ぶらり理不人
曇天色に塗り替えられた重苦しい空の下、木々の葉が影を落とし一層の暗鬱な雰囲気を森が演出するなか、先程から響く悲鳴や怒号のする方向へと真っ直ぐ進んで行く。
しかし、徐々に風に混じる血の臭いが濃くなるにつれ、聞こえてきていた喧噪は鳴りを潜め、森の中を藪を掻き分けて進む自分が立てる音のみが大きくなっていた。
やがて目の前の藪が開け、足元には森の中を道が左右に伸びる場所へと出る。
今立っている場所は道の片側の土手にあたる部分で、下に見える道まで三メートル程の高さがある。
足元に広がるその道には夥しい数の人の死体が折り重なっており、辺りに生暖かい感触のするような血の臭気を漂わせていた。
地面のあちこちが抉れて吹き飛んでいたり、火が燻っているところ見ると、つい先程までかなり激しい戦闘があったようだ。
そんな戦場跡の死体の山を漁るかのように五匹の白い大柄の狼が、人間だった物に齧りつき、周囲に骨を砕く嫌な咀嚼音を響かせていた。
五匹の白い狼は先程討ち漏らしたホーンテッドウルフの生き残りなのだろう、アリアンが負わせた傷に見覚えのある奴も混じっていた。
そして死体漁りをしていたホーンテッドウルフ達は、藪の中から現れた此方に気が付き弾かれたように頭を上げると、牙を剥いて唸り声を上げ、じりじりとその場から後退を始めた。
随分と警戒されているそんな非歓迎ムードのなか、白狼達としばし睨み合いが続いた。
「ぬわっ!!!」
睨み合いが続くなか黒の外套を大きく翻し、両手を天に向けて突き出し、大声を上げるとホーンテッドウルフ達は文字通り飛び上がって踵を返し、脱兎の如くさらに前方に広がる藪の中に突っ込んで行き姿が見えなくなった。
思いの外高い効果のあった大声威嚇だったが、首元に巻き付いていたポンタも同時に吃驚してしまったらしく、毛織のマフラーがいつの間にかファーになってしまっていた。
ポンタの抗議の鳴き声に謝りつつ、その総毛だった毛並を撫でながら周囲の状況を改めて観察する。
夥しい数の死体の中央付近には黒い大きな馬車が停まっており、その周囲には騎士のような立派な揃えの鎧を身に纏った者達が馬車を守るようにして折り重なって死んでいる。
身分の高い貴族の馬車とその護衛兵といった感じだろうか。
四頭立ての馬車の前方の二頭は死んでいるようだが、後方の二頭は恐怖に怯えて嘶いているが、馬具に繋がれて逃げる事もできずにしきりに蹄で土を掻いている。
その他には盗賊と思しき者達もかなりの数が倒れており、見渡す限り息をしている者は見えない。
この状況と先程のホーンテッドウルフの事を考えると、自分とアリアンが逃がした事によって生み出された状況かと思ったが、よくよく見るとどうもそうでもないらしい。
土手から軽くジャンプして三メートル下の道に着地して、馬車の周囲に倒れる騎士達の遺体を踏まぬようにしながら、つぶさにそれらを観察する。
騎士や揃いの鎧を身に纏った護衛の兵達は皆それぞれ剣や矢の傷を負って死んでおり、ホーンテッドウルフに噛み殺されたような形跡はあまりない。
ただ魔法攻撃か何かを受けたのか、全身焼けただれて焼死体のようになっている者などもいたが、概ね人の武器によって殺されていた。
その事から考えると、ホーンテッドウルフが襲ったのは盗賊の方で、護衛兵は既に盗賊達の手に掛かって殺されたという事だろう。
護衛兵の遺体の周囲にいた盗賊と思しき者達は剣などによって死んでる者もいたが、多くは先程のホーンテッドウルフに噛み殺されたようで、肩から腕が引き千切られた者や、腹を喰い破られた者など凄惨な死体になって周囲に転がっている。
ただなかには聖職者の着るような神官風の男も倒れていて、首から上が無くなっており、無残な屍を晒していた。
