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世界を繋ぐお仕事 〜キヒロ鳥編〜  作者: na-ho
しょうかんしょう
211/225

164 反発

遅れました……壁|ω・`)

しかし、おかげさまで訳分かんなくなってた場所は、多少見れるくらいに落ち着きました。しかし、書き溜めがない……投稿の間隔を見直す必要がありそうです。しばらくは一週間に一回でも良いですか? m(_ _)m

作者の筆が調子に乗ったら復活します。

 ◯ 164 反発


「う……ん?」


 目の前にいるフォーンさんの姿に気が付いて、誰か考えている様な顔のミンティは、服がはだけているのに気が付いて目を白黒させはじめた。

 フォーンさんが事前に調べたところ、悪神の所有の印である刻印は見つからなかったようで、普通に覚醒者のテイマー、もしくは精霊使いと呼ばれる類いの人種だとわかった。ここで言う自由者の身分だ。

 フォーンさんは、そんな彼女の様子を気にもせずに、卵……もしくは幼鳥の段階で手に入れたであろう雷鳥の入手経路の確認をする為の尋問に入り始めた。意識の無いうちに刻印の有無を調べたのは彼なりに配慮してなのかもしれない。何せ、普通にやってたら趣味に走って酷い事になるからね。


「ちょっ、何言ってんのっ?! っていうか何したのよ! なんて事すんのよ!」


 フォーンさんに性的いたずらでもされたと思っているまだ十代半ばっぽいミンティは、フォーンさんの質問は脳みそに届いてないようで、混乱の最中だ。


「盗まれた卵、もしくは攫われた幼鳥だと知ってて手に入れたな? こいつらの顔に見覚えあるはずだ」


 鞭打ちの試しをしていた悪神達の顔の映像を次々みせているが、ミンティは怒りでそれどころじゃなさそうだ。

 僕は少し離れた位置で、餌泥棒であるディーンさんから預かったブン山脈に生息する鼠の肉を軽く炙って雷鳥に与えてみている。さっき合流したディーンさんは、意識の無いレイモンドと幼鳥を捕獲し直したのか、その辺りに転がしている。その様子を見てミンティには怯えが一瞬見えた。

 今、僕達がいる場所は誰もいないビルの中にいる。寂れ、打ち捨てられた商業施設後っぽい場所だ。区画に寄って全く違う姿を見てるお陰で、盛衰の激しさに厳しい現実を突きつけられた気分になってしまう。


「邪気刻印の有無を見ただけだ。ミラスティ カソワブ、真実を答えろ」


 フォーンさんが一瞬ミンティの額に手をかざし、何か力を使ったのが分かった。更に名を呼ぶ際に闇の力を感じたので精神支配的なのだ。言霊も乗せてるし、良くある死神の尋問風景だ。

 この様子を見て、彼が戦いに特化しただけの人じゃなかったんだとの認識を改めてした。C3Uの初期メンバーになるのも分からなくない。記憶の削除に書き替え、強力な暗示に邪精霊でさえ操りそうな言拘束を中心とした闇の力に戦闘能力。ディーンさんが今回の大量書類からの逃亡のパートナーに撰ぶ程の緩い仕事への意欲(注:主人公の誤解です)を抜きにしても、充分だと思う。あー、モチベーション維持にはたまには逃亡もありだと思うからね……(注:本人のメンタル基準)。


「こっちの従属化魔術……意志を奪う術は何処から聞いた? この魔結晶の陣に入ってる生命力の譲渡なんて違反だって知ってるだろ?」


 この質問が一番重要だ。流行になっては困るというか、既に広まっている完全奴隷化の術の取り締まりはきっちりとやって貰わないとならない。精霊界、いや、魔法生物にとっては由々しき事態だと思うのだ。これまた人間も含むのも大問題なところなんだけどね。

 ミンティーーミラスティの持ち物の中に質問の術を完成させる魔道具があったのを見つけたので、それの入手元を調べる必要が出来たのだ。質問で脳内に浮かぶ記憶を呼び起こし、それを読んでいるだろうフォーンさんは飛んで来た平手を掴んで、再度質問を繰り返した。

 どうやらミラスティの中のお怒りは、恐怖よりも勝っていたのか精神支配でも解けなかったらしい。というか元来の気の強さが出た反射的な反応なのか……原因は定かではないが、すっかり敵認定されてるフォーンさんの言葉に反応するのが怒りの感情なのはある意味妥当かな。

 ……まあ、フォーンさんは気にしないか。自分に向けられる感情には割と無頓着な気がする。というか、たとえ憎しみだろうが愛情だろうが対処出来るという確かな自信を感じるかもしれない。大人の余裕的な何かだ。

 いや、それでもあのご趣味は付いていけない。完璧人間はいないと教えてくれている気がしないでもないけど。ま、こんな考えなんて僕のなかだけで完結だ。

 反抗心を嬉しそうにニヤ付いた顔で折り始めたドの付くSさんが尋問を再開するのを、呆れた視線を送りつつもディーンさんがレイモンドの育てていた雷鳥を僕に預けてくれた。目を覚まさせて餌付けの開始をするのだ。ま、肉がダメならみかんファームの美味しい野菜や果物に切替だ。


