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第48話 新しい枝の能力を解放しちゃえばよくない?

「よっと――」



【ダンジョングローブ】を用いて、【隠し部屋】へと戻ってきた。

 おんぶしていた西園寺を、ゆっくりと石畳の上に下ろす。



「わわっ、ありがとう雨咲君!」



 地に足がつき、西園寺は自分でアイマスクを外す。

 ずっと暗かったからか、過剰な光を遮ろうとするようにキュッと目を細めた。


 だがすぐに明るさに順応し、可愛い笑顔を見せてくれる。  



「お~えへへ。雨咲君の顔がある」

 

  

 まるで、生後最初に見た物へ懐く、動物の雛みたいに。

 西園寺は最初に見た俺へ、とろけたように微笑ほほえむ。


 そして無防備にも。

 未だ拘束された両手で、ペタペタと俺の顔に触れて来たのだ。

 

 ……はっ? 

 エッチ可愛すぎんだろぉがっ!! 

  

 

 それが許されるなら、エッチ警察なんていらねえんだよ!

『お~えへへ。西園寺の唇がある!』って言って俺がキスしても許してくれねえだろ、ああん!?



「あ~はいはい。俺の顔があるなぁ~。でも顔触られると力が出なくて紐解けないから、大人しくしててねぇ~」



 純粋な心を思い出そうと、何とかあんぱんの戦士を思い浮かべてその場をやり過ごす。

 俺の友達は愛と勇気、そしてサッカーボールだけなんだ、はは。

 ……それ違う作品入ってるな。 

 

 西園寺の両手をつかんで顔からどかし、その自由を拘束する紐を解いていった。



「うぅ~。今、雨咲君の態度が凄く適当に感じました。ぷんぷん案件です!」


 

 全く怒ってるように感じない。

 むしろ頬を膨らませてプイッとそっぽ向くとか、可愛さの暴力だ。

 

 ……つまり、可愛さ暴行罪の現行犯逮捕なので、拘束はこのままでもよかったのでは?

 颯翔はやといぶかしんだ。



「――ほれっ、解けたぞ。お疲れさん」


「あっ……うん。えへへ」

           


 自由になった両手を握りしめ。 

 西園寺はすぐ人懐っこい、はにかんだ笑顔を見せてくれたのだった。


 ……あ~可愛い。

 可愛いの過剰摂取すぎてムリ、尊い、死にそう。


 

「……東條もお疲れさん。一人でよく頑張ったな」 


 

 このままでは西園寺を殺人犯にしてしまう。

 少しでも罪を軽くしてやるべく、東條をねぎらって気持ちを切り替えることに。

 


「ふふっ、大したことはしてないわ。……西園寺さんの安全は、雨咲君がちゃんと確保してくれてるって信じてた。だから安心して頑張れたのよ」



 ズキュンッ!



 ――警部、司法解剖の結果が出ました!



 被害者ガイシャは雨崎颯翔、17歳童貞の独身男性です。

 元々ヒカリウムという不治の中毒症状がある成分を過剰摂取して、ほぼ瀕死状態。

 そこへクール美人属性のギャップ萌え微笑で、胸部を撃ち抜かれたことによるショック死だそうです。

 


 ……東條、お前も共犯だったのか!

 ガクリ。

 


◆ ◆ ◆ ◆


 二人の【チャレンジミッション】を無事に乗り越えたということで。

 仮拠点の【隠し部屋】でしばしの間、休息・祝杯ムードを満喫する。



「はぁ~一仕事を終えた後の一杯は格別ですなぁ~東條さん」


 

従者箱ヒロインボックス】から取り出した紅茶のペットボトル。

 それをまるで湯呑のお茶でも飲むように、西園寺はしみじみと味わっていた。


 おばあちゃん西園寺さん可愛い。 

 縁側で正座してるところを膝枕して欲しいです。

 


「フフッ。ええ、そうね西園寺さん」   



 東條もくつろぐように座って、オレンジジュースをチビチビと飲んでいた。

 飛び切りのクール美人なのに、子供舌の東條さんギャップ可愛い。

 俺が胡坐あぐらかいてスペース貸すので、膝枕してあげたいです。


     


[調教ツリー 従者:西園寺耀] 


   

●〈調教〉―調教Lv.○

      ―調教(バンド)×2〇

       ―調教Lv.1UP New!!


●〈絆〉―【絆の力1】 New!!