神に仕えていただろう男の無慈悲な最後にこの世の無情を嘆きながら、遺体の山を避けて馬車へと近づく。
馬車の扉は開け放たれ、近くには使用人風の装いの女性が俯せに倒れている。その黒い大きな馬車の中には血に塗れた、豪奢なドレス姿の身分の高そうな少女が息絶えていた。
黄色味の強い長い金髪が口元から垂れた血に少し貼り付き、胸元には鋭利な武器で貫かれた傷が生々しく残っている。
どうやらこの少女がこの馬車と護衛兵達の主のようだった。
血もまだ温かく、肌にも少し赤みが残っている事から死んでまだ間もないのだろう。
目尻に涙の痕が見え、半開きになった瞼の奥の虚ろになった瞳をそっと閉じてやると、まるで眠っているような表情にしか見えない。
「きゅ~ん……」
首元にいたポンタも何処かしら悲しげな声で鳴いている。
そのポンタの頭を撫でながら、自分の持つ魔法スキルについて思考を移す。
さすがに死んだ人間に回復魔法を使っても意味がない事くらい分かる。しかし、自分の持つ司教と教皇の職業には蘇生魔法があった。
ゲームでは定番の魔法だが、この世界でもゲームの時のように蘇生魔法が有効なのだろうか。
たしか中級職である司教の持つ蘇生魔法は【蘇生復活】、生命力一割弱で蘇る魔法だ。現実で生命力一割切れた状態で蘇っても、瀕死の重傷で意識を取り戻し、そのまま苦しんでまた永眠しかねない。
あとは上級職である教皇の持つ【再生復活】は生命力全快で復活する魔法だが、果たして現実ではどう作用するのだろうか。
未だ早過ぎる少女の最期を憂う気持ちと、自分の持つ魔法スキルの考察欲求に突き動かされるように馬車内で蹲る彼女に向って手を翳す。
「【再生復活】」
魔法は問題なく発動し、彼女の身体からまるで黄金の輝きが立ち上るように光が眩く煌めくと、胸元に付けられた傷が映像の逆再生を見るかのように閉じていく。そしてその黄金色の光が収まった時には、彼女の身体の何処にも傷は見当たらなくなっていた。
ゲームでは生命力全快で復活する魔法だが、抜けた血などまでは再生されないのかも知れない。馬車の床には飛び散った血がそのままで、彼女のドレスも血でかなり紅く染まったままだ。
そんな貴族の少女の首筋に手を当てると動脈が確かに脈動する感触があるが、少し青白くなった顔色はそのままで、目も覚ます様子はない。
きちんと息はしているので、とりあえず彼女を馬車の椅子に寝かせて馬車を降りる。
馬車の脇に倒れ伏していた使用人らしき女性の身体を起こし、顔に付いた土を払って先程と同じように【再生復活】を掛ける。
魔法による黄金色の光が彼女の身体全体を包み、傷口を再生し癒していく。
彼女も問題なく息を吹き返しはしたが、やはり先程の少女同様目を覚まさない。
どうやらこの魔法で蘇生はなんとか出来るが、ゲームの時のように蘇生して即戦線復帰とはいかないようだ。
あとはこの蘇生した彼女達が、スティーヴン・キングの某小説のように生者を襲う化物になっていない事を祈るのみだが……。
ただ彼女達を蘇生させたはいいが、こんな森の中で女性二人だけではまたすぐに魔獣やら何やらで殺されてしまい、三途の川に逆戻りでは意味がない。
周囲にいた護衛の兵と思しき者達も序でに蘇生をしておいた方がいいだろうと思い、盗賊の恰好した者達を避けて護衛兵や騎士達に【再生復活】を掛けて回る。
しかし蘇生魔法も、なんでも蘇生できるわけではないらしい事が判った。
まずは遺体の損傷が激しい者にはそもそも【再生復活】を掛けても傷の再生すら起こらない。なので焼死体のように全身焼けただれていたり、頭が無くなっていたりすると蘇生魔法自体が不発に終わる。
