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第26話 お手本を見てから、早速ミッションをクリアすればよくない?

「や、やったね雨咲君、東條さん!」



 西園寺がテイムの成功を祝してくれる。

 だが心はここにあらずの様子で、その顔は真っ赤だった。

 上気した東條の姿を、チラチラと視界の端にとらえるように見ている。


 ……他人がテイムされる姿を目にして、自分の時のことを思い出しているのかもしれない。

 自分も東條のように、拘束されてとても淫靡いんびな表情をしていたのでは、と。


 ……まあ実際、西園寺も負けず劣らずでエッチでしたよ?

 もちろん口にはしないけどね。



「ああ。これで東條も【調教ミッション】に挑戦できるな」     


「はぁ、はぁ、ミッション? えっと、そうね。頑張るわ」 

 


 東條はまだ少し呼吸が整わない様子。

 会話もただ反応しているだけみたいな感じで、若干だが疲れも見えた。 



「あ~東條。とりあえずテイムは終わったから。座って休んで大丈夫だ」


 

 手を貸し、会議室内の椅子を引いて座らせる。

 


「ありがとう。……でも“ミッション”? っていうのは、いいの?」


「大丈夫。すぐに消えたりするようなもんじゃない」 

   

「そうだよ、東條さんは休んでて」


 

 西園寺が俺の前に進み出てくる。



「ちょうどいいから、東條さんは見てて! ――雨咲君。私が東條さんのお手本として、先に今日の【調教ミッション】やるよ!」



 胸の前で両手をグッと握りしめ、やる気十分な西園寺。

 初めての従者仲間ができたためか、これでもかと気合いが入っている様子だ。


 鼻息をフンスと吐いて、頼もしさを出そうとしている西園寺さんマジ可愛い。

  


「……そうか。でも今日の【調教ミッション】、もしかしたらちょっと毛色が違うかもしれないが、大丈夫か?」


「うん、もちろん! 今までだって乗り越えて来たんだから。どんな内容でもバッチ来いだよ!!」



 西園寺の気持ちはしかと受け取った。


    

「なら伝えよう。今日の【調教ミッション】の内容は――」



◆ ◆ ◆ ◆


[調教ミッション]


●デイリーミッション


 各30秒ずつ、くすぐりに耐える   

 1 脇  現在:00:00.00  

 2 へそ 現在:00:00.00

 3 足裏 現在:00:00.00


 報酬:耐久+1 魔耐+1

 

 ↓調教Lv.1により各+1、調教ポイント+20


 報酬:耐久+2 魔耐+2 調教ポイント+20

 

    

― ― ― ― ―



「あ、あの……雨咲君。これで、いいんだよね?」



 西園寺は椅子に座ったまま、手を頭の後ろで組んでいた。

 両肘は頭の高さまで持ち上げられている。


 そのため西園寺の綺麗な脇が、無防備にも露わになっていた。

      


「ああ」



 ローブ風の上着を脱いだ西園寺は、ノースリーブの黒いトップス1枚となっている。

 肘上まで覆う白いロンググローブと、肩付近までしかない黒い布地。

 その間にできた唯一肌の覗く領域に、ゆっくりと手を接近させた。

 

 

「うぅ~。しょ、しょうがない、よね? ミッションだもん……」    



 西園寺は顔を赤らめながら、チラチラと東條の視線を気にしていた。


 自分がとっているセクシーなポーズ。

 それを見られていると意識してか、余計に羞恥心で顔を真っ赤にする。


 また自分で大見得を切ってしまったために、自ら退路を塞いでしまったような状態になっていた。


 本来、別に無理してやる必要はない。

 だが西園寺は、何度も自分に言い聞かせるようにして自らを納得させている。


 純真で清楚な西園寺が。

 自ら進んで異性に体を差し出すような構図は、とても刺激的に映った。 



「……じゃあ、行くぞ――」


 

 両手の人差し指を、そっと西園寺の脇にわせた。


 二の腕の先、少しくぼんだ柔らかな部分。

 触れた瞬間から指先に、じっとりとしたほのかな湿りが伝わる。

 


