの目を引く為だ。


「遊びですって!? ふざけるんじゃないわ! 侮辱罪で訴えるわよっ!」


 ナオチーフは周りに訴えるように、侮辱されたと被害を強調している。


「治療薬の効能よりも副作用の見た目を気にしてる時点で程度がしれてるわ。真剣に患者と向き合ってないじゃない!」


 教授もまけずに言い返している。こういう口論は得意じゃない。援護射撃が出来れば良いのだけど、さっぱり言葉が浮かばない。


「ふん!! 前線での治療薬に選ばれなかったからって負け惜しみでしょー?! こっちはC3Uでも重要な治療薬選別課の推薦を持っているんだから!!」


「おかしいな。そんな選り好みする課なんて無いはずだけど」


 僕は聞いた事の無い課に首を傾げるしか無かった。新しく出来たんだろうか? 課ではなく同好会扱いならあると、リラが教えてくれた。最近、届けがあったらしい。彼女と似た意見の方々が集まっているのだと推測する。同好会がしゃしゃり出てこられても……。

 取り敢えず、こんな大声で邪魔をされ続けても困る。ジャクリーン教授に、C3U内の同好会の仕業だと脳内伝達で教えて、司令部のレイに今回のこの同好会の不始末を頼んでおいた。


「馬鹿ね! 内情を知らないあんた達には手が出せないはずよ。そんな使えない薬なんて追い出してやるから!!」


 まだ叫んでいるナオチーフには悪いけど付き合っている暇はない。


「……時間が勿体無い」


「そうね。お嬢様の思い込みを正してる暇はないわね」


 僕の呟きに同意した教授が、一番最初に解呪と治療をした患者に目配せをした。その彼がまだ何か叫んでいるナオチーフを羽交い締めにして外へと引きずって行ってくれた。その様子に、もう歩いても支障がないくらいには復活していると判断出来た。


「これで落ち着いて解析に集中出来るわ」


「はい。何か分かったらお願いします」


「効率は良くなるはずよ」


 特殊な媒介を解析し、ケール星の呪術の解呪に利くアイテムを開発してくれるみたいだ。まだまだ戦闘は続いているし、さっさと解呪が進む方がここの患者数が減って雰囲気も良くなる。若干暗い雰囲気が漂っていたのだ。


 そこに、要請していた人員がみかんの町から到着した。さっそく到着した人々は、治療班、解呪班と別れた。だが、ナオチーフが薬の指定をするのに訝しんだ応援チームの一人が、解呪班のチーフである教授に内情を聞きに来た。

 教授がこれまでの経緯を語って、薬の利権問題を絡めている連中のことを教えた。患者への被害にならないうちに我々で結託しなくてはならないと、みかんの町の人材派遣の仲間内での連携を提案していた。

 僕はその話をリラ経由で聞きつつ、解呪の方を頑張ってケケケケ笑いの親戚のフフフフとホォホォホォホォ笑いの患者を量産している。この笑う副作用を抑えたバージョンは何故か鼻、口、耳等の穴から湯気が立ち上るか、部分痙攣が起きる。特に顔面神経に影響を与えるらしい。

 笑いたくない時はそっちにしているけど、皆はそっちを選ばない。笑った方が戦闘での緊張がとれ易いし、薬がキレた時に冷静になれるというので笑いの副作用は意外と役に立ってると思われる。月の癒しが入っているせいも多少はあると思うけどね……。

 一応、治療しながらアンケートをとってみる事にしたので、リラに内容を考えてもらった。何せ僕は解呪に忙しい。リラにはアシスタントとしてお願いしておいた。

 そんなこんなで丸一日が過ぎて休憩を取っていたら、教授が完成したというアイテムを見せてくれた。


「この媒介としている強化ゴッキーと思われる霊素材が、今回の解呪での難関な訳よ。後は月夜神の魔結晶をここに嵌めれば完成だから渡して頂戴」


 教授がにこやかに手を差し出して来た。要するに、僕の魔力干渉の特徴を持つ魔結晶が欲しいという意味だ。月夜神の魔結晶は仲間内でこんな感じに高値で取り引きされている。ただ程高い物は無いからね……。

 取り敢えず、アイテムが完成したのでそれを使って教授が解呪に参加し始めた。教授は魔法陣が大量に組み合わさっている玩具みたいなアイテムを使っては解呪し、アイテムの効果の改善をし複製をしと、少々抜ける事も多いけど確実に解呪のペースは早くなった。応援のスタッフも連携を取って薬類もC3Uからどんどん届くようになった。


 患者の誘導の為に囲いから出れば、ナオチーフの囲っているスタッフの顔色が悪くなっているのが見えた。何せ、こっちのスタッフの方が多くなり、引き受ける患者数が激増し、ジャンプしながら進む事しか出来なくなったり、調子外れな呪いの詩歌を歌って呪いを広めようとする変な呪術もちゃんと解呪出来ているのだから……。

 いや、まともな(?)死に至るような呪術やら爆発刻印なんかはケール星に詰めている精鋭スタッフがあらかたやっつけて(時間を遅らせて)くれているので楽なのだ。何せ、そういうのはスタンダードだから解呪の手法は確立されているのが多い。

 しかし、幾ら時間を送らせても現場で解呪しきった方が患者の負担は減るはずだけど……。


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