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4.釣り勝負

 

「ジル! 今日は釣りに行くぞ!」


「うん!」


 たまには休日も必要だということで、今日はジルと釣りに行くことにした。


 以前、川に行った時はないものだらけで、素手で魚を捕まえるしかなかったが、今では釣り具がある。鍛冶屋に釣り針を依頼し。糸はカリュネラの糸、木はそこら辺の木で作ったものだ。


「ラグナも一緒に行くぞ。リオンはどうする?」


「俺も行こう」


 タケルとジル、リオン、ラグナとホワイトウルフ、ディープスパイダーがそれぞれ二十匹で行くことになった。


「よし! 出発し……」


 出発進行と言おうとしたところで、ヴァルザナードがやってきた。


「ん? なんだお前たち。釣りに行くのか?」


「まあな。お前も行くか?」


「うむ、それもたまにはいいか」


「いいのか? これは釣り勝負だぞ?」


「ふん、誰にものを言っておる。我に苦手なことなどないわ」


「そうかよ。負けねーからな」


 こうしてヴァルザナードも加わって釣りに行くことになった。


 近くの川までラグナに案内してもらう。タケルはいまだに周辺の地理が完全に頭に入っていない。町で農業やったり開拓したりしてばかりだからだ。


「それでは釣り勝負のルールを発表する! 制限時間内に一番多く釣れた人の勝ちだ。大きさは関係なし。分かったか?」


「分かった!」


「よし」


「うむ」


 ジル、リオン、ヴァルザナードが反応する。


「それでは、勝負開始!」


 タケル、リオン、ヴァルザナードは近くで釣りを始める。


「ところで、そちらの御仁はどういった方なのだ?」


「そういえば、紹介してなかったな。こいつはヴァルザナードだ」


「ちょっと待て、タケル! ヴァルザナードって、あの暗黒龍の?」


「いかにも! 我は世界の守護者暗黒龍ヴァルザナードである!」


 威厳たっぷりな感じでヴァルザナードは自己紹介をする。


「偉そうな感じで言ってるが、こいつはただのタダ飯ぐらいだ」


「こやつの作る農作物は全部うまくてな。ちょこちょこやっかいになっているのだ」


「それは、なんというか」


 リオンをあまりのビッグネームに恐縮してしまった。


「急にかしこまるのはやめぬか。細かい礼儀など問わぬ。こやつを見て見よ。我に対して一切の敬意を抱いておらぬ」


「当たり前だろ。お前が来るたびにみんなビクビクしてんだぞ。はっきり言って迷惑だな」


 ヴァルザナードが初めて来たときのインパクトが強すぎて未だに皆ヴァルザナードに慣れていない。これからも何回も来れば、そのうち慣れるのかもしれないが。


「くっはっは! うまい食い物を作っておるタケルが悪い」


「そんな褒めんなって」


 迷惑だとか言いながらも、毎回うまそうにタケルが作った農作物の料理を食べているので、悪い気はしていない。


「それではヴァルザナード様があの町を守護していると」


「おいおい、冗談はやめてくれよ。あの場所はこいつのものではなく、俺のもんだ」


「くく、そう言うことだ。我が特別に守っている場所ではない。そもそも我はどこかの国や集団に所属するつもりはないのでな。こいつが死んで農作物がなくなったらそれまでのことよ」


「タケルが死んだらうまい野菜が食べられなくなるだとっ!」


「そうだ。こいつの言う通り俺が死んだら終わりだけど、将来的には俺じゃなくてもうまい野菜を作れるようにしておきてーな」


「住民、皆で作っているのではないのか?」


「いや、ほとんど農作物は俺が作ってる。しかもスキルの力によるところが大きいからな。何とかしたい気持ちはある」


 タケルは農業をするのが好きだが、いつまでこの気持ちが続いているのかは分からない。それにここまで人数が増えてくるとタケル一人に頼り切りという状態も良くないとフィリーに言われているので、いつかはどうにかしたいと思っている。


「まあ、我から言えることはなんもないな」


 ヴァルザナードは何かを知っているような雰囲気を醸しているが、その言葉通り何も言う気はない。


「もとから頼るつもりもねーよ。……ってなんでお前たちばかり釣れるんだよ!」


 こういった会話をしている最中でもリオンやヴァルザナードは何匹か釣っている。しかし、タケルはいまだに一匹もつれていない。


「釣りに関してならアドバイスをやろう」


「なんだ?」


「釣りのポイントは気配をうまく消し、じっと耐えることだ」


「そうなのか。とりあえずやってみるか」


 それから一時間後。


「気配消しても無駄じゃねーか!」


 そう言ってタケルは釣り具を投げ捨てる。あれからタケルは一匹もつれていない。完全に魚に嫌われている。


「くくく、敵の言うことを鵜呑みにするバカがいるとはな」


「本当だ。あそこにバカがいるぞ」


「貴様ら!」


 そしてこのタイミングで皆の成果を確かめることとなる。


「ほれ、見よ! 我はすでに十匹釣ったぞ」


「俺は7匹だ」


「……」


「おや? 一人答えておらぬものいるようだな」


 ヴァルザナードが煽るようにタケルに言う。


「ぐっ、ゼロだ」


「ふっはっはっはっは。今回の勝負は我の勝ちのようだな!」


 ヴァルザナードが勝ち誇るように言っているところに、少し離れたところで釣りをしていたジルがやってきた。


「僕いっぱい取れたよ!」


 ジルが釣った魚の数はなんと二十匹。ヴァルザナードの倍だ。


「おやおやおや?」


 タケルはヴァルザナードを煽るように見る。


「ぐぬぬぬ」


「こりゃあ、勝者はジルだな」


「やったー!」


 タケルはジルの頭をなでる。


 こうして釣り勝負はジルの勝利で終わったのであった。


 ちなみに、この勝負の裏でラグナ達ホワイトウルフやディープスパイダーが、網を使って大量の魚をゲットしたので、お土産はたくさんだった。



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