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世界を繋ぐお仕事 〜キヒロ鳥編〜  作者: na-ho
たからばこむそう
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100 戦後

 たからばこむそう

 ◯ 100 戦後


 ヘッドゥガーン世界の異世界渡航場所にあるラウンジで、瑠深(東雲)さんとお茶をしている。

 ブーザンド神(ベルーザ殿下)とサクジュさんに見送られるという実に豪華な凱旋? をし、やたらと目立った事を気に病みながらラウンジに到着した僕を東雲さんが声を掛けてきたのだ。


「随分ゆっくりと帰ってきたの」


「はい」


「良い旅行であったか?」


「そうですね。最後はお土産も一杯買えたし。お土産話も出来たし、えーと、スポンサーとか言うのもなったし」


「ほぉ。妾もその話で向かうのじゃ。東雲の名で行くと向こうが遠慮するのでこちらで向かう事にしたのよ」


「そうだったんですね。女神の結束の会ですか?」


「ふむ、それと人種転生を目指す『アンドロイド進化新説』とかいう会の発足にも向かう」


 妙な名に戸惑いつつも浮かんだ顔を口にしてみる事にした。


「……あー、ローラさんですか?」


「代表の名はそうじゃの……思い切ったようじゃ」


 クスクスと声を出して笑う瑠深さんもこの名には笑いが出るみたいだ。


「それについては五十日後くらいにこっちにまた来るので、話し合いはその日から始めるってことで落ち着いてますけど」


「妾はそれに向けて物妖精としての存在の定義とやらを星深零として普及しに向かう」


「そうなんですね」


「そなたもちゃんと見ておくと良いぞ」


「はい。そうします」


 データを貰って、ラウンジを後にした。資料を見ると、ドリーゲシターゼ異世界管理会が、物に宿る心も持つ妖精、精霊を扱うのが上手いと知った。というか育てているのだ。そして、彼らを上手く利用して世界の発展をしているのが分かった。


「成る程、魔道書も多いのか……」


 ボス(ポース)と一緒にアストリュー世界に向かう為にもう一度、指定された場所に行ってそこから帰った。空気を吸い込むと、全身から力が抜ける様な感覚がするいつもの安心感が感じられない。それどころかあちこち工事をしているのが目に付く。神殿も柱が何本も折れてるし……まさかここに悪魔の襲撃があったんだろうか? 

 僕は慌てて家に走って戻った。家は無事だった。


「み、みんな無事?!」


「おーい、誰かいねぇのか?」


 玄関を破りそうな勢いで開けたけどリビングには誰もいなくて泣きそうになった。そこに外から獣族姿のチャーリーが現れた。くまのぬいぐるみが歩いてるかの姿に少し力が抜けた。


「あれ? 護衛官の資格は?」


「何をぼけているんですか?! そんな事よりさっさとピアになって下さい」


 家ルールを思い出し、チャーリーに手を引かれて上階の自分の部屋に連れて行かれた。


「あの、皆は無事なの? 神殿が壊れてたし、なんかチャーリーは戻ってるし」


「悪魔討伐者が悪魔を討伐しに行くのに何の制限も掛かりませんから。獣守達全員が今回の襲撃でその称号を得る事が出来ました。誇っていいと思います」


 にこやかに言われた内容は物騒だ。けど、チャーリーの様子を見るに、それはもう、終った事なのだと思えた。お着替えも終ったので、ちびピアの姿でリビングに戻った。

 レイはシャーロットとしてC3Uにて司令部をまとめ中で、ディーンさんはマシュさんをまだ護衛中だ。マリーさんはガリェンツリー世界で闘神と死神をまとめて戦果報告やら状況を聞いて、どのくらいの戦闘員を送るかを決めていたらしく、それももう、終って事後処理の方に変わったらしい。


「何があったの?」


 チャーリーからリモンジュースを貰いながら聞いてみた。ポースも隣りに陣取った。


「ターシジュン管理組合が乗っ取られました」


「そいつぁ大事件だ」


「言ってた悪魔の新種?」


「お聞きしたのですか?」


「ううん、僕が行くはずだったドーム型の街のある世界にそんなのが出たってだけ」


 チャーリーが頷いてから僕が旅行に出かけた後の事を話してくれた。


「はい。C3Uの執行部がそちらの世界に行ってみれば悪魔がうようよといたため、即死神の派遣が決まりました。が、敵は他の世界へとバラバラに転移を始めてしまい、ターシジュン世界を混乱へと巻き込みました。その流れで悪魔の新種があちこちで起動してあっという間にミトリュウム商会に、ドリーゲシターゼ異世界管理会にまで争いの火種が起き、各世界が封鎖になりました。無論、ヘッドゥガーン世界もです」


「そう言えば何か急激な成長がおかしいから調べるって言ってたっけ」


 封鎖する瞬間には気が付かれて逃げられ、各世界に散った悪魔は憑依先(刻印アンドロイド)があれば界を越えれる事が分かっている。


「はい。調査は抜き打ちでしたので、彼らは直ぐに見つかりました。ですが取り逃がした後は、あっという間に怪しいと睨んでいた世界と共に敵対勢力と全面戦争に入りました。が、こちらもC3Uをはじめ、みかんの町で死神達も闘神達も準備は抜かり無くやってきましたから返り討ちに致しました」


