第47話 背負っちゃえばよくない?
[調教ツリー 従者:東條雪奈]
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●〈調教〉―【調教Lv.】
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東條が【チャレンジミッション】をクリアして、一旦【隠し部屋】へと撤退する。
それから早速、東條の【調教ツリー】を確認した。
「……うん。東條の【調教ツリー】、ちゃんと〈調教〉の枝が追加されてるぞ。それに【調教Lv.】も今すぐ解放可能だ」
「そう!」
「お~やったね東條さん! ――いぇ~い!」
東條の成長を喜ぶように、西園寺は手を叩いて祝福していた。
また西園寺流のハイタッチも行われている。
東條も1回目の時とは違って、結構ノリノリだった。
……美少女同士の触れ合いを間近で見られるなんて、役得ですなぁ。
「――【調教Lv.】って色んな場面で関係してくるわよね? ……えっと、すぐにでもお願いしたいのだけれど」
だが西園寺の【チャレンジミッション】が未だ残っているからか、少し気にする様子を見せる。
西園寺はそれをすぐに察して、俺へと頷いた。
「雨咲君、私は大丈夫だから。東條さんの【調教ツリー】、解放してあげて」
「……OK、分かった」
西園寺さえ気にしないのならば、俺が断る理由はない。
むしろここでグズグズするよりも、さっさと終わらせる方が結果的に早いだろう。
【調教Lv.】は西園寺の時と同じく、調教ポイント0で解放可能だった。
なので保有調教ポイントを気にせず、東條の【調教Lv.】解放を確定する。
「あっ――」
やはり東條は、現れた鎖によって後ろ手に縛りあげられてしまう。
鎖はさらに特徴的な胸の上下に一本ずつ現れた。
それぞれがメジャーで胸囲を測定するように、グルッと1周して拘束する。
まるで視線を誘導するような縛り方で、東條の大きな胸がとても強調されていた。
「っ!?」
――そして黒く光る怪しい布が出現する。
眼帯のようなその布はユラユラと漂うと、まるでアイマスクするように東條の視界を覆った。
美人な東條が。
抵抗できず、大きな胸元を強調されるような縛り方で拘束されている。
加えて怪しい魔道具のような布で、視界をも隠されていた。
その背徳的な光景は、とても性的な魅惑に溢れ。
異性の本能を強烈に刺激したのだった。
「あっ、あっ、んぁっ!」
拘束で身動きが取れず。
さらに暗い視界の中では、やはり息苦しさを感じるのか。
西園寺がそうであったように、東條も。
酸素を求めるように身体を揺らし、喘ぐように呼吸する。
その声に合わせるように、東條の豊かな胸もぷるんぷるんと上下に弾んだ。
まるでいやらしい鳴き声と動きで、雄を本能的に誘惑しているかのようである。
……そうしたところで、いつもの錠前と鍵が現れる。
東條の乱れた姿に終止符を打ったのだった。
[ステータス]
●基礎情報
名前:東條雪奈
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●調教Lv.1 New!!
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「……また、凄く、恥ずかしい姿を見られた気がするわ」
東條の顔に、【調教Lv.1】をゲットした喜びはあまりなかった。
むしろ恥ずかしさの方が大きく勝ってしまっている状況らしい。
……時間をおけば立ち直るだろう。
「――で、改めて西園寺の【チャレンジミッション】なんだが」
西園寺に向き直り、再度その【調教ミッション】画面を確認する。
―[調教ミッション]―
●7回目チャレンジミッション!!
下記の3つから2つ選び、同時に成功する
①自身が手を拘束された状態で、他の従者がモンスターを倒す
②自身が目隠しされた状態で、他の従者がモンスターを倒す
③自身が足を拘束された状態で、他の従者がモンスターを倒す
報酬:【調教ツリー】〈絆〉の枝を追加
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「……つまり私が拘束状態になっている間に。東條さんにモンスターを倒してもらうってことだよね?」
「まあ、そうだろうな」
増える【調教ツリー】の枝が“〈絆〉”となっていることからしても。
東條を信頼して、自らの身体の自由を制限する。
それがこのミッションの意図なんだろう。
「西園寺さんに危険が及ばないよう、すぐに倒すから」
東條はいつの間にか、羞恥心の沼から這いずりあがっていた。
西園寺へとまるで誓いを立てるかのように、真剣な表情をしている。
「うん! 東條さんなら、安心して信頼できる」
西園寺もその場限りの言葉ではなく。
本心から、東條を信じていることが伝わってきた。
「えっと。2つセットで選ばないと、なんだよね? ――じゃあ①と②をお願いできるかな?」
「手の拘束と、目隠しか。OK……」
西園寺の注文通り【従者箱】から紐とアイマスクを取り出す。
[従者箱 収納物一覧]
●基礎スペック
縦×横×高さ:1m×1m×1m→1.5m×1.5m×1.5m New!!
現在コスト:88/100→88/200 New!!
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東條が【調教Lv.1】をゲットしたおかげで、【従者箱】の容量が+100になった。
また収納できる物の大きさも、それぞれ+0.5mずつ増えている。
これで収納できる物も数も、かなり増えただろう。
◆ ◆ ◆ ◆
細かな部分を詰めてから出発する。
【ダンジョングローブ】を使って、再び2階層にやってきた。
しばらく進んだところで、西園寺の【チャレンジミッション】を始めることに。
「……じゃあ、その、雨咲君。よろしく、お願いします」
西園寺は恥ずかしそうにしながら、両手首をくっつけて前に差し出してくる。
白いロンググローブの上、すでに【調教布】が巻かれている。
その手首に、素早くピンク色をした紐を巻き付けていった。
「う、うん……もう、ちゃんと、手、動かせないかな」
両手首を反対方向へ引き離そうと、試してみる。
だが西園寺の両手は合わさったまま、しっかりと拘束されていた。
「……じゃあ、次。アイマスクも、お願いします。んっ――」
西園寺はそっと目を閉じて、顎を上向ける。
アイマスクを装着しやすいようにという配慮だろう。
だがまるでキスでもねだるような表情と仕草で、異性にはとても刺激が強かった。
西園寺の目に、アイマスクを被せる。
そして耳掛けの部分を引っ張り、西園寺の両耳に一つずつあてがった。
「……んっ、あっ、うん。暗い。うぅ~何も、見えないよ」
西園寺の心細そうな声は、異性の庇護欲を強く強くかきたてた。
今すぐにでも抱きしめてしまいたい、そんな欲求にかられる。
―[調教ミッション]―
●7回目チャレンジミッション!!
