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世界を繋ぐお仕事 〜キヒロ鳥編〜  作者: na-ho
めでぃあめでゅーさめそめそめそっど(仮)
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128 確認

 ◯ 128 確認


 ゴーノヴォッカさんと話をするため、ローラさんが帰った後は店に残った。


「どうですか?」


 話し掛けると、


「おかげさまでヴィヴィアン嬢の事で店の評判が落ちるとかは避ける事が出来ました」


 と、テーブルの向かい側に座って一息ついてから彼は喋った。


「やはり、父親が捕まったというのはそれだけ響きますか……」


「あの事件の後ですから余計に噂が出ますので……」


 僕はゴーノヴォッカさんの表情から、店主として名を変えた後の経緯を思い出していた。連帯責任で借金を負っている女性では、融資は受ける事はほぼ不可能だという言葉を聞いたのだ。

 まあ、僕と面識が無かったというのもあるし、ゴーノヴォッカさんが見所はあるのだと言っているのだから大丈夫だと信頼するしか僕には無いのだ。苦手は誰にでもあるし、これからゴーノヴォッカさんを代表に親族で盛り上げようとしているみたいなのだ。それに手を貸すのは全く持って嫌じゃない。

 この店が続く限りは支援をすると決めているしね。


「取り敢えず、ホテルやこの店、身辺が落ち着いたら招待券を送るよ。外の世界も見て損はないと思うよ」


 ルルさん達一行みたいな訳の分からないツアーにはならないと思うけど、一度も外に出た事が無いのなら招待しても良いと思うのだ。見聞を広めるのは大事だし、息子さんと出かければ骨休めには調度いいはずだ。


「はい。親子で楽しみにさせて頂きます」


 僕は断られなくて良かったと胸を撫で下ろした。目の前の柔らかな香りのハーブティーを飲んで次の話題に移った。


「レクタードさんとのホテルの事業はどうですか?」


「アドバイザーという立場にさせて頂きましたので、こちらの世界での常識から外れないようにさせて頂いていますが、彼は良く分かっているようです」


 そのまま、ホテルをどうして行くのか基本方針を教えてくれたので聞いてみた。

 まずは経営者が変わったというのを知らせる為に玄関ホールを中心に改装を計画しているらしい。フラワーガーデンの名にふさわしく、春が一番観光客が多いけれど、冬場はそうでもないので思い切ってその時期が来たら改装をしてイメージを改めると決まったらしい。

 中に入るテナントはクーデンバリブ家の息の掛かった所が押し寄せてくるみたいな事をゴーノヴォッカさんが苦笑いで教えてくれた。

 更にサクジュさんの部下のカーデラムさんに掛け合って、隣りの研究所の職員の家族等の宿泊は割引やらの優待を検討しているとか色々だ。


「外からの客を呼ぶ工夫を考えているんですね」


「ええ。来年の聖域での契約イベントには全て整えたいと仰っています。聖域の管理精霊にお会いすると言っておられましたが……可能とは思えないのです」


「あー、それは大丈夫だよ。僕達の師匠が彼女の知り合いだからそっちから手が回せるし」


「そうでございましたか。聖域内の見学を取り付けれるという事ですか」


「そう言えば、期限を区切って何かする様な事を聞いたけど、それと思うんだよ」


「ええ。シーズンごとに十日程中に入れるように妖精達を付けてから、観光出来るように。……専門の引率を付けて聖域内を回れるようにするとか仰っていました。精霊界の様子に近く、身近に妖精や精霊を感じてもらって垣根を低くしたいと仰っておりました」


「良い事だね」


「ええ。実現出来るとは思えませんでしたが、管理精霊と話が出来るのでしたらそれも夢ではないですね」


 目の前の人物にちょっと呆れた様な視線が入った気がするけど、僕は気のせいにしておいた。ファムダさんで充分懲りた。なのでまた話題を変えた。


「ホテル内の人は随分入れ替わったと聞いたけど、そっちは?」


「仰る通りに全て入れ替えになりました。彼の本来の部下も入りましたが、聖域の外のホテルから随分と人を連れてきたようです」


 そこは評価出来るとゴーノヴォッカさんは嬉しそうにしていた。息子さんの人材派遣にも警備等の人材で声を掛けてもらったりと融通して頂いたと言っているので良かったのだろう。


「貴方の方からも、優秀な人材を息子の会社に紹介をして頂き感謝しております」


「うん。個人会社でだと難しいけど、うち(みかん)の人材派遣と提携しとけば外の人が入るホテルには調度いいと思うし」


「はい。護衛官のレベルの高さに驚きました。隣りの研究所よりも質が高いとの言葉を頂くくらいです」


「あー、そうだね。そこは問題ないよ」


 地獄型ダンジョンを制圧する事の出来るメンバーだ。そこいらの雑魚悪神が何か出来る様な方々じゃない……ちょっと職に溢れてただけの闘神候補だとか死神様だ。戦力には申し分無く、保証も最高ランクで出来る。

 前回の研究所襲撃事件で噂となった物があると、何処か(闇のネットワーク)から聞いて調子に乗った他の悪神が襲いに現れても、撃退出来る方々だ。

 ブーザンド神にもしばらく彼らをあそこに配置しておいて欲しいと正式にお願いされているし、みかんの人材派遣としても良い稼ぎになると、ローテーションまで組まれて順次人を送っている。

 ゴーノヴォッカさんはそこまで認識してないけど、別の思惑が隠されている事は何となく察してそうだから、質問はされてない。

 そんな感じで話し合いは終わり、ファムダさんに用意してもらったレクタードさんのホテルの部屋へと帰り、明日に備えた。



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