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世界を繋ぐお仕事 〜キヒロ鳥編〜  作者: na-ho
めでぃあめでゅーさめそめそめそっど(仮)
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132 如何様

 ◯ 132 如何様


 要するに記者コロンは二等真偽者として星深零に所属する人物だったらしい。東雲さんは額に青筋を浮かべながら僕の隣りで画像の中の記者コロンを睨みつけている。


「よくもまあ、このようなおぞましい怨念を引き攣れて妾の組織に入っておるものよ。末端とはいえ許しがたいぞえ」


 時代劇語が炸裂している東雲さんには悪いが、どう対応すれば良いのかをアドバイスしてもらわないとならない。僕の家のソファーで玄然神の羽織をたたみ片付けていた彼女に話し掛け、映像を見せたが、思った以上に反応している。


「あのー、それで二等真偽者っていうのはどういう立場ですか?」


「ふん、たまに真偽の分かるくらいの者じゃ。能力は安定せずにフラフラとしておる。正にこのような心根の者にはこの力は扱えぬと言っておる様なものじゃ。心配せぬでも彼奴の言は信用には値せぬ」


 眉間に皺を寄せ、堪え難い物を見せられていると言った感じで僕を睨みつけてくる。いや、僕に当たらないで下さいね?


「じゃあ、普通の真偽と同じと思って大丈夫かな?」


「勿論じゃ。しかし、この怨念の数は放置出来まい。誰が担当なのじゃ?」


 何処の所属で誰の担当かを聞かれたが、正直知らない部署だ。


「情報誌ヒューラとかいう記者の名刺を貰いましたけど」


「証明書ではないのか?」


 東雲さんには名刺は今一馴染みの無い物だったらしい。


「証明書を提示するだけじゃ覚えてもらえないから自分でカスタマイズした物を交換するんです」


 証明書は渡せないし、コピーなんてしたらダメだ。悪用されかねない。それらの情報をまとめた物を相手に渡す。しかし、関わりたくない人のは正直捨てたいけど、捨てずに保存しとかないとトラブルに巻き込まれた時に反撃出来ないのが嫌なパターンだ。要注意人物程慎重に情報を集めるのが大事だとこれまでの経験からは答えは出ている。


「ほお。便利じゃが自称が通用するのは困るぞ」


 画面のコロンさんを指さして言うので、コロンさんの名刺は嘘だとの判定が下った気がする。そうか、情報誌ヒューラは関係なかったか。というかそんな情報誌は知らない。


「言われたらそうですね。何か規定を付けた方が良さそうです」


「身分詐称には罰を与えねばならぬ。しかし、証明書の様に正式にこちらの後ろ盾がある名刺とやらを採用すれば信用度が上がりそうじゃ」


「あー、良いですね。東雲さんなら組合員の称号と星深零のマークを付けた名刺とか発行したら喜ばれそうかも」


ホングも一々証明書を見せて更に名刺を渡してと慌ただしそうだからね。


「よい、それを採用しようではないか」


 ご機嫌で何処かに連絡を入れ始めた。悪用防止に専用の名刺の発行を思いついたらしい。コピー不可で本人以外は閲覧しか出来ない制限付きだ。何故かマシュさんにその説明をさせられた。


「確かに正式な物は無かったな。子飼の者達の売り込みには心強いだろう」


「後ろ盾が付いた名刺なら捨てはせぬし、素通り出来ぬ。相手側も詐欺にもかかりにくいはずじゃし、使う本人の自制にもなろう」


「一石二鳥?」


 売込みにも沢山ある資格等の証明も一つに纏めれるのは便利だ。


「うむ。組織の一員としてみられるのだ。気を引き締めて仕事にむかえるであろう」


 ご機嫌な東雲さんは、組織員としてどれだけ発行して交換したかのデータも取れるようにとか色々と注文をし出した。マシュさんは交換記録は全ユーザー分を保管出来るようにプログラムするかとか聞いてはいけない事を相談に乗り始めた。良いんだ。僕は聞かなかった事にするから。きっとC3Uの監視網に追加するに違いない。


「交友関係からビジネス関係まで人の繋がりが監視出来るぞ」


「面白いの。まあ分かったからというて何かするというのは無いが、悪しき事を考える輩には欲しい情報にちがいないの」


「ふん、こんな表層のデータなんぞ脅しの役にも立たんぞ」


 マシュさん……。交友関係ごときじゃ脅しには弱いと言っている辺り、こんなくらいの監視は生温いと思っていそうだ。さすが『ディフォラー』の開発者だ。


 そんなこんなで僕が星深零に行くまでに、何故か異世界間管理組合の正式な身分証明付きデータ名刺が作られる事が決定した。登録制で許可が下りれば何種類でも作れる。紹介状に貼付けたりとか履歴書付きとか目的毎にカスタマイズは自由だ。

 手持ちの資格をアピール出来るし、階級的なその組織での地位まで丸見えだけどリターンも多いはずだ。


 ついでに応用で自分マークを決めて貼付けたりとかしておけば良いんじゃないかとの案で、マーク登録可能になった。例えば生産者の僕の作った怪しいポーションにも、容器にマークを付けとけば間違って飲むとかが防げるのだ。

 いや、組織の中の個人が生きる仕組みだと思うので流行ると思うんだ。しかし、レイが言うには失敗の追及も簡単になるねとのお言葉で少し目が覚めた。

 微毒が切れるまで、変なヨガポーズでメェーとしか鳴かなくなる怪しいネタポーションは、完成まで何処にも出さないと心に誓った。だって毒だし追及は怖い。今度マシュさんに微毒を抜く方法を教えてもらってから世に出す事にしよう。

 これでも一応は神々の為の生命、体力回復の魔法薬なんだ……胃腸内で吸収される時に作られた神経系の毒の効果でしばらく痙攣しながら変なポーズになってメェーと言ってしまうけど、微毒は体力回復とともに短時間で消える。ちょっとだけ惜しいだけなんだ。


 ところで僕が新しい身分を作るには、アイスの初級上げを済まさないとならない。取り敢えず、星深零での争いを終わらせに行こう。


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