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世界を繋ぐお仕事 〜キヒロ鳥編〜  作者: na-ho
しろいつき
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プロローグ

ページを開いて下さってありがとうございます。

今回は読みにくさに輪をかけておきましたのでお覚悟を……。

胃痛の種に出て来た白髭の爺が元会長のデヴィット サートンにまで変わった呼び名に付いて来れれてれば、きっと大丈夫です。

では、楽しんで頂ければ幸いです。

(一時間後にチャーリーにお仕事してもらいます)


http://ncode.syosetu.com/n7362ch/ ←非日常編です。

http://ncode.syosetu.com/s3315c/ ←シリーズページです。


 ◯ プロローグ


 *キヒロ鳥

 幻想聖魔獣の中でも神力を操り願いを叶える珍しい鳥で、滅多に人前には現れない幸運の鳥と言われている種である

 聖魔獣の中でも、成体の一部にしか神力は扱えないため乱獲などはもってのほかで、見つけ次第精霊界の長に連絡が必要であり、違反者は魔法を封じられる前例もあるので要注意である

 絶滅も危ぶまれる為、精霊界では保護の対象となっている

 変種として来世での出会いを確約するという愛の約束を叶える色違いの種が産まれる事もある。こちらは現在は確認されていない種であり、生態も分かっていない

 どちらも希少な力を有している為、保護対象であり神々の中でさえも手中に収めたいと願う程の貴重さであるが、ストレス等に弱く環境を無理に変えると直ぐに弱体化し死に至る事も多い故に保護には細心の注意が必要とされる

 黄色の体に美しい黄金の翼と尾羽を持ち、頭の桃色の飾り羽根が特徴で飛行の度に黄金色の光を振りまく

(変種は純白から薄紅の美しい羽根を持つといわれる)

 一説に寄るとこの振りまかれる残光にも幸運の力が宿っているとされ、先達が躍起になって集める方法を模索したとされるが成功例は聞かれない

(成功したとして、発表をする者がいるとも思えないが、書生が発見した際は公表したいと思う)



 幻獣大百科事典を閉じたヴァリーはホングにそれを返した。ビーチで読むにはお硬い本だ。


「これがうじゃうじゃ湧いている所にアキは住んでたのか?」


「うじゃ……まあそうだね。アストリュー世界が妙に活気付いてたのはそれもあると思う。聖域が何か調べたら精霊界との繋がりを書いてある書物が多いから、精霊界との界境についての仕事をやっていたと思う」


 ヴァリーの言い方には何か文句を言いたくなったが我慢して続けた。この親友も納得いってないのだろうと気持ちを察してホングは視線をそらした。


「……あの最期の映像は空間魔法を自分で解いてたな」


 ヴァリーの沈んだ声にホングは振り返った。みれば砂浜の砂を手でこねては丸めてそれを潰している。手持ち無沙汰な状況を持て余しているのか気を紛らせているのか両方か……いや、考えるまでもないかと自身の気持ちを照らし合わせて溜息を飲み込み口を開いた。


「確かに。完全に飲み込まれてたが一分もしないうちにあれを解いてた。空間魔法を使えたなんて聞いてない」


 それを考えると不思議だと二人とも首を傾げるしか無かった。ナオトギが父親から手に入れた監視カメラの映像にはそんなものが映っていた。


「基本魔法がからっきしだったくせに、なんでそんなの使えてるんだ?」


 神官は普通は治療とか浄化を伸ばすはずだが、空間をやってたのはどういう事か分からない。聖域に住んでたというなら聖域を支えていたのか……それなら辻褄は合うと目の前の友人と話しているが、まだ腑に落ちてなかった。


「さあ。アキはちょっと変わってたし。でも方向性はあったな」


 バカンスを楽しむ人々がビーチを横切ってホテルへと戻って行くのを眺めながら、ホングは亡き友人についてそう評価した。


「そうだったか?」


「ちゃんと聖属性の調理師だったと思うけど?」


「う、確かに」


 一番恩恵を受けたのはそれだったとヴァリーは気が付いた。しかもサンドイッチ等は、しっかりと空間魔法付きの包みで覆われていたし、意外と繋がっていたのを思い出せ、やっと腑に落ちた。しかし、それも届かなくなって全て食べ尽くした二人は、お互いに溜息をどちらからともなくついた。


 友人の一人、いや、親友が一人帰ってこないままアストリュー時間で季節がふたつ過ぎてしまった。もう会えないのだろうかとホングは悩んでいる。アキが見習い神だという事は薄々悟っていたからだ。その規定を探るのは難しいが、また会えると信じている。というか会いたいと願って祈っていた。


「僕達はアキに救われてた気がする」


 主に食事関係では外れは引いた事が無いとホングは振り返って思う。


「そうだな。他の連中とは違う、権力目当てにすり寄ってくる様な奴じゃない。鈍くて分かってない可能性が大きいが、快適だった」


「権力というならアキは権力者だった。誰も気が付いてなかったけど……いや、権力に庇護されてる存在かな?」


「ガーラジーク神か?」


 アキの訃報で一番怒ったのがガーラジーク神だとの二人の見解は一致している。ナオトギが呪いを受けてたのを思い出し、ヴァリーは背中が震えた。思い出すだけで遠慮したいと思える呪いだった。あれを受けたら人生が終わりだと確信した。


「神々が重宝する様な何かを持っていたのかもしれない。聖域を管理する上で重要な何かを……」


 二人はアストリュー世界に落ちる夕日を眺めて、アキに貰った最後の特待割引チケットを握りしめた。この世界の聖域の何処かにアキの住んでいた場所があったはずなのに、知らされてない。

 ホングの呟きに説得力を感じて重要な役職にいた事は充分考えられると、今更ながら親友の意外な側面にヴァリーは驚いていた。


 アストリュー世界はまた変わった気がする。恋人同士の旅行者が増えて男二人の旅行は変な誤解を生みそうで恐ろしいくらいだ。いや、普通にそんなカップルもいる。

 そして何故か一人旅も多い気がする。それも思い詰めた様な顔をし、祈りすがる様なそんな雰囲気を漂わせた信者が熱心に神殿に向かっている……何ともいえない姿を見ている。一体何があったんだと問いたいが、聞いてはならない様なのっぴきならない事情というのをなんだか感じる。

 何となくだが、男は聞いてはならない何かをひしひしと感じるのだ。決して開けてはならない扉がそこにはあると二人は認識したので、帰り支度を始めた。


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