「っ~!」



 西園寺の腕がビクッと反応する。

 声にならない吐息が口から漏れ出た。



“現在:00:02.19”



【調教ミッション】の画面に視線をやり、秒数がちゃんと進んでいることを確かめる。

 

 これで合っているとわかった。

 くぼみ辺りで、指先を上下に往復させ続ける。

    

 

「んんっ、あっ、あっ、あっ、んぁ、ふぁっ」

 


 余程、俺のくすぐりが効いているらしい。

 反射的に肘が下がりそうになったり、あるいは無意識に体をそらせて逃げようとしたりしていた。 


 だが最初でまだ余裕があったこともあり。 

 西園寺は何とか、“脇”の30秒を耐えきったのだった。



◆ ◆ ◆ ◆



「はぁ、はぁ……つ、次は、おへそ、だよね? うぅ~」



 少し呼吸は乱れていたが、まだ元気そうだ。

 西園寺は恥ずかしがりながらも、黒いインナーに手をかける。  


 すそをチラッと捲り上げると、綺麗なお腹が姿を見せた。 

 穴部分の周辺をなぞるように、再び人差し指を動かす。



「あっ、んんっ――」



 やはり俺はくすぐりの才能でもあるのかもしれない。

 すぐに西園寺から、くすぐったそうな声が出てくる。


 身体も反射的に反応し、指先から逃げるように腰がビクビクっと動いた。


 また指先のいない方へ何とかして逃れようとしてか、何度となく腰をくねらせる。  

 それはまるで本能的にオスを誘うダンスのように、とても誘惑的に見えたのだった。

 


「……ごくっ」



 視界の端に、休む東條の姿が映る。

 目の前で起こっている光景から目が離せないかのように釘付けになっていた。


 喉を鳴らして生唾まで飲み込んでいるし。

 美少女な西園寺が乱れる姿は、同性に対しても極めて強い誘引力があるのだろう。



「じょ、上半身ゾーンは、クリア、だよね? はぁ、はぁ……」



“へそ”のくすぐりを耐え抜き、西園寺は肩で息をし始めていた。

 顔もすでに上気しており、その姿はとても色っぽく感じる。 



「最後は、足か……あうぅ~」


 

 一番恥ずかしそうに唸り声をあげ、西園寺は視線を足先に落とした。

 観念したように長い息を吐き、両脚のブーツを脱いでいく。


 

「……えっと。足先は、雨咲君の膝に乗せる感じでいいのかな?」 



 西園寺にそう確認されて、イメージの共有ができた。

 足つぼマッサージみたいな姿勢を想像しているらしい。

 

 その方がやりやすいかと同意し、椅子をもう1脚用意する。

 西園寺の座る前まで持ってきて、俺もそれに腰かけた。



「ほいっ」


「うん――」



 西園寺が座ったまま両脚を真っすぐ伸ばしてくる。

 その先が、俺の膝上にそっと置かれた。

 純白のニーソックスに包まれた足裏が、綺麗に正面に来る。

   

 

「んっ……」



 下着が見えてしまわないようにと。

 西園寺は短いスカートの裾を、両手でギュッと押さえつけるようにしていた。 

   


「じゃあ最後だ、頑張れ――」



 激励後、西園寺の足裏をくすぐり始めた。

 


「ひゃんっ――」


 

 ギュッと足の指先に力が入る。

 5本の指がグイッと集まったり、離れたりを繰り返した。

 

  

「ふふっ、あっ、ははっ、や、ダメ、雨咲、君っ、あっ、ふわっ」



 堪らず西園寺の足先が、反射的に俺の膝から逃げようとする。

 だがそれを西園寺自身が太ももを押さえつけるようにして、何とか耐えていた。 

 

 そのために、手がスカートから離れる。

 乱れた拍子に、太ももの艶やかな地肌がチラッと覗いてしまう。

 


「西園寺、10秒切ったぞ。あとちょっとだ」



 そこから意識を遠ざけようと、視線を【調教ミッション】画面に固定した。

 残り秒数をカウントダウンしながら読み上げる。



「あんっ、あっ、あっ、やっ、んっ、ダメ、んんっ――」



 その間、西園寺のあえぐような乱れた声が、何度も耳を誘惑した。


 

