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はじめての婚活  作者: イマエサン
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序章 人柄ではなくまず容姿から

はじめての婚活 ~序章~


 婚活なんて、縁遠い人間だと思っていた。


 現在、独身生活を十二分に満喫してはいるものの、四十代に近付くにつれ、このまま一人で暮らしていくことに寂しさを感じるようになった。

 周囲を見回すと、素敵な女性はそこら中に溢れかえっている。特に私の職場は女性の比率が高いので、出会いに事欠かないだろうと友人は言う。

 たしかに、廊下で目があったりすることもあるが、そのときに「趣味はなんですか?」などと聞いたら最後、次の日には総務課から呼び出しを喰らうことになるだろう。


 とにかく、セクハラで訴えられることが怖いので、社内の異性に出会いを求めることはやめようと自分に言い聞かせている。

 コミュニケーションを図るために食事などを誘う場合でも、男性しか誘っていないため、おそらく社会的規範に適合しない店に連れて行くために女性を排除している、あるいは少ない確率で、同性にしか萌えないオッサンだと思われているかも知れない。


 しかし、それは八割方誤解であって、誘うこと自体がセクハラだと感じさせてしまわないかと怯えているのである。

 逆に「タテマエとして相談したいことがあるので、すみやかに食事に連れて行ってください。」と依頼されたら、罠が仕掛けられているのではないかという疑念は拭いきれないものの、快く振る舞うだけの度量は持ち合わせているつもりなので、積極的に申し出ていただきたい。


 さて、このような経緯もあり、出会いを外に求めたわけだが、怪しげな出会い系サイトに登録するわけにもいかず、自分が所持しているクレカの子会社が経営する結婚相談所に登録した。キャンペーン中で、年間一万五千円。プロフィールを登録すると、一か月につき9ポイントが付与され、メールで異性にアタックすると3ポイントが消費される……つまり、一か月に3人まで交際を申し込むことができるというシステムだ。


 しかし、このシステムは、私にとって不都合なことが多い。顔写真が登録されているプロフィールが少なく、申し込もうとしても二の足を踏んでしまうからだ。

 このように書くと、人柄で選ぼうとしない最低な奴だと思われそうだが、全く接したことのない人の人柄など分かりようもなく、どうせなら自分好みの容姿の人にアプローチして、考え方などを知りたいと願うことは、悪い意味での正直者だと評されこそすれ、人間性を否定されるほどのことではないように思える。


 日本においては、頭で競うことは賞賛され、容姿で競うことは非難される傾向にある。

 世間の一部では、美人コンテストを、容姿だけで判断する、女性の人格を無視した愚かな催しだと非難しているが、それは持たざる者の僻みだ。

 容姿も学歴もその人を表す個性であることに違いはない。


 このシリーズは、こんな考え方を持つ人間が婚活をしたら、このような体験をしたのか、ざまぁ、というスタンスで読んでいただければ嬉しい。

 これまでの人生経験上、容姿から入っていくスタイルをどうしても崩せないので、メールによる突撃は断念し、相談所が主催するお見合いパーティに出席することにした。これなら、顔も分かるし、ギャンブルのような声かけをしなくてもよい。

 早速、ネットで予約を行い、高揚感に胸躍らせながら、会場に足を踏み入れたのだが……。

クレカのくだりは、特定されるのを避けるため、金額設定等が実際のものとは異なります。

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