第三話
「皆の者!! 決闘でアール!!」
ダーメデスが大声を上げると、周りのギャラリーが騒ぐ。
「この私、ダーメデス卿とそこにいる、七色の無能の決闘でアール!!」
「俺まで、無能扱いかよ。」
ダーメデスの言葉に、クレイドはため息をつく。
「やっちまえー!!」
「そんな無能なんか、倒しちゃってー!!」
ダーメデスにもファンはいるらしい、不細工な奴が多いが。
「大丈夫かな……。」
「大丈夫よ!!」
青年の不安に、マーレイが不安をかき消す。
「私はマーレイ、あなたは?」
「ぼ、僕は『モールト』です……。」
マーレイは自己紹介をし、モールトも自己紹介をする。
「クレイド君だっけ、七属性だけど大丈夫かな……?」
「大丈夫大丈夫!! クレイドは強いんだから!!」
「行くのでアール!! ファイアーボール!!」
ダーメデスがファイアーボールを放つ。
「……おっそ。」
クレイドはファイアーボールを、簡単に避ける。
いとも簡単に避けたことを、周りは驚いていた。
「よ、避けたでアールか!?」
「いや、アンタのファイアーボールが遅いんだよ。」
クレイドの言葉に、ダーメデスは怒り出す。
「ならば喰らうがいいでアール!! アイスボール!!」
ダーメデスは次に、アイスボールを繰り出す。
クレイドは避けることをせず、蹴りでアイスボールを砕いた。
「な、何故でアール!?」
「多分だけど、あんたは魔力が不安定なんだよ。」
「な、な、な!? この私を馬鹿にするでアールか!!」
アドバイスと送った言葉が、まさかの相手を怒らせてしまったようだ。
そんなダーメデスを気にせず、クレイドは構えをとる。
「ファイアーボールは、こう撃つんだよ!!」
クレイドはファイアーボールを放つ。
その大きさは、ダーメデスより大きく、速さも違った。
ファイアーボールは、ダーメデスの頭を掠り、ダーメデスは火傷を負った。
「熱い!! 熱いのでアール!!」
「どうよ、俺のファイアーボールは?」
火傷を冷やしながらダーメデスは息切れをする。
そんな彼に対して、クレイドは余裕の様子を見せる。
「こ、この!! 我が最大の奥義を見せるのでアール!!」
ダーメデスは魔力を募らせ、巨大な竜巻を発生させる。
「ビッグトルネード!! すべてを飲み込むのでアール!!」
巨大な竜巻はギャラリーをも驚かせていた。
「ま、まずいよ!! これじゃ、クレイド君も!!」
「大丈夫、彼ならどうにかするから!!」
モールトがすごく心配をするが、マーレイは余裕のようだ。
「おいおい、これじゃ、フルクスが悲しむって―の。」
クレイドは魔力を集中させ、巨大な渦を作り出す。
その様子に、周りは驚きの声が上がってた。
「サイクロンウォーター!!」
竜巻と水の渦がぶつかり合う。
しかし、竜巻は簡単にかき消され、水の渦がダーメデスを飲み込んだ。
「ゴボゴボゴボ!!!!!」
クレイドが指パッチンをすると、水の渦は消えた。
そして、ダーメデスはその場に落ちて行った。
「これで、俺の勝ちだな。」
クレイドの勝利で終わると思ったその時――
「ま、まだでアール!!」
ダーメデスは立ち上がって、魔法を放とうとした。
しかし、魔法は消え、放つことができなかった。
「な、何故!? 何故魔法が出ないのでアールか!?」
「それは、貴方が、属性神から見放されたからです。」
混乱するダーメデスに、一人の女性が近づく。
「め、メリビス校長!!」
「メリビス校長?」
メリビスと呼ばれた女性が、光の輪っかを作り、ダーメデスを拘束する。
「ダーメデス卿、貴方はやってはいけないことをしました。」
「や、やってはいけないこと?」
「無属性だからと言って、学園入りを拒み、追い返そうとしたこと、そして、勝負が決まっていたのに魔法を放とうとしたことです。」
メリビスの言葉は、この場にいる人たちにも響いた。
「よって、貴方を学園から追放します。」
「お、お待ちを!! 私はこの学園を思って――」
「問答無用です。」
ダーメデスは警備員に連れられて行った。
「クレイド君でしたね?」
「あ、はい、そうです。」
「君は優しいんですね。」
クスクスと笑い、メリビスは去って行った。
「何だったんだ、一体?」
「クレイド―!!」
呆然とするクレイドに、マーレイとモールトが近づく。
「すごいじゃない!! さすがクレイドね!!」
「クレイド君、ありがとう、僕のために戦ってくれて。」
「いやいや、気しないでくれ。」
三人は仲良く学園に入って行ったのだった