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世界を繋ぐお仕事 〜キヒロ鳥編〜  作者: na-ho
へびとたまご
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156 白服

 ◯ 156 白服


 真っ裸にロープ姿の集団を街中で移動させるのはさすがに犯罪みたいなので、マリーさんの創作物で出る切れ端やら、パッチワークにも使えなさそうな布切れを、糸に分解したりして、レースや布地にする為の織りやら編みの練習をしていた僕の物を利用する事にした。

 シースルーがお気に入りの露出狂が一人いたけど、それはスルーしていいと思う。

 細切れな糸くずも魔法で適当にくっ付けただけの布は強度に問題有りだけど、少しの間なら使えなくもない。ただ、色が白しか無いのは付いてた魔法効果と染色も分解遊離してから作っているせいだ。白シャツに靴を履き、ロープで繋がれた変な集団が歩くのは別の意味で目立ったと思う。


「下着くらい支給してくれよ……」


 それは後で余っている布で僕が作るから待って欲しい。この寄せ集めの糸で制作された布は洗濯すると縮んだり穴が空いたり形が歪むのが分かっている。

 違う系統の布を分解して作っているのだから当たり前だけど、本当は下着には向かないんだよね。間違って食い込んでも責任持てないけど、手持で一般人に支給出来るのがこれしかなかったんだ。諦めてもらうしか無い。町に入れば買う事も出来るし、一応隠れてるから大丈夫だよ。


「なんのイベントだろう」


「しぃっ! 近づいちゃダメだよ」


 周りの人からの視線はやっぱり変人を見る目だ。犯罪者の護送には見えないらしい。別に携帯型の転移装置で無理矢理にでもダーンに移動しても良いのだけど、護送している一味の中に一般人が紛れているので考慮している。

 キュー星のこの街で何人か、記憶の処理やらの手続きをして、刑務所的な場所に移動する為、異世界間管理組合の方に引き渡しをする手筈なのだが、その相手がダーン星が機能してない為、引き渡しがズレ込んでいる。

 まあ、金でケール星に協力している人物が、調査を切っ掛けに暴動を起こして戦闘地域になってしまったのだから仕方のない事だけど。



「後処理の担当がもう直き付くからそいつに押し付けて、旧型の小型宇宙船でダーンに移動だ」


「はい。下着(ショーツ)の支給はこれから無重力圏に移動するし、渡しときます」


 今は引き渡しの為に星渡所で待機中だ。何とか出来上がった。手縫いだし、幸運の効果が付いたかも知れない。

 違った。魅力アップが付いてた。下着が魅力アップしてどうするんだ。着てる人に効果が及ぶと良いけど、そうじゃない気がする。脱がせたくなるとかだろうか? いや、下着泥棒されそうか……。まあ、良いだろう。これも修行だ。


「……良いだろう。あの、疑似親子には渡さなくていいぞ」


 悪い笑顔のフォーンさんには自重という言葉を贈りたい。


「はあ。これ、脱がされるかもしれないし、そうします」


「どう言う意味だ?」


 内容を聞いて悪い顔をしているフォーンさんは、無言で下着をケール星に連れて行くチョーカーの男と女、それからレイモンドに渡している。

 リーダーをやってた使い魔はどう見ても服ごと歪んで人型を保ててないので、何も支給していない。紅一点のお姉さんは丈の短いシャツの裾を引っ張りながら俯いていたけど、下着の支給にホッとしていた。裾が切られて短くなっているのはフォーンさんの仕業だろう。


「確かに脱がせたい」


 理由を言わずにその台詞だけ言っているのは楽しいからだろう。


「そんな目で見るんじゃねぇ」


 着替え中の銀色のチョーカーを着けた男こと、ロイがフォーンさんを気味悪がっている。


「あんたこそ、その色目なんとかしなさいよ」


 箱の中でロイのエロ視線に泣きそうになってた紅一点のプラムは仲間を責め始めた。ここぞとばかりに言いたい放題言ってストレスをぶちまけていたが、まあ、気持ちは分かる。


「あの下着、夜の姉ちゃんに売れば受けそうだ。仕入れは出来るか?」


「縫い物での……狙っての効果付けはまだなんです」


「要修行だ!」


「えー」


 フォーンさんに言われたくないよ。


「えー、じゃない。客が欲しいと言っているんだ。百は作れよ?」


 そんな真剣な顔で注文しないで欲しい。本気にするじゃないか。


「何処の町を下着泥棒まみれにする気ですか?!」


「みかんの町だろ?」


「追い出しますよ?」


 少し睨んだら、


「それが出来るならな」


 と、鼻で笑われた。


「むむぅ」


 横目で睨んでたら脳内画面でディーンさんが、からかいすぎて怒らせるなと言って笑っていた。こっちの様子を見てたらしい。


「……あー、巣でやる。研究班なら手を回せるってか?」


 本当にされると思ったのか、場所を変えるとか言っている。半分は本気のようだ。


「知らない!」


 ディーンさんは爆笑しながら、後でなとか言っている。そんな事をしている合間に、月であるダーンから小型の魔道飛行機が降りて来て、後始末を押し付ける為の人員が顔を見せた。なので、記憶処理する人間の引き渡しを行い、他のメンバーの記憶処理の許可証を貰ってから、乗って来た魔道飛行機を飛ばしてキュー星を後にした。

 僕はあのレンタルした車の修理費が、経費で落ちる事だけしっかりと確認しておいた。後はお弁当を食べられたりとかぐらいしか被害は無いし、取り敢えずヴァリー達と落ち合う事にする。


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