 ― ― ― ― ―  


  

「……うん。西園寺の【調教ツリー】、ちゃんと成長してるぞ」


 

 死の淵から舞い戻ってきて、【調教ツリー】を確認する。   

〈絆〉の枝やらを紙へと書き足し、それを西園寺へと渡して見せた。


  

「お~やった! 【絆の力1】って言うのが、解放可能な能力だよね?」



[調教ツリー 従者:西園寺耀] 



“〈絆〉:絆の力1”

 従者間に芽生えた絆の力で、全従者に【調教Lv.】×3のEP(エナジーポイント)を解放・上昇させる。 


 EP:ステータス上の隠し能力値の一つ。消費することで通常では発揮できないような能力を一時的に引き出すことができるようになる。

  

 保有調教ポイント:290

 必要調教ポイント:250(300-50)※調教才能Lv.1 

 ・

 ・

 ・

●〈絆〉―【絆の力1】


 ― ― ― ― ―  


EP(エナジーポイント)……隠し能力値、ね。ステータスの能力値としては聞かない項目だわ」  



 最も知識が豊富だろう東條でも知らないのだから、記述通り特殊なステータス値なんだろう。



「これ、つまり東條さんにも恩恵があるってことだよね? ……うん。雨咲君、今回はこの【絆の力1】の解放をお願いします!」


 

 自分だけでなく東條にもメリットがある。

 それが判断の決め手になるというのは、いかにも西園寺らしい。



「OK。……ただ【調教Lv.1UP】も、また調教ポイント0で行けるらしいぞ」



[調教ツリー 従者:西園寺耀] 



“〈調教〉:調教Lv.1UP”

 従者の調教Lv.を1上昇させる。 


 条件:

 ①調教ツリーの枝の種類を4つ以上保有している

 ②調教(バンド)を装備して、ステータスレベルを複数上げている


  

 保有調教ポイント:290

 必要調教ポイント:0 

 ・

 ・

 ・

●〈調教〉―調教Lv.○

      ―調教(バンド)×2〇

       ―【調教Lv.1UP】 

 ・

 ・

 ・

 ― ― ― ― ―  


【調教Lv.】を解放したときと同様だった。

 初めて“条件”が出現しているが、これらが実質【調教ポイント】を消費する代わりなのだろう。


 ついでにこちらも解放するか尋ねると、西園寺からはすぐに頷きが返ってきた。


 

「よしっ。じゃあ2つセットで解放するぞ――」



 西園寺の【調教Lv.1UP】、そして【絆の力1】の解放を確定した。



◆ ◆ ◆ ◆


「あっ――」



 ――虚空から、魔力の鎖が出現した。


 

 鎖は西園寺の手足を次々と拘束していく。



「えっ――」



 ――そして何故か今度は、東條の手足にも鎖が絡みついた。


 

「っ!? なっ、ど、どうして!?」



 もちろんだが今回、東條の【調教ツリー】は一つも解放していない。

 しかし鎖はそれが当然のように東條をも拘束してしまう。

 

 

「あっ、だめッ、引っ張られる――」


「んっ――」



 鎖はまるで引き合う磁石のように。

 捕らえた西園寺と東條をゆっくりと引き寄せ合う。


 二人はもちろん抵抗としようとするが、ただ無駄な足掻きに終わってしまった。


 

「あんっ!」


「んんっ!」

    

 

 ジワリジワリと縮められた距離が、とうとう0になり。

 二人の胸が、ふにゅんっとぶつかった。

 

 柔らかな刺激が同時に体を駆け抜けたように。

 西園寺と東條から、甘い悲鳴が上がる。

  

 二人の体が密着すると、鎖はそれぞれ融合して一本化し始めた。

    

 西園寺の右手と、東條の左手を。

 一つの鎖がつないでいる。


 反対に西園寺の左手と、東條の右手を。

 また別の一本が拘束していた。


 脚も同様に。

 お互いの左右がくっつくようにして、鎖が縛り上げている。


 

 ――そして最後の仕上げというように。



 両脚を広げざるを得ない体勢に緊縛されている、その二人の股の間を。

 一本の鎖が、ピンと張るようにして出現した。


 まるで二人の絆を祝す、一本の架け橋をかけるかのようである  


 

 

「あんっ、やっ、これ、擦れて――」


「――ひゃんっ、あんっ!」



 少しでも刺激の少ない体勢を取ろうとしてか、西園寺が堪らず身じろぎする。


 するとそれが、鎖の繋がっている東條へと連動し。

 東條が、思わぬ不意の刺激を受け、色気ある声を上げていた。

 

 また逆もしかりで――



「あっ、ご、ごめんね東條さん――あっ、やっ、んっ~!」


「い、いえ、こちらこそ、ごめんなさい――」


 

 そうして美少女二人が。

 これ以上ないほど密着するような形で拘束されていた。



 ――それが、大きめな鍵の出現で終わりを迎える。



 今回は意外にも、鍵穴は現れなかった。

 しかし魔力でできた鍵は関係なく、自律的に動き出す。


 

 鍵は西園寺と東條、その二人が密着することでできた境界線を目指して進んでいった。


 二人の胸が、相手の胸によっていびつにふにゅんと変形している。

 まるでみだららな生き物のようになっている、二人の胸合わせ。

 

 その正に現場となっている中心に、鍵は“お邪魔しま~す”と言わんばかりに入っていく。


 カチャリ。

    

 鍵が回ると二人の胸の形も、それに応じて若干だが横に広がった。



「あんっ」


「んんっ」



 くすぐったいような、気持ち良いような。

 そんな感覚が走ったみたいに、二人から甘い声が出る。

       

 そして直後。

 二人を縛り付けていた鎖は、もろくも崩れ去っていったのだった。


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