聖職者風の男性には哀悼の意を表する事しかできない。
あとは蘇生してもすぐにまた死んでしまう場合があった。
だいたいは大量出血による失血死のようだったが、なかには何故死んでしまうのか判然としない場合もあった。
少しの矢傷と胸への致命傷が死因と思われる男性兵士が、蘇生後しばらくは呼吸をしていたが、また眠るように息を引き取る事があった。
何か他にも蘇生の条件があるのかも知れないが、今はそれが何かは不明だ。
やがて周辺で力尽きていた護衛兵や騎士の蘇生があらかた終わると、腰に手をやり周囲を眺め回す。結局蘇生できたのは三十名程だったが、弱ってはいるだろうが森を抜けるまでの護衛としては充分な数だろう。
若干蘇生魔法を連発しすぎたのか、いつも魔法を使っても感じない少々気怠い感覚が身体に残っている。
ただこの程度の魔法連発で魔力切れするような魔力量ではないが、ゲームとこちらの世界では目に見えての数値がわからないので身体の感覚に頼る他ない。
恐らく魔力量が一時的に減っても今装備している『夜天の外套』の性能がこちらでも有効なら特に問題になるような事ではないだろう。
この『夜天の外套』は一定時間毎の魔力の回復性能が付与されており、動かず一箇所に留まっている場合はさらに回復する数値に補正が掛かる代物だ。
ただ血の臭いが濃く漂う馬車の襲撃現場で、ぼーっと一人の鎧騎士が立っている絵面はあまりよろしくない感じがするが。
あとは蘇生した彼らの動向を見守る必要があるかも知れないと思い、【次元歩法】で土手の上に転移して藪の中に腰を落とす。
森の中で金属製の光物である鎧は存外目立つので、手近に生えていた灌木の枝葉を手折り、それを両手に持って頭の兜を隠す。
枝葉の隙間からは問題なく足元の道に広がる馬車の周辺が見渡せる。
あとは彼らが無事にここから離れてくれるのを見守るとするか──。
何処までも果てしなく続く暗がりの闇の水底、そこから徐々に意識が浮上していき、今し方まで何も感じなくなっていた四肢に急に生々しい感覚が戻り始めると、一気に不快な臭いと固い感触に意識が引き摺り出されて目が開く。
まるで息の出来ない泥の中から生還したように思い切り息を吸い込み、その勢いで一頻り咳き込むと、ようやく周囲を見回す余裕ができたようだ。
彼女が目にしたのは先程まで乗っていた馬車の血で汚れた車内であった。
ユリアーナ王女は、未だ朦朧とした意識と混乱する記憶を必死に立て直そうとして、頭を振り自らの身体に視線を落した。
血でべったりと汚れたドレスは豪奢な姿が見る影もなく、胸元には大きな穴が開いてしまっていた。
そして唐突に自分の胸元に突き立った剣の姿が脳裏に再生されて、慌てて自分の胸元に手をやる。しかし、たしかにドレスには刺された時の破れはあるが、指先に触れる肌はいつもの自分の肌となんら変わる事はなく、傷など見当たらなかった。
「……フェルナ」
不意にユリアーナはいつも傍にいる侍女の名を呼び、周囲を見回す。
やがて意識と記憶がはっきりしてくると、自分の目の前で刺され馬車から蹴り出された事を思い出し、慌てて馬車から這い出した。
すると目の前には仰向けに寝かされて、穏やかな表情をしている侍女のフェルナの姿が視界に映った。自分と同じように刺された服の胸元は破れていて、恐る恐るその彼女の傍に寄りながら胸元を見る。
しかし彼女の綺麗な肌が服の破れ目から覗くばかりで、剣による傷は一切確認できなかった。ユリアーナより大きく成長したフェルナの胸が静かに上下しているのを見て、安堵の息を吐くと目尻からぽろぽろと涙の雫が頬を伝って流れ落ちた。
