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世界を繋ぐお仕事 〜キヒロ鳥編〜  作者: na-ho
へびとたまご
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136 二重

お久しぶりです。

大変お待たせを致しましたm(_ _)m

前回までのお話等覚えていらっしゃるでしょうか?

専用メディアを作って洗脳体制(?)を整えたところまで行ったかと思います。そして、獣守達に丸投げ。でも楽しんでるし、良いよね?


ちなみにSSでちらりと出て来たバーチャルだかの電脳世界は本編には殆ど出てこない予定です。ご希望があれば番外編とかSSとかに書きますが……物精霊 物妖精を育てる話には調度いいんですよね。

しかし、そんなの書いてたら細かくなるし、終らない罠に嵌る。


まずは本編を進めます!!

 ◯ 136 二重


 死神の組合の初級へ上がる為の試験を受けに僕は試験会場である死神総合学院へと足を運んでいる。死神アイスとして最後の仕事が試験だなんて……ペーパーテストがあるのには泣きたくなるけど、魂の管理者としては充分な実績をアストリュー冥界で積んでいるのでその分をちゃんと反影してくれるみたいだ。ジャクリーン教授の推薦もある事だし、メシューエ神からの月のダンジョン魔物講習も受けているので、その分も加算して後の問題は実地だけだ。

 とにかく最低ラインを超えないと初級に上がれないのだ。


「……もう新しい種属を作って通してるのか?」


「はい」


「何でもっと早く来ない」


 ちょっとイラッとした顔が見えた。僕への出題を決める試験官の苦悩が眉間のシワに現れた気もする。僕の推薦状だの通っている講習だの資格だのを見てくれているのだ。


「いやまあその……」


 実地試験の試験官の困惑顔の理由は種族創りは上級者の仕事だから、そんなのとっくに魂の管理者として初級者のテストは受けとかないとということでした。


「遅くなって済みません」


「あー? 普通の神官の免許持ちか。表の仕事優先で今まで来たんだな? まあいい。おいおい、指名依頼とか来てるし。こんなの上に上げとかないと。こっちも仕事を回してもらわないと困るよ?」


 今度はしっかりと睨まれた。


「はあ」


「はあじゃなくて、下の面倒を見る所まで来てるんだから、上がって慣れたらとっとと中級者の試験も受けにくるんだ。良いな?」


 念を押されてしまった。


「なるべく努力します」


 まあ、人材派遣をみかんの町に作ってあるから、仕事を回すのあたりはクリアしていると思っておこう。


「あ。旧ガーディアンのメンバーか……候補ってことは残ってるのか」


 頭をぼりぼりかいて試験官はばつの悪そうな顔をして僕をちらりと見ている。


「なんでしょう? 不味いですか?」


「確かに内容はエリートだから間違っちゃいない……。が、何もこんなに溜め込まんでも良いだろう。試験する方が大変だろ?!」


 嫌がらせか? と聞かれたがそんなんじゃないんだよ。まあ、試験官の泣き言は置いておいて、魂の癒しから試験は始まった。勿論、解体も既に講習に入っているのだけど、講師の名にオーディウス神の字を見てからは淡々と試験は進んだ。


 最後に魂の眠りを体験させてあげて試験は終了になった。ペーパーテストは……基礎以外独自路線での自己習得が多い僕の月光の魔術の知識が少々怪しいけど、他は異世界間管理組合の闇の属性魔法の試験と大差なかったので問題は起きなかった。後はマントの登録し直しと、職業決めだ。これは合格の証明書を貰ってからになるので、後日だ。


 試験が無事に終わった事をアストリュー世界の家で皆に報告した。ピアの姿になって階下に降りるとクシュリーが甘いお菓子をテーブルの上に用意してくれて、ビクトゥームが紅茶を用意してくれている。


「どうでしたか?」


「多分大丈夫だよ」


 お子様用のソファー&テーブルセットに座って早速お菓子に手を伸ばした。


「手応えはあったようですね」


 良かったという顔で、早くも合格祝いは何にしようなんて言っている。

 試験官の人は僕の資料を見た後は記憶を消されるらしい。ガーディアンの記録を見たらそうする決まりなんだそうで、マオの顔と試験内容やら記録を彼は忘れるらしい。

 こういう強制力を働かせるだけの理由をジャクリーン教授はどうやって付けたのだろうと思いつつ、オーディウス神の派閥は順調に死神の組合を蹂躙中なのだと感想を僕は今回の試験で感じた。

