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世界を繋ぐお仕事 〜キヒロ鳥編〜  作者: na-ho
しろいつき
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7 卒業 ※

 ◯ 7 卒業


「意外と早く来たのね。生まれ変わりというから何年か来ないと思ってたわ」


 そう言いながら董佳様は、お茶の為のカップが用意されているテーブルに案内してくれた。


「あ、そうだよね。早く成長する魔獣だったからね、案外早く済んでよかったよ」


「そうね、管理神ですもの。あまり穴をあけるのは良くないのでしょう?」


 怜佳さんがシシリーさんに椅子を引いてもらいながら座ったのを見て、僕も椅子に座った。


「また可愛い姿ね。元の髪色は何? 白かしら?」


 目を凝らしてじっと僕の髪を見つめている。董佳様の目を誤摩化すのは無理ならしい。シシリーさんがお茶をカップに注いでくれている。今日は英国風な入れ方らしい。


「あ、はい。白い色です」


「まあ。魔法を使う獣で白というと、うさぎか鳩かしら?」


 怜佳さんは首を傾げて僕をじっと見ている。


「それは今度遊びに来た時のお楽しみだね。獣守達も大分落ち着いてるし、来ても大丈夫だよ」


「そう、それは良かったわ。あんまり心配を掛けるんじゃないわよ? 全く二組の悪党に引っかかってまんまと殺されるなんて……さすが間抜けだと思ったけど、残された方はたまったもんじゃないわ」


「う……すいません。心配おかけしました」


 冷たく鋭く注がれる視線は非難しているけれど、多分心配の裏返しだと思う。

 今日のおやつはフルーツタルトだ。ベリーミックスと洋梨が用意されている。ちなみに精霊の力を取り戻してからは舌は人間の頃の味覚を取り戻せている。食べる時は気に変換して消化するので問題は無くなった。


「あら。でも可愛くなって帰ってくるって思ってたから……良いじゃないの」


「怜佳お姉様は呑気ね」


「黒いマントの者が、簡単には消せないのは分かっているのだし、護りもかなり掛けられているから大丈夫だと思ってたわ」


「まあね……このお茶席、女性率が高くなったね、ボクも女の子の方が盛り上がるかな」


 レイらしい気の使い方だと思う。華やかさをあげた方が盛り上がると思ったらしい。


「あら、気を使わなくて良いのよ? でも間抜けがその恰好は不味いんじゃ無いかしら?」


 ベリーの酸っぱさとカスタードの甘さが混ざるのを全員で楽しんでいると、董佳様は変な質問をしてきた。


「そうかな?」


 レイが首を傾げている。


「アストリュー世界なら普通でも、他だと襲われる率が上がりそうな気がするわ」


「そうね、今まで無視されてた気配りに勘違いを起こす者が出そうね……」


「性別が変わっただけでころりといくものよね……無防備だし、後ろに気をつけるのよ?」


「そんな……」


 変なフラグを立てないで欲しい。

 しかし、久しぶりのお茶会は大満足だ。夢縁では僕の処置は卒業したという事になった。試験を受けないとならないのだが、そこは夢縁の発展に貢献したという事で免除すると董佳様が一筆書いて終わりだった。まあ、見習いの死神で冥界の癒しも経験があり、生まれ変わりもやっているのなら卒業で大丈夫と判断されたのだ。

 これからは一般人として夢縁には入ることになるが、アキの姿では何年か先になる。アストリュー世界でも夢縁の皆との接触は最低限に限定される事になった。冥界に修行に行ったと説明されているので何年か後には会えるとしてくれている。

 大学の受験は気が付いたら終っていたので、どうしようもない。そこは違う所に入るしかない。柔軟に考えて星深零の学区で勉強する事にした。


「それで地球でのアキさんとしての活動は終了になっているわ……」


 怜佳さんが教えてくれた。


「家族には見習い神としては会いに行っても良いわ。時間は分かっていると思うけど、ちゃんと区切るのよ?」


「はい、ありがとうございます」


「急に決まった冥界での修行があると言ってあるから問題ないでしょう」


「はい。大事な修行だと説明したら納得してくれてますし」


 冥界の仕事の手伝いだと伝えて、連絡はしばらく取れないと言ってあったのだ。生まれ変わりも無事に体験したし、これからは連絡出来る。今の家族も大事だし、覚醒時の家族は特別だと思う。そうはいいつつも少し薄れている家族の関係に、寂しさを覚えるのは間違っているのだろうか……良く分からない。


「現地捜査員の仕事が中途半端で終ったのは、間抜けらしいと言えば間抜けらしいかしら」


「突然だったものね」


「そう? いつも通りじゃない?」


「それもそうね」


 良く分からないレイの言葉に納得しないで下さい……。


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