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世界を繋ぐお仕事 〜キヒロ鳥編〜  作者: na-ho
へびとたまご
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137 面接

 ◯ 137 面接


 さて、今日は初めての面接だ。面接経験の無い僕が面接者を選ばないとならない……なんて言うかそう、仲間を増やす為のイベントだと思う事にしよう。うん、大丈夫だ。


「初めまして。アイスです」


「私がアイスよ。そっちはナナシね。インテリジェンスアイテムを手に入れようって言うのに随分貧相なのが来たわね」


 初めて名前が被った。けど、この感じだと仲良くは出来そうにない。同じアイスを名乗っているのが気に入らないって顔だ。

 目の前の彼女はタンクトップ型の黒トップと、しゃがんだらお尻がはみ出しそうな丈の短パンを着ている。腰のごついベルトには銃がニ挺下がっていて、太ももに巻き付けられたベルトで激しい動きでも銃が取り出し易そうになっている。腕に付けられている黒いリストバンドには暗器が仕込まれてそうな雰囲気を醸し出している。

 そして、何故へそだしなのかは問わないでおこうと思う。特に胸のパッドには気が付かなかった振りをしておこうと思う。きっと中には暗器が仕込んであるからだ。ルルさんと良い勝負の胸をCカップにまで底上げしているのだ。女の子をやった僕の心眼はパットを見抜ける!

 そして、一体何が隠されているのかは知らない方が幸せだと僕の勘が告げている。何たってパンツの中から鞭が出てくる時代だ。


「えーと」


 無理矢理、嘲笑している顔に視線を動かし、肩下に目を向けない努力をした。醜く歪んだ表情よりも今はパンツが怖い。いや、ブラの中身が怖い。


「普通は中級者か、それ以上が目安よ。それ以外は選ばれたりしないのよ」


 ふふんと鼻で笑いながら言われてしまった。忠告ありがとうございます。僕の努力は報われているのだろうか? 一応一番の地雷を避けれていると思っているが、どうだろうか。


「選べるんですよね?」


「ふっ、勘違いしてもらっちゃ困るのよ〜? 選ぶのは向こうよ。従えさせれるくらいの実力者なら勝手に向こうから飛んでくるわ! 私のこの双銃のようにね。意志のある武器は癖があるし、相性が良くなければ絶対に選ばないわ。どう見ても万年見習いか初級者にはなびかないのよ?」


 何しに来たと言わんばかりの目の前の倉庫係はべらべらと自慢を喋ってくれている。それも、見事に見た目から酷評され見下されている訳だけど、なんだかこの扱いが懐かしい。

 マオのときの反応とは違う。言動の裏に嫉妬が隠されていたり痴漢が襲って来たりしたけど、ヨォシーの姿はアキのときと同じで見た目から既にダメ人間と判断されて更に少し話をしただけでこの通りだ。見下すまでの判断が早すぎる。自分に取って役に立たないから見下していいとは限らないはずなんだけどな。だって、そこで繋がりが途絶えるじゃないか。人の縁は何処でどう繋がるか分からない面白さがあるのだから。


 そんな負け惜しみを考えながら、彼女の酷い態度を受け流し、相手の決まっていないインテリジェンスアイテムである物妖精、物精霊の保管されている場所へと案内をしてもらう。

 死神の組合の古い建物から地下に降り、地下街を進んで更に地下へと潜った先に眠っているそれらは厳重に封印されてたり、閉じ込められて管理されている。ヘッジスさんが言うには殆ど壊れていて使える物は残って無いと言っていた。そして、玄然神のご意見は直ぐ壊れるから使えないとのご返答だった。


 要するに、上の人が壊して直すのもコストが掛かるから誰も拾わないのだ。たまに良い掘り出し物が転がってれば良いと言った所だろうか。直せる職人も少ないし、ポース並みにうるさい注文が入るから匙を投げられているのだ。ちなみに今日はポースは連れてきていない。マオとポースは有名だから今はまだ別で行動した方が良いと考えたのだ。


「さあ、付いたわよ。帰りは一人で充分でしょ。はい、この鍵、ちゃんと入口で返すのよ?」


「はい。ありがとうございます」


 毒を吐ききったせいか、アイスさんはスッキリした顔で何処かに歩いて行った。鍵を渡すときの悪そうな笑顔がちょっと気になったけど。

 倉庫は百以上あるけど、マスターキーが一本あれば充分で、このキーも仄かに意志を感じるので、インテリジェンスアイテムと思われる。


「精々頑張りな。帰りに手ぶらだったら大笑いしてやる」


 アイスさんの自分の言葉は確定だと思っている捨て台詞も悪者的で、期待を裏切らない人だと思いつつ後ろ姿を見送った。


「初めまして。よろしくね?」


 と、僕は鍵に挨拶をした。念話で挨拶と驚きの感情が返って来た。どうやら物を大事にしないタイプの人にはお灸を据えるべく、ちゃんと案内をしないらしい。そんな説明が返って来たときは成る程とここのルールが分かった。

