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第6話 遊園地デート後編 side:光里


遅れてすみません。



「くっ、惜しい」


「甘い」


 博樹は腕を動かして私の攻撃を防いだ。久しぶりにやったけど、エアホッケーも結構楽しい。


 博樹が誘ってくれたので、私たちは近くのゲームコーナーに入った。たぶん、私を励まそうとしてくれたんだろう。


 それは嬉しいんけど、今日の私は運動する格好じゃないし。午前中動き回ったから少し疲れているし。そこは減点なのだよ、博樹くん。


「隙あり!」


「やば」


 私の攻撃は守備を破り、ゴールした。やった、私の勝利。


「あー、楽しかった」


「そうだな」


 減点はあったけど私の気分は晴れたから加点。何より、博樹になんでも命令できるから大幅加点。


 そう、私たちは勝った方が負けた方になんでも1つ命令できるという賭けをしていたのだ。博樹、絶対えっちなことを命じる気だったでしょ。


 女の子にひどい賭けをさせた男の子には何を命令しようか。


「どうしよっかなぁ」


 たいていのことは催眠術でやらせたのでこれといって思いつかない。


「そうだ」


 よし、いいこと思いついた。


「空中ブランコ!」


 ふふん、博樹はすごい嫌そうな顔をしているけど、私は今、とてもいい顔をしている気がする。


 私は、隙をみて博樹の間抜け顔を再び撮りたいのだ。催眠術の偽物じゃなくて、本物の博樹の間抜け顔を。


「あれれ博樹くん、約束破っちゃうのかなあ?」


 本当に嫌だったら、断ってもいいんだよ?


「わかったよ」


 博樹ならそう言うと思った。それじゃあ、早速出発だ!




 空中ブランコには予想よりも人が並んでいた。というわけで、私たちは大人しく列の最後尾に加わった。それなりに待ちそうだ。


 まさか、空中ブランコごときにこれだけ並ぶことになるとは。


「じゃじゃん」


 急に博樹がしゃべったのでそちらを見ると、手にはあのお菓子が。


「じゃが○こだ。しかも、私の好きなじゃがバター味」


 私は根っからのじゃが○こファン。サラダ味やたらこ味もいいけど、じゃがバターが1番好きだ。


「昔、よく家に持ってきてたよな」


「うわ、懐かしいんだけど」


 博樹のうちに持っていくって言って、お母さんにスーパーで買ってもらってた。今では自分で買うぐらいだ。


 うん、美味しい。小4ぐらいがマイブームのピークだった。小4といえば。


「昔といえばさ、美咲って覚えてる?」


 変な噂が流れてるみたいだし、ここで訂正しておこう。誰だよみたいな顔をしていた博樹は、少し時間が経って思い出したようだ。


「小5で転校したやつだろ?」


「そうそう。私たち、結構仲良かったよね」


 博樹もうなずいている。これで本題に進める。


「実はあの子、こっちに戻ってきててさ」


 やっぱり知らないみたい。まあ、知ってたら私に言ってくるよね。


「クラスは違うんだけど、原田のこと好きらしいんだよ」


「まじか。同じ高校にいて、あの原田が好き、とか」


 ふーん、「あの」原田ねえ。原田のこと、知ってるじゃん。ということは、変な噂も知ってるのかな。


「それでこの前、一緒にカフェに行ってあげたの。3人でね」


 あえて3人というところを強調して言うと、博樹は面白いくらい動揺した。えっと、もしかしてあの噂、信じちゃってる?


「3人で」


「そう、3人で」


 私が原田と付き合っているなんて、ありえないのに。これだけ博樹一筋なんだから、いい加減気づいてよ。


「それで?」


「いや、それだけ」


 食いつきがすごい。博樹、絶対私のこと好きでしょ。それともなに、私が幼馴染だから気になっているだけ?


 そんなことはありえない、はず。ごめん、やっぱ自信ないや。


「いやいや、美咲は大人しいし。原田も思い出作りに付き合っただけだから」


 日和った私は、大人しく真実を話した。


「光里は?」


「私?」


 いや、だから。


「友達が頼んできたから、付き合っただけ」


 そんぐらい考えたらわかるでしょ、ばか。


「原田も彼女に誤解されたくないだろうしね、気遣いってやつ」


「彼女?」


 博樹は恋愛に興味ないのかな。知っている人も結構いるのに。あの噂も、関係ない人が無責任に言っているだけだから。


「実は原田、あの久石さんと付き合ってるから」


 私がちょっとドヤ顔で言ってあげると、博樹は世紀の大ニュースだぜという顔をしていた。1週まわって、なんか可愛い。


「なるほどなあ」


 そして、こんな話でも思いの外時間は立っていたようで。


 誘導に従って私たちはそのまま空中ブランコに乗り込んだのだった。




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