下記の3つから2つ選び、同時に成功する
①自身が手を拘束された状態で、他の従者がモンスターを倒す→挑戦中!
②自身が目隠しされた状態で、他の従者がモンスターを倒す→挑戦中!
③自身が足を拘束された状態で、他の従者がモンスターを倒す
報酬:【調教ツリー】〈絆〉の枝を追加
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「……よし。①と②が、ちゃんと“挑戦中!”になってる。【チャレンジミッション】が始まった」
しかしそれを理性の力で踏みとどまり。
二人に【チャレンジミッション】のスタートを知らせる。
「うん、わかった。……あの、雨咲君。その、“抱っこ”は流石に恥ずかしすぎるから。“おんぶ”で、お願いします」
西園寺の、消え入りそうな声。
目がアイマスクで隠れていても。
西園寺がとても照れながら口にしていると、はっきりわかった。
「うっし。……いいぞ、しゃがんだ」
西園寺の前に、背中を向けて屈む。
後ろからゆっくりと、西園寺が前に進んできた。
距離感をつかむためか、拘束された両手を前に伸ばしている。
俺の背中に触れた。
「んっ――」
西園寺の両手が、輪を通すようにして首にかけられる。
それを確かめてから、西園寺はおずおずと体重を預けて来た。
「お、重かったらごめんね?」
「いや、全然重くないから」
背中に伝わる、西園寺の胸の感触。
たとえローブ風の上着を着ていても、それはちゃんとわかった。
東條ほどには大きくないが、しっかりそれだと分かる重量感がある。
おうふっ……!
やばい、鼻血出そう。
「っしょっと――」
西園寺の両太ももを、下からすくいあげるように手でつかむ。
ちょうど、西園寺のロングブーツと素肌の境界線あたりに触れていた。
ブーツの生地を通した太ももの手触りと、素肌の柔らかな肉感が同時に手に伝ってくる。
……右手に【ダンジョングローブ】の革が装備されてなければ、もっと素晴らしい体験をできたんだが。
◆ ◆ ◆ ◆
「行くぞっ――」
立ち上がり、持ち上げる際に少し勢いをつける。
その拍子に、西園寺の身体が少し跳ねた。
降りて来た西園寺の胸は反動がついていて、さらなる威力を俺の背に伝えてくる。
うぉっ!?
……前屈みは、俺の特権なんで。
「ええ」
東條は、もちろんそんなことは露知らず。
ダンジョンの通路を歩き始めた。
俺もそれについていくように、西園寺を背に脚を動かす。
「――GYUPIII!!」
そして幸運にもすぐ、モンスターと出くわした。
「ダンジョンワームか!」
ミニゴーレムとほぼ同サイズの、イモムシ型モンスターだ。
通常はクリーム色に近い黄緑色をしている。
ダンジョン内の土や岩石を食べるらしい。
そうして体内に貯蔵した石などを玉にして、吐き出す攻撃もしかけてくる。
「うぇっ!? えっ、えっ、虫さん!? ワーム!?」
背中の西園寺が、明らかに動揺した声を上げる。
多くの女子と同様に、虫系がダメらしい。
キュッと肘を締めるようにして、さらに俺へと密着してくれる。
……だが視界を封じられていることが、逆に良い方向へと働いていた。
あの気色悪い外見を見なくていいことで、極度の恐怖や混乱に飲まれなくて済んでいるらしい。
「大丈夫よ、西園寺さん! すぐに終わらせるからっ――」
そして東條が、全く怯える様子なく駆け出した。
東條は多くの女子とは違って、虫系は大丈夫らしい。
うん、二人の解釈一致だなぁ。
「GYUPIAAA――GYUPA!」
ダンジョンワームは、口に当たる部分から石の礫を吐き出す。
東條はそれらをすべて、両手剣の幅広い側面で受けきった。
「GYUPI,GYUPI!」
だがモンスターも、それだけでは怯まない。
少しだけ溜めを長くして、今度は大きな土でできた玉を発射してきた。
「【強撃】!!」
それを、東條は真っ向から迎え撃つ。
レベルが2あるスキルは、両手剣の輝きをさらに強めた。
そして溜めの動作も、レベルが1の時よりスムーズである。
向かってきた大きな土玉を、真っ二つに切り裂いた。
「GYU!?――」
今度こそ、ダンジョンワームは怯む。
大きなモーションが必要な攻撃だったらしく、次弾の発射までかなり大きな隙ができていた。
そこを見逃さず、東條は一気に距離を詰める。
「【強撃】!!」
MPが上がったことで、MP切れの心配が薄れたためか。
東條は、技を躊躇なく連発する。
それは西園寺のために。
最大の威力の攻撃でもって、最速でケリをつけるという東條の意思の表れだった。
「――せぁぁっ!!」
流線形のようなダンジョンワームの長く太い体を。
東條の剣は、一度も止まることなく切り抜く。
そしてイモムシモンスターの巨体を、跡形もなく光の粒子へと変えたのだった。