 僕はここに来た目的を告げた。大いに歓迎してくれるみたいだ。修理込みでお仲間を集めに来ているので、まずは面接だと伝えたのだ。どのくらいの修理が出来るのか聞かれたので、うちのチームなら最高レベルでリラくらいだと伝えた。リラは僕のベールのブローチに擬態している。直ぐに、例として通常のお姿フェアリーになってもらう。

 直ぐにマスターキーから面接を受け付けて欲しいと要望を告げられた。電子認証キーや魔力紋認証だの魂魄認証だのも通せるのかを聞かれたがそれは犯罪だからダメだと言うしか無かった。


「まあ、犯罪者を捕まえる為にとかならありなのかな? 捜査とかで許可が出てたり」


 どうやら昔の鍵技士が彼を作ったらしい。カードキーやら声帯認証やらが出てお役御免になったのでここで雇ってもらっているのだとか。まあ、ここに入るまでにそういった場所をくぐり抜けているし、この死神の巣に関してはマントが認証に使われる。

 せめて自由に動く身体が欲しい気持ちは嘘じゃなさそうだ。でも、このキーが需要のある場所は知らないので自分で売込みに行ってもらわないとならない。

 まあ、リラならシステムに入り込んで電子キーごときは開けそうだし、その他の魔力紋の方も管理している方から下して開けてしまいそうだから彼の出番はなさそうだし僕も扱いに困る。


「その、何でもかんでも開けたい気持ちだけじゃなくて社会ルールも身につけて、何か別の方向で活躍出来ないと行き先は保証出来ないよ」


 僕は正直にそう彼に伝えた。へそを曲げて倉庫を開けてもらえなくても、リラに頼めばカジオイドで対応する鍵の形になってくれそうだし、問題は無い。案の定、拗ねられて倉庫を開けない、とごねられたが、リラに頼んで一つずつ開けて中身を確かめ始めた。

 すんなり倉庫を開けられてキーは落込んでいたが、泣き言を念話で送り始めて鬱陶しくなって来た。倉庫の扉に鍵を引っ掛ける場所があるのでそこにぶら下げて第一倉庫の中身を確かめた。


「うわ。ごちゃごちゃだよ」


 全く整理整頓されてない中身に唖然としてしまった。これは片付けから始めないと無理だ。棚や箱からはみ出し、床に足の踏み場も無い酷い状態だ。入口近くだけ何とか立っていられる場所があるって感じだ。まさか全部の倉庫がこの状態じゃないよねと、ちょっと心配になったので、隣りの倉庫も開けてみた。


「……惨い」


 開けた瞬間、雪崩が起きて石の廊下に物が溢れて来た。鎖にがんじがらめにされた刀やら剣、岩に刺さったままの剣にひん曲がった鎧が起き上がろうとしては失敗を繰り返したりと廊下がカオスになりそうな雰囲気だったので、全部引き寄せの魔法で扉の中に押し込み、ドアを閉め鍵を掛け直した。


「ふぇぇ、これは気が遠くなりそうだよ」


 取り敢えず、近場の第十倉庫まで確かめたが、どれも似た状態だった。厄介払いされた物が詰め込まれているのだ。中には身体に巻き付いて来て身体の自由を奪おうとしてくる布だとか、鞭だとか、手錠なんかもあったけど、固形物以外になれる僕達の敵では無かった。

 中には魔力を奪い魂魄まで縛りつけようとしてくるロープだとか鎖もあったけど、意志があるなら眠らせれば何とかなった。


「今日はもう、諦めようかな……」


 でも、もう一人のアイスさんに大笑いされるしな……。取り敢えず、もう一つだけ確かめてからにしようともう一度倉庫の扉の前に立った。


「……違う」


 この扉じゃないというのが分かった。少し冷静に普段通りの感じで挑めばなんて事ない。自分に必要な物事を選ぶのと同じだ。そんな訳で扉の前に立って神経を研ぎすまし、中に収まっている物との相性を感じ取った。それで進んで行けば第六十七倉庫に行き着いた。

 奥に行く程厄介な物が納められているのは何となく感じ取れているけど、僕の求めなのかそれとも相手が求めている事に応えれるのか感覚はここだと言っている。とにかく運命の扉を開けた。


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