「……3,2,1――」


  

 だが健気に頑張る西園寺とともに、何とか耐えきったのだった。



[調教ミッション]


●デイリーミッション


 各30秒ずつ、くすぐりに耐える   

 1 脇  現在:00:30.00 完   

 2 へそ 現在:00:30.00 完

 3 足裏 現在:00:30.00 完

    

― ― ― ― ―


◆ ◆ ◆ ◆


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」



 椅子の上で息も絶え絶えな西園寺。

 その全身に、淡い黄色の魔力が生じる。



「あっ――」


 

 それは、ミッションを見学していた東條にもちゃんと見えたらしい。

 魔力の流れをその目で追いかけ、消滅するところまでしっかりと見ていた。


 やはり“従者”となった者は、【調教ミッション】の恩恵を受ける過程を視認できるようになるらしい。 

 


「今のが、説明してくれていた【ミッション】の報酬、そうよね?」



 見学による休憩により、東條の呼吸も殆ど整っていた。 

 


「うん、えっと、そう、だよ? 東條さん、も。【調教ミッション】を、やれば、成長、できるから」



 息継ぎしながらも、西園寺は東條へと笑顔で答える。



「うん。ありがとう、西園寺さん」



 椅子で休む西園寺と入れ替わるように、東條はうなずいて立ち上がった。



「――雨咲君。私の【調教ミッション】、教えてもらえるかしら?」

 

「……ん、了解。東條は腕立て40回と、スクワットが40回だな。報酬は筋力値が+2になる」

    


 念のため、東條の左上をもう一度確認する。

 そこに映る【調教ミッション】に見間違いはなく、伝えた通りだった。



「……わかったわ」


 

 集中するように目をつむり、深く呼吸する。

 そして自分のタイミングで床に手を付き、黙々と腕立て伏せを始めた。


 

“腕立て伏せ 23/40”



 普段からやっているのか、かなりスムーズに回数を重ねていく。

 

   

「無理はしなくていいからな? 休憩を挟んでも、回数はリセットされないし」 


「うん、わかったわ――24,25……」



 流石に30回で一度、膝をつく。

 それでも何度か呼吸をした後すぐに再開し、残り10回を片付けた。



「OK。40回だ」


「じゃあ次、スクワットね――」



 休みなく立ち上がり、足を肩幅に広げて上下に動き始めた。

 表情は変わらず、鋭く正面を見続けている。



「13,14,15……」



 異性を感じさせる大きな胸も、スクワットに合わせて自己主張するように動く。

 ショートパンツから伸びる長い脚も健康的で、とても魅力的だった。


 

「――39,40!」   



 40回をやり遂げ、東條の全身に初めて魔力の光が宿る。

 


「あっ――」



 それは東條のミッション達成を祝福するかのように黄色く光り、体中を駆け巡って消滅したのだった。


[ステータス]

●基礎情報


名前:東條とうじょう雪奈せつな



●能力値


Lv.2

HP:9/9

MP:1/1

筋力:3→5 New!!

耐久:3

魔力:0

魔耐:1

敏捷:3

器用:2



 東條のステータスもまた、閲覧することができるようになっていた。

 そのステータス上ではちゃんと、ミッション達成による報酬が反映されていたのである。




「凄い……。こんな、全身に力が溢れてくるような感覚、初めてだわ!」



 自分の変化に驚くように、東條は両手をマジマジと見つめる。

 そして自身のステータスを確認して、俺へと向き直った。



「ありがとう、雨咲君! 本当に、こんなにもすぐにステータスが上がって、恩恵を実感できるなんて……」


「へいへい、よかったよかった」

 


 心から感謝と感動をしていることが伝わってくる。

 あまりに感情が溢れすぎて、言葉が追い付いていないかのように見えた。


 美人で表情を崩さないイメージの東條が、感情を前面に出すように笑顔で喜んでいる。

 その姿はギャップがあって、とても魅力的に映ったのだった。

 

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