いったい何が起こって、何が起こらなかったのか……、そんな疑問が胸中に渦巻いていた彼女だったが、フェルナの無事を知るとそれは些末な事に過ぎないように感じた。
周囲を見渡せば、抉れ焦げた地面、火に巻かれて未だ焼けている遺体、ユリアーナを守ろうとした護衛兵や騎士達は倒れ、さらには敵兵も数多くが地に伏して、まるで地獄絵図の様相を呈していた。
その余りにも悲惨な光景に声もなく視線を奪われていると、手元で侍女のフェルナが僅かに身動ぎする気配がして視線を戻すと、彼女の切れ長の瞳を覆う瞼がうっすらと持ち上がった。
「フェルナ! 良かった……無事だったのですね……」
王女であるユリアーナの少し嗚咽混じりの声に反応したのか、彼女の視線がゆっくりユリアーナの方へと向けられてしっかりとその瞳に捉え映し出した。
「ユリアーナ様……、私はいったい……?」
ようやく彼女も意識がはっきりしだしたのか、ゆっくりと身を起こして周囲を窺う。
その周囲のあまりにも凄惨な様子を見て、つい先程の襲撃を思い出したのか勢いよくユリアーナに向き直ると彼女は目を凝らしてユリアーナを仔細に眺め回す。
「ユリアーナ様、お怪我は? お怪我はないのですか?!」
その取り乱した様子に少し可笑しくなったのか、ユリアーナは口元を押さえて逆に彼女に問い掛けた。
「私は大丈夫です。貴方こそ怪我はないのですか?」
王女のその言葉にフェルナは、自分自身に起こった事を思い出して慌てて自分の身体を弄り、不思議そうな顔をして王女であるユリアーナを見返した。
「ユリアーナ様、私は何故助かったのでしょうか?」
その問いはユリアーナにも答える事の出来ない問いであった。
自分の脳裏に焼き付いている記憶が確かならば、間違いなく死んでいる筈だったのは彼女も一緒だったからだ。
「わかりません、私も先程気が付いたばかりで……」
ユリアーナは形のいい眉を下げて少し顔を顰めた。
その時、聞き覚えのある男性の声が彼女達の会話に割って入って来た。
「姫様!! フェルナ殿! ご無事なのですか!」
その声の主は、このリンブルト大公国行の王女一行の護衛指揮官を務めるレンドル卿であった。
レンドルは確かな足取りで馬車近くにいたユリアーナ王女の元に駆け寄って来ると、その場で叩頭してその大きな身体を縮みこませ、頭を地面に擦り付けた。
「姫様、ご無事でなによりです! 今回の失態、私の不徳の致すところ、誠に──」
「レンドル卿……、今はそのような事をしている場合ではありません」
レンドルの謝罪の口上をユリアーナは途中で遮ると、徐にその場で立ち上がり、その黄色味の強い金髪を風で流すようにして頭を下げ跪いているレンドルに向き直った。
叩頭していたレンドルは王女の言葉に僅かに頭を上げて、その沙汰を待つ。
「敵の規模と速度が此方の予想を遥かに上回ったのです、どうする事も出来なかったでしょう。神々の思し召しにより我々三人は命を拾ったのです……。今は事を嘆くより、出来る事を致しましょう」
「仰せのままに!」
ユリアーナ王女は毅然と顔を上げて前を向くと、目の端に溜まった雫を拭い、レンドルに向って確かな口調でそう告げた。
レンドルも王女の強い意志に、再び頭を下げて承服の意を口にする。
「リンブルトの国境まであと半分以上あります。先程の賊の残党が残っていないとも限りません、速やかに支度を。当初の予定通り、ホーバンとティオセラには入らず直接リンブルトへと向かいます。フェルナも手伝って下さい」
「はっ! 畏まりました!」
「勿論です、ユリアーナ様」
三人が決意を新たにし、当初の目的を果たそうと腰を上げた時、その光景が目に入る。
戦場跡地となったその場所で、死体の山から次々と兵が身体を起こし始めたのだ。
