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1-4 本書の射程と限界
本書は、少子化を解決するための処方箋を提示しない。
出生率の目標値を設定しない。
いつまでに回復するかも示さない。
本書が扱うのは、結果ではない。
結果に至るまでの制度の配置である。
個人の生き方を評価することはしない。
結婚するか、しないか。
子どもを持つか、持たないか。
それらの選択を正解や不正解に分類しない。
また、本書は理想の国家像を描かない。
あるべき社会像を提示することもしない。
価値観の統一や、意識改革を求めることもない。
本書が行うのは、現在の制度が
どのような条件を人々に与え、
どのような行動を合理的なものとしてきたかを記述することである。
少子化は、制度の失敗ではない。
制度が意図せず生み出した帰結である。
それゆえに、個人に責任を帰すことはできない。
本書は、誰かを説得するために書かれていない。
共感を集めるためでもない。
ただ、制度と結果の関係を切り分けて示す。
少子化を価値観の問題として語る限り、
議論は繰り返される。
設計の問題として扱ったときにのみ、
選び直すことが可能になる。
ここから先で扱うのは、
制度をどのように組み替えれば、
人々の選択が変わり得るかという点である。