「契約の解除は出来そうか?」


「レイの果樹園のを見せたら直ぐに応じてくれました……本人の了承は得たから解除に入ります」


 精霊界に帰れば仲間にも会えるし、こういう果物も食べれると念話で教えれば素直に自分の欲求に従って契約を外す許可をくれた。


「そうか」


 ディーンさんはホッとしている。幼鳥だけでなく、卵の行方もほぼ掴めたし幼鳥の隷属化の契約解除も出来そうなのだから。何とか精霊界からの直接の依頼は完了だ。


「そっちは終ったのか?」


 フォーンさんがディーンさんに話し掛けた。


「で、出所は?」


 頷いて質問返ししたディーンさんはフォーンさんに向き直っている。ミラスティーはまだぼんやりしているので、影の支配を受けたままのようだ。


「別ルートを彼女から引出せた。別の世界だ。テイマー専用のコミュニティーで逃げられない完璧な従属専用の魔法陣と思って購入している」


「知らなかったのか?」


「いや、半分は分かってて購入している。便利だと思っての購入だな。そのコミュニティーで雷鳥の卵をこのケールで買えるというのをレイモンドが流してそれを受けてここへ来て購入したらしい」


 しかし、餌が高く付くのでレイモンドに相談したら、卵をまた盗みに行くついでに餌となりそうな地元の鼠を狩って渡すのを約束したようなのだ。同じようにレイモンドも幼鳥を育て始めたが、餌の問題は大きかったらしい。まあ、人間からしたら贅沢な物を食べているってことかな。

 どうやら、レイモンドがテイマーになったのは彼女と知り合ってかららしい。従属専用の魔法陣があればどんな素人でもテイマーになれるというので、彼女から幼鳥の卵と引き換えに大量購入したのが付き合いの始まりみたいだ。こんな風に気軽に始められては困るのだ。なんとしても取り締まりを強化しないと。


 契約の解除は片方の意志があれば何とか発動する。影の術の解けたミラスティは阻止しようと暴れているけど、この子達はブン山脈で生きた方が幸せだと思うのだ。このままじゃ、弱い個体に育ってしまう。

 この、生命力の譲渡とか言う厄介なのを除けばほぼ解除出来た。残りは魂を支配し理不尽な理を押し付ける悪神やら邪神の業だ。


「無理はしなくていい。解体処分して魂を還すほうが確率は高いと親鳥には伝えてある」


 三十分程後に声を掛けてくれたディーンさんを振り返ったら、気遣わしそうな視線とぶつかった。


「……生命力の譲渡先は持ち主以外にもあるみたいで、変な刻印がされてるっぽいんですけど」


 確かにこの複雑な術の解除は僕一人じゃ無理かもしれない。けど、ジャクリーン教授なら何とか解除も出来そうな気がする。それよりもこの術の周りに纏わり付いている変な靄が刻印として現れたり消えたりしているのが気になる。


「術者に渡るだけじゃないのか?」


「この部分なんですけど……」


「俺じゃ分からないな」


 ディーンさんは僕の指の先を見て眉をしかめた。さすがに解呪は専門外ならしい。


「ジャクリーン教授に伺ってみます」


「分かった。無理はするな?」


「はい」


 返事をしたと同時に大きなエネルギーが爆発したような衝撃がやってくる感覚がした。ディーンさんも感じたのか、


「む、構えろ」


 と、声を上げた。全員がマントを完全に被って身構え、やってくる衝撃を躱すべく身構えたと同時に、空間がたわんだ気がした。立っていられなくて尻餅をついて仕舞ったが、その方が揺れを良く感じた。

 激しい衝撃を吸収したかのように大きくたわんだ後は、徐々に細かく振動してエネルギーを分散するような動きをしている。地震で地面が揺れてるのにプラスして空間ごと揺らされてる。

 けど、勝手に身体も空間も揺れてる気分になって、乗り物酔いくらい気持ち悪いんですけど……。周りを見れば、幼鳥達は理解を超えた事象が起きた恐怖で固まっていて、二羽は身を寄せ合って事態が終るのを待っていた。ポースは揺れを楽しんでいる。

 ディーンさんは抵抗が始まったかと、呟いた後は何処かに連絡を入れ始めた。フォーンさんはミラスティの様子を確かめている。霊体に少しダメージが入ったが無事だと言っているので、他の外の人も無事のはずだ。ミラスティは気絶している。

 何か分からないけど、衝撃を軽減してくれた動きのお陰で皆無事だ。界に大穴が空きそうな大きな衝撃だったけど、界に影響は殆ど無いようだ。多少の傷は付いたとは思うけど、崩壊する様な気配は感じない。世界に繋がって確かめればそんな事が分かる。


「ヘッドゥガーン世界はこういう大衝撃には耐えるからな……他の世界ではこうはいかない。大穴が空くのが落ちだ」


 どうやらヘッドゥガーン世界の知られざる特徴だったみたいだ。組合長の顔を思い出せば、何故か納得だ。と、またさっきよりも小規模な衝撃が来た。ディーンさんが脳内で他の情報交換とともに教えてくれる事にはケール星の抵抗勢力が本格的に動きだしたとの事だ。要するに戦闘地域に変わったのだ。


「アイス、実行犯の魂は必要だ。無事かどうかは問わない。相棒と一緒にC3U、異世界間管理組合軍合同編制部隊本拠地にて彼らを引き渡しするように手配したので連れて行け」


「はいっ!」


 ディーンさんから大事な依頼が来た。これでこの仕事を達成したらアイス(クリーム)=ヨォシーはC3Uの第三次職員になる。時々用事をこなす程度のお使い的なアルバイト員になれる……。マオとは雲泥の差だ。


「ポース、ヨォシーと幼鳥を一緒に連れて行ってもらえるな?」


「がってんだ!!」


 ……また変な言葉を覚えてる。時代劇でも見たのかな? ポースの方が大事な幼鳥の護衛だけど、僕の名前も入ってたよね? ……うん、深く考えないようにしよう。本格的な戦闘地域では治療回復しか役に立たないのは分かっている事だ。



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