その光景を見て慌ててレンドルは腰の剣に手を掛け、ユリアーナ王女とフェルナを自分の背後へと隠し、身構えた。
戦場跡地や魔素の濃い地域では、人の死体が時折不死者となって立ち上がり生者を襲う事は広く知られた事実だった。
しかし、死んで一日も経たずに不死者に成り代わる事など聞いた事がなく、ましてやここは森の中とは言え、人が行き来する道が通る場所である。そんな人外魔境では決してなかった筈だと、レンドルは少し混乱した頭で目の前の光景を見る。
「待ってください、レンドル卿!」
背後に庇ったユリアーナ王女からの声に混乱していた意識が沈んで行く。そしてようやくレンドルも目の前の光景がしっかりと見え始めた。
それは先程の戦闘で命を失った部下達が、まるで寝坊から覚めたように次々と起き上がる姿で、その光景は我が目を疑うような光景だった。
後ろにいたユリアーナやフェルナも、信じられないといった表情で目の前の光景に目が釘付けになっていた。
「レンドル大隊長! ご無事だったのですか!?」
レンドルの姿を発見して駆け寄ってくる部下の姿、その部下はさきの戦闘で彼の目の前で死んだと思っていた者だった。
「貴様こそ、無事、だったのか……?」
不死者などではなく、確かな意思を持って話しかけてくる部下の姿を上から下まで視線が何度も往復する。目の前に立つその男は、鎧は血などで汚れてはいるが、身体に特に傷は見当たらなかった。少々顔色が血の気が減って白くなった程度だろう。
それでも全員が助かった訳ではない事はわかった。
焼けただれた同僚を見つめ力無く項垂れる者や、眠るように死んでいる友を必死に起こそうとしている者もいる。
「私はてっきり死んだものと思ったのですが……、どうなっているのでしょうか?」
目の前の部下は疑問を口にしながら、自らの身体を確かめるようにしている。
周りで起き出していた部下達も此方の話し声に集まり出し、お互いの無事を確認して笑い合ったり、涙ぐんでいる者達もいた。
それはまさに奇跡と呼べる光景だった。
「レンドル卿……」
レンドルはその光景をただ茫然と眺めていると、後ろから主君であるユリアーナ王女から声を掛けられ、ようやく意識を自分の手元へと引き戻した。
彼はユリアーナ王女に振り返ると、王女の瞳に映る意思を理解し、未だ浮き足立っている部下達に大音声で呼び掛けた。
「傾聴せよ! ユリアーナ王女殿下の御言葉である!」
そして彼は脇に避けると、片膝を突き頭を垂れた。
それを受けて周りにいた兵士達も次々とレンドルに倣い、その場で膝を突いていく。
「皆さん、此度、我らはその力及ばず敵に討たれ地に伏してしまいました。しかし、神々は我らに慈悲の手を差し伸べて下さいました。なかには神々の思し召しにより天に召され戻らなかった者達もいます……」
彼女の言葉に耳を傾けているのは約三十名程、護衛を任された者達は五十名以上いた為、二十名近い犠牲が出た事になる。
王女の言葉に何人もの兵が涙を堪え、肩を震わせる者達がいた。
「しかし、我らは神々から天啓を受け、進むべき道を示されました! 此度の無念を抱き、我らは前に進まねばなりません! 受けた慈悲に報いなければなりません! 我らの歩みを止める者はおりません、いざリンブルトへ!」
「おぉおぉおぉおぉぉぉぉーーーーーーー!!!!」
王女の言葉に鬨の声を上げる兵士達。
レンドルはその場で立ち上がると次々と騎士や兵に指示を飛ばし始めた。
「馬車の馬を交換しろ! 逃げた馬は出来るだけ確保! 最悪、馬車の替え馬だけでも確保するのだ! 使える武器を持て!」
レンドルの指示に従ってそれぞれが慌ただしく動き出した。
誤字・脱字などありましたら、ご連絡宜しくお願い致します。