「そう言えば近々大元をたたくとか言ってたね」


「はい。ですがそれらは捨て駒の様な扱いの場所で、そこを取り締まっても根本的な解決にはほど遠く、本拠地は分からずじまいでした。偶然にも、今回の調査で見つかったのは僥倖とC3Uの司令部も納得をしております」


「そんなことになってたんだ。で、アストリュー世界はどうなってるの?」


「アストリュー世界は私とダラシィーが担当し、どさくさに紛れて侵入してきた邪神と悪魔を一掃しておきました。ご心配はもうありません」


 どうやら神の戦士とともに戦ったらしい。ダラシィーは後片付けを手伝っているみたいだ。


「そ、そうなんだ。紫月達は?」


「紫月とキリムは仲良く悪魔討伐をなさり、聖域を護って下さいました。私もみかんの中間界以外でも単独討伐をさせて頂き、ピアの帰りを待つのみとなっておりました」


「え、あ、ありがとう。護ってくれたんだね」


「勿論です」


「あ、あれ? 紫月とキリムも戦ったの?」


 なんかサラッと言われたからスルーしてしまったけど、脳内変換してやっと突っ込まないとならない事に気が付いた。チャーリーの微笑みで誤摩化されるところだったよ。


「聖域の守り神として活躍されましたよ」


「そ、そうなんだ」


「後でたっぷりと雄姿を見て上げて下さいね」


 僕は引き攣りそうな頬を押さえながら頷いた。録画チェックは必要だ。


 彼らの狙いがキヒロ鳥の変種である僕というのが紫月の逆鱗に触れたらしい。キリムの聖光纏いアタックの後、憑依していた悪魔が逃げようとしているのを紫月が聖水で囲んで聖攻撃をし、蒸発させていた。


「さすが俺様の指導を受けているだけあるぜ」


 試写会でポースが説明してくれた。


「そうなんだポースの事を尊敬しちゃうよ」


 あれは魂も綺麗になってそうな気がする。要は核が無事かな〜くらいになっている。きっと悪魔とは思えないくらいの良い子に変わったと思う。うん、良いんだ。死神も真っ青な戦いぶりに呆れてるだけだから。

 というか、レイとかメレディーナさんが戦わない理由って悪魔の魂も分解してしまうからだと何となく分かった。下手をしたら大爆発で大惨事だ。地獄のエネルギーも一応は資源だと認識しているので出来る限りは普通の手順を踏むべきだと思う。

 レイの言ってた光の魂解体がえげつないとか言ってたあれとかに近い。見ていて気分が良くない類いの物だ。魂を壊しまくるのは確かに良くない。大きなエネルギーを動かす為に長い時間を掛けて育てた物だ。

 後始末も大変なのだと分かる。反する力での攻撃は余程じゃないと穏やかには難しい。周りを巻き込まない為に時間を掛ける必要がある。

 その話をしながらチャーリーに聞いたら、その辺りの事を紫月は今、講習を受けているらしい。予想通りだ。危険行為だからね。


「ところで、ヘッドゥガーン世界というか、異世界間管理組合は落ち着いたって事で良いんだよね?」


「はい、ほぼ片付いています。ターシジュン世界は破綻近いところまで行ってしまい、しばらくは異世界間管理組合とミトリュウム商会とで世界間管理を引き継ぎ、ターシジュン世界の復活を支える方向に決まりました。そして、ドリーゲシターゼ異世界管理会は……」


 とても言いにくそうだけど、僕には理由が予想出来なかった。


「どうやら二分しているようでして、代表が二チームとなっているので交渉が難航しています」


「そ、そうなんだ」


 内部で動乱が起こっているらしい。


「どうやら刻印のアンドロイドに関してドリーゲシターゼ異世界管理会の権利取得が認められたので、あれを開発した担当を聞き出しているようですが、C3Uに協力をしている訳ではないので……拒まれています」


「両方の代表に?」


「ええ。普通はどちらかの足を引っ張るはずなのですが……。二分しているというのはうやむやに終らせる作戦かと頭を抱えています」


 チャーリは怒りを込めて握りこぶしを作っている。そんな場合ではないのに悔しいのだろう。


「話し合いには応じないってこと?」


「はい。都合の悪い事実を誤摩化す為かと思われます」


「……組織でそれをやっちゃって良いの?」


「物質世界を上手く発展させているので、こちらからの要求には応えないでも良いと判断している気が致します」


 チャーリーが頬を膨らませて怒っている。可愛い。


「話し合いたくないんだね。色々と隠したい事があるんだよ。まあ、その様子じゃ悪魔も飼う気でいたのかもしれないし。チャーリーも怒りすぎない方が良いよ」


 まあ、他の組織の中までは力は及ばない物だし、誤摩化すという事は後ろめたい事があると受け取っても良いってことだとこっちが思っていれば良い。向こうが困る事にきっとなる。

 ぎゅっと抱きしめたら機嫌は直ったみたいだ。


「ええ。怒っていたら美味しいお菓子もまずく感じます。早々に切替をしましょう」


 そう言って、リモンジュースのおかわりを入れてくれた。


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