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世界を繋ぐお仕事 〜キヒロ鳥編〜  作者: na-ho
めでぃあめでゅーさめそめそめそっど(仮)
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135 無尽蔵

この章はこれで終わりです。次回は登場人物と、みかんな包装紙です。

 ◯ 135 無尽蔵


 砂漠に向かうにあたって、姿をどうするか悩んだけど、これしか残ってなかった。ヨロシだ。いや、ヨォシーだ。あんなに意気込んで作った舞桜が使えないのは寂しいけど、それもこれも僕が弱くてつけ込まれる存在だからだ。大人しく目立たないように息をひそめようと思う。

 いや、死神としてはそれで正解かと今更思うのだけど、もしかして今までが間違っていたのだろうか? いや、良いんだ、だって見習いだ。これから初級の死神になるのだ。若葉マーク付きだけど公道に出るのだから準備は必要だ。デビューまでに気が付けたと思っておこう。


「地味すぎないかい、ハニー」


 いつも通りのラークさんは、僕の姿にご不満のようだ。何せ元々覚えにくいモブ顔を、更に記憶に残りにくいように認識障害系の魔術をほんのり掛けた自前の魔術服で更に誤摩化し、服で必要以上に気配が消えてしまう特徴は消えすぎてもおかしいからと、ほんのり他人の気配を纏っているのだ。何処からどう見てもその辺を歩いている人族にしか見えない仕様だ。仕事装備は完璧だと僕は思っている。


「死神の初級に上がるので。今日は訓練だし……」


「そうかい? 服装はもう少し個性を出した方が良いよ? 地味すぎて誤摩化してる人って感じだから見る人が見たら同業だって分かるかな」


 人に紛れ込む神としてアドバイスを貰った。ラークさんはどうやら最近は情報屋を捜したり色々と動き回っているみたいなのだ。自分の世界の怪しい動きをしている所を直接探っては証拠を探し、悪神が潜んでいないかを姉妹と一緒に見回っているのだ。

 きっと楽しんでいるに違いない。だって素人だねって言いつつ頭を撫でられてしまったからだ。まあ、経験を既に積んでいるラークさんは死神にも通じるくらいの偽装、変装が得意なのだ。別人の気配を纏うのはラークさんに教わったくらいだ。

 普通の人々を観察するところから始めるのも良いよとアドバイスを貰った。いや、大量のファッションフォトを集めてはマリーさんに渡しているのだ、自分で気が付けないとダメだと思う。


「そんなに何でも自分でする必要ないよ。僕がアドバイス出来ないだろう?」


「……そ、そうかな」


 思考を読まれたみたいだ。両頬を手で挟まれて目を合わしてくる。


「そうだよ。神眼の力は随分落ち着いたね。この綺麗な目をえぐろうなんて考える馬鹿がいると思うと悲しいよ」


 どうやら目を狙っている奴らがいると聞いたらしい。ラークさんの目こそ綺麗だと思うぞ。


「はあ」


 そろそろ手を離してくれないと、神気に当てられてドキドキクラクラするんですけど。紫月に言わせると僕は惚れっぽいらしいんだよ。直ぐに絆されてくるとその事に関してはもっぱら叱られまくっている。でもそれは紫月も同じだと思うんだ。やたらとお友達は増えてるし、誰の教育か可愛いくて綺麗なものには目がないし。


「おやおや、可愛い嫉妬だね」


「う、あの、そろそろ訓練を……」


 それでやっと離してもらえた。


「ああ、そうだね。もっとドキドキしていいんだよ?」


 どうもからかわれているようだから、チョッピリ睨みをきかしてみたけど、さっぱり効かなかった。神眼も目力には遠く及ばないのか?

 ラークさんは背を向けて大笑いしているので僕は放置して訓練に向かった。


 砂漠の訓練場にはポースとグレンネスさんがボードゲームで盛り上がっている。今回は陣取りゲームみたいだ。

 この前の人生ゲームでは僕が一人勝ちしたので禁止と言われて皆から干されている。どのカードを選べば良いのか分かるし、流れも読めるしコントロール出来る。運を操る僕には中々勝てないのだ。同じように運命を操る者同士だとカードやら駒が歪んだり消失してゲームにならない。

 力ある神々の争いは意外と怖い。これがカードじゃなくて人間でも世界でもサクッと消失とかがあり得るからだ。そこで眷属同士で争ったり戦ったりが起きる訳だ。政治経済何でも良いから媒介が必要だ。

 例えばレイは美を通して光り輝く運命を与えるのが好きだし、ラークさんは地に運命を示すのが好きで民は砂漠では良い砂を拾ったとか迷い人に道が開けるとか言う。僕は運命の和を広げる形だろうか? まだ定まっては無いし、好きな方法で良いと思う。


「ポース! 始めようか」


 大方のベールの使い方は決まった。後は実戦だ!


「おう、相棒。待たせたな」


 バージョンアップしたベールの力に慣れないとならない。今度はボードの上ではない。

 僕の神眼は、50メートル先のグランネスさんが厳つくて何処のやくざかと思う様な顔に、悪い笑顔であくどさを盛って佇んでいるのを捉えている。既にものすごい豪気と怪気がこっちを捕捉し絡めとろうとしているのを感じて、足先から背中に震えが上がって来たが、ポースの声に励まされて仕込んでいた霧の魔術の展開を始めた。


 その日の訓練での戦闘は僕の体力切れが原因での敗北だった。皆、おかしいよ。


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