表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

第二話

「はぁ!! たぁ!!」


クレイドは剣を振るっていた。

なぜかというと――


「(前は魔法だけだったけど、今回は剣もやってみよう!!)」


とのことだった。

そして剣の師匠は、父親のブレイだ。

ブレイは冒険者であり、剣の達人だったのだ。


「クレイド!! 芯がぶれているぞ!!」

「わ、わかった!!」


ブレイに言われ、クレイドは芯を正す。


「こんにちはー!!」

「おぉ、マーレイちゃん、よく来たね。」


幼馴染のマーレイが遊びに来た。

ブレイはマーレイを快く迎え入れる。


「今日もクレイドは修行ですか?」

「あぁ、今日は剣を学びたいと言い出してね。」

「へぇー。」


マーレイに気づかないクレイドは、まだ剣を振るっていた。


「クーレーイードー!! 休憩しましょー!!」

「マーレイ!! 来てたんだ!!」


ようやくマーレイに気づいたクレイドは、剣を置きマーレイに近づく。

マーレイは、バスケットを開く。


「じゃーん!!今日はサンドイッチでーす!!」

「おいしそう!! いただきます!!」


野菜とハムを挟んだサンドイッチを、クレイドはかぶりつく。


「うん、おいしいよ!!」

「本当? よかったぁ。」


二人がほのぼのとしているところを、ブレイは頷きながら見守っていた。


「おい!! クレイド!!」


そこに、三人の少年が現れる。


「ん? アバスにカンド、ジェルイじゃん、何か用?」

「何か用? じゃねぇよ!! お前、マーレイから離れろよ!!」


アバスの言葉に、カンドとジェルイがそーだそーだ!! と声を上げる。


「何でよ、私はクレイドの婚約者だもん!!」

「いや、婚約者じゃないけど。」

「うるせぇ!! とにかく離れろ!!」

「もしかして、あんた、嫉妬してるの~?」


マーレイの言葉に、アバスは顔を真っ赤にする。

クレイドは、マジか、と呟いた。


「こ、この!! クレイド!! 俺と勝負しろ!!」

「え、嫌だけど。」

「な、何でだよ!?」


アバスは勝負を仕掛けようとするが、クレイドはそれを断る。


「七歳までは決闘はダメだって、教わっただろ?」

「うっ、それは……。」

「それに、後ろ見てみな。」


クレイドの言葉に、疑問を抱きながらアバスたちは後ろを向く。

そこには、男が三人立っていた。


「げぇ!? 父ちゃん!?」

「アバス!! お前というやつは!!」


アバスたちの父たちが、そこに立っていた。

様子を見るに、とても怒っているみたいだ。

そして、アバス達の首根っこを摑まえる。


「人様の邪魔をしてはいけないと、何度言ったらわかるんだ!!」

「離せよ父ちゃん!! ここは男として――」

「何が男としてだ!! いい加減にしろ!!」


父親たちに引きずれられ、アバス達は帰って行った。

マーレイは手を振り、クレイドは乾いた笑いを出していた。


そして数十年の時が経った。


「クレイド、とうとう行くのか……。」

「お母さん、寂しいわ……。」


クレイドは立派な青年になり、魔法学園『ウルボルヌス』に入学する。

ブレイとミーネは寂しそうにしていた。


「大丈夫だって、永遠の別れじゃないんだから。」

「そうは言ってもなぁ……。」

「それじゃ、行ってきます!!」


クレイドは、二人に別れを告げ、ウルボルヌスに向けて歩き出した。


「クレイドー!!」

「マーレイ、おはよう。」


マーレイが手を振りながら、近づいてくる。


「おはよう!! さぁ、今日から私たちは魔導士よ!!」

「まぁ、まだ魔導士じゃないけどね。」

「いいの!! こういうのは雰囲気が大事なのよ!!」


力説するマーレイに、クレイドは苦笑いを浮かべる。

歩いていると、大きな学校が見えてきた。


「これが、ウルボルヌス……。」


あまりの大きさに驚いていると、校門から声が聞こえてくる。


「炎属性!! 次!! 水属性!!」


どうやら、属性を見極めているようだ。

皆、目の前の水晶玉に手を当てている。


「次!!」

「は、はい!!」


次はクレイドと同じ青年のようだ。

水晶玉に、手を当てるが変化がなかった。


「ま、まさか、無属性!?」


青年は、まさかの無属性のようだった。

そんな彼を、周りは嘲笑っている。


「聞いたか? 無属性だってよ!!」

「おいおいおい、マジかよ!!」

「無属性=無能なのにね~。」


言葉の刃が、少年の心を抉っていく。

青年には涙を流して、帰ろうとする。


「大丈夫か?」

「え?」


青年の背中をさすりながら、クレイドは話しかける。

クレイドに話しかけられた少年は、呆然とする。


「ぼ、僕に話しかけたら、君まで悪く言われちゃうよ……。」

「あぁ、頭いかれ野郎どものこと?」


クレイドの言葉に、周りの空気が一変する。


「つ、次!!」

「ほいほい。」


教師らしき男が、クレイドを急かす。

クレイドは周りを気にしていないかのように、水晶玉に触れる。

水晶玉は七色に光りだす。


「ぜ、全属性!? 噂は本当だったのか!?」


男の言葉に、周りは驚きの声で溢れた。

クレイドは青年に近づく。


「ほら、行こうぜ。」

「え、でも……。」


クレイドが青年の手を取り、学園に入ろうとする。


「待つのでアール!!」


一人の男がクレイドと青年を止める。


「誰?」

「だ、誰でアールと!? ワシは『ダーメデス』卿でアール!!」

「で、ダーメデスさんは、何故俺達を止める?」

「そんなもの決まってるのでアール!! その無能を入れることをはダメなのでアール!!」


ダーメデスの言葉に、青年は俯いてしまう。


「じゃあ、アンタは相当すごいんだろうな?」

「ふふん!! 聞いて驚くでアール!! ワシは三属性でアール!!」


三属性の言葉に、周りはまた騒ぎ始める。

よっぽど自身があるのだろう。


「俺、七属性なんだけど。」

「な、七属性!?」

「ということで、通してもらうぜ。」


二人は学園に入ろうとするが、ダーメデスがとうせんぼをする。


「何?」

「たとえ、七属性でも、その無能を通すことは許されないでアール!!」


ダーメデスの言葉に、周りが賛同する。

そして、帰れコールが発生する。


「じゃあさ、アンタをぶちのめせばいいわけだ。」

「な、何でアールと!?」

「だって、こいつが入れるには、アンタを倒せばいいわけだ、もしかして――」



ビビってんのか?


「ふ、ふざけるなでアール!! そこまで言うのなら、決闘でアール!!」


こうして、ダーメデスとクレイドの決闘が決まったのだった。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