 ココアクッキーにクリームの挟まった物を食べつつ、疲れた脳細胞が栄養を取って癒されてるあいだ、死神の組合に提出する職業と名前、それにベールの機能の登録をどうしようか考えた。

 実はベールの機能も誤摩化せるのだ。死神の組合の存在を根底から覆す様な事だけど、出来ちゃうのだからしょうがない。玄然神に相談してみようとは思うのだけど、東雲さんとお庭でいちゃついているので、近寄るのは止めている。


 調度、お菓子を食べ終え、キヒロ鳥の姿で散歩にでもと思ってたら玄然神と東雲さんが家に戻って来た。


「ではまた」


「仕事では引き止めは出来ぬ。御身を大事にな」


「それは玄然殿もじゃ」


 そんな名残惜しいと言った感じの挨拶の応酬がしばらく続いたが、本当に時間が差し迫ったのか東雲さんはとうとう帰って行った。そこでやっと僕の存在に気が付いた玄然神が僕を見つけたらしい。


「なんだ帰っていたのか」


「ナンダじゃないですよ」


「不機嫌か?」


「そんなんじゃないけど」


 試験であった事を言うと、笑っていた。


「気に病む事は無い。試験官は一日の終わりに試験を受けに来た奴の顔と名前、目立った記録の記憶を消す決まりだ。ガーディアンとか組織の中枢に関係する機密を扱う者は大体そういう決まりだ。ガーディアンは見たら直ぐに消さないとならないから面倒に思っただけだろう」


「なんだ。それですぐに決めないとダメなのか、って愚痴ってたんだ。よっぽど面倒なのかと思って損した」


 気を使って眠りの癒しをしてあげたのに……。


「気に病んだのか? そいつの愚痴など真に受ける程でない。不満をぶつけて来ただけだろう。だから試験官なんて中途半端なのをやってるんだろうがな」


 まあ、初級に上がる死神の試練ぐらいには調度いいかとか言っている。

 何となく言いたい事が分からないでも無い。こういうちょっとした事で精神の強さやら不快な事への耐性が育まれるのだ。ぶつけられた他人の不満とどう向き合うのかで決まる。というか、精神を強化出来るのか出来ずに周りへと発散して不満を広げる人になるのかは、生き方の問題な気もしないでもない。

 やたらとぶつけられる理不尽に対応して思うのはそんな事だ。僕なんて皆の存在という支えが無かったら喚き散らしてたかもしれない。いや、潰れて消えてるかもしれない。人生修行の場とか、考え方次第だけど……遊び場だと思っていたい僕には辛いかも。

 ま、試験官の事はスッキリしたので、玄然神に聞こうと思っていたベールの機能に付いて相談しよう。


 聞いた結果は、組織の用意している認識装置よりも、僕の隠蔽やらマント作りの技術が上回っているなら、誤摩化せば良いだった。オーディウス神なんて昔からそうやって何体もあそこに送り込んでいるんだから問題ないとの事た。

 成る程。自然と頬が緩んでしまう。死神の組織にも捕まえれないくらいになっているのだという事ですね? ま、全部馬鹿正直に登録する事も無いと僕は思う。オーディウス神に見習ってアイスともう一つだけ登録し、それぞれ職業を適当に決めて活動する事に決めた。組合費だとかを払わないとならないし、余り沢山登録しても意味無い。

 別の姿とベールを作って、もう一度初級の証書を取るべく、試験に挑む事をその日決めた。

 玄然神には楽しめ、と、その日二度目の試験会場入りを送り出してもらった。姿はヨォシーだけどアイス=マオとは違うベールを持つ別人として活動出来るのはものすごく重要だ。

 灰影なんかに足取りを追わせない為の技術を手に入れたのだから身を守り、周りに迷惑がかからないように出来るのだからやるべきだ。

 アイス クリーム=ヨォシーの誕生だ。敢えてアイスにした。被る人が多いからだ。クリームは被った時用に一応付けた。

 みかんの町拠点の魂管理者として、そしてアルバイトで月光の魔法で毛織物の手触りを良くしているというありふれた履歴を通しておいた。

 次の日には二つの合格証書と初級の証書を手に入れた。死神も二重生活か。まあ、マオはC3Uから動かないし姿や名の使い分けは既に慣れた。


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