第三話 作戦
投稿遅すぎました。申し訳ありません!
んまぁ、最近忙しくて……。これからも結構忙しいので、投稿ペースは下がると思います。でもなるだけ早く書けるように努力します。
アメと、少し打ち解けた感じがした。ただ、完全に信用したわけではない。柳のおっさんは以前、
「油断ってのが、一番怖いんだぜ?どんな状況でも常に考えろ。目の前の相手を信頼しすぎるな。俺からしてみれば、坊主、お前が今から俺に殴りかかってこないとは言い切れないだろ?もしかしたら、お前は悪魔にでも頭をやられちまって、目の前にいる人間をぶん殴るようになっている……かもしれない。そりゃあ、俺はお前のことをある程度信頼しているんだがな、完全に信用ってのはしてねえわけだ。俺はな、世界に完全な信頼なんてないって思うね。だからといって世の中の全てを信じるなというわけじゃねえぞ?あくまで可能性は常に持っとっけって話」
と、長々持論を語ってくれたことがあった。あいつは基本的に変で、適当だったりする奴だが、奴の人生経験は本物なのかもしれん。「亀の甲より年の功」って言葉がある。まさにそれだろうな。まあ、まだおっさんと呼べるレベルなので「年」とは言えないが、まあ、僕より長生きしてるからいいだろ。
という訳で警戒しつつも、まあ、普通に話そうか。変に態度を変えたりしたら、嫌な奴って思われるかもしれないからな。今度は向こうから話を振ってもらおうかな。
「なあ、アメは意思はあるけど、一応、人間ではないんだろ?」
「はい、人間に近いものの、アンドロイドです」
「人間になってみたいって思う?」
「そうですね……私は今のこの人間とアンドロイドの狭間にいるような感じも悪くはないと思いますよ。でも、人間さんのことは知っておきたいです」
……『人間さん』なんかかわいいと思うのは僕だけか?美少女が「お馬さんだー!」とはしゃいでいるのを見て、可愛いと思うのと同じだろう。……この例え、変かな?
「じゃあさ、人間である僕に訊きたいことって何かない?ほら、なんか人間ってものは複雑だから、アメが知らないことも多いと思うし」
「え、仮面Fさんって人間なんですか?」
……何気に傷つくこと言われた……。ま、まあ普通に考えて、こんな超人的で、狐の仮面被ってる奴を人間かどうか疑うのなんて当然か。もちろん僕は人間かどうかと問われると、びみょいのは確かだが、一応人間やってるつもりなんですけど……。ちょっと泣きそう……。結構コンプレックスなんだぞ!それ。
「え、えっと……一応人間です。超人的な人間です……」
敬語になっちゃった。でも、いきなりそんなこと言われたら敬語にもなる。アメは、そんな僕を見て、はっとした顔になった。
「ご、ごめんなさい……。触れちゃいけないところでしたか?」
「ま、まあいいよ。こんな僕みたいな奴、人間って思う方が難しいって」
「じゃ、じゃあ人間の仮面Fさんに質問です!」
「は、はい」
「人間さんは何のために生きるんですか?」
「む、難しいこと訊くね」
思っていたより、難しいことを聞かれてしまった。まあ、確かに1番大事なことではあるかもな。何のために生きるのか。哲学的な話はあまり得意ではないと思うが、この際、一度考えてみるのもいいかもしれない。
「何のためにかあ……。生物的な意味では、子孫を残すためじゃないかな?それ以外にも、その人その人で、やりたいこととか違うだろうし。自分は子供を作りたくないって人もいるだろうし、まあ、人それぞれ色々あるんじゃないかな?」
「なるほど。では、人間さんはどうやって子孫を残すのですか?」
「えっ、」
……それは保健体育的な話になってしまうか……。だがしかし、将来、体育教師を目指す僕は、いつか、生徒に訊かれるかもしれない。
どう答えるのが正解か……なんというか、うーん教えたくねぇ……。いやしかし、彼女は自分の知識の向上として、人間をもっと知るという必要性があり、訊いているのだ。真摯に答えるべきか。いや、この無知な彼女に人間のいわば生々しい部分を教えてしまうのか……。
「なーんて、冗談ですよ。どうやって子供ができるかぐらい分かりますよ。それぐらいの知識はありますから」
……僕を揶揄ったということかこのアンドロイドは。全く酷いよ。
「あは、怒りました?」
「いや、この程度じゃ怒らないよ僕は」
「心が広いのですね」
「んまあ、そうかも?ありがと」
「ちなみに、仮面Fさんは何のために生きているんですか?」
なんかその言い方だとまるで、僕が生きてる意味ないみたいに感じるのは僕だけ?
だが、『何のために生きている?』といきなり訊かれると、みんなちょっと困るのではないだろうか?
「うーん、僕は色々目的はあるかな。『夢を叶えるため』とか、『多くの人の命をこの力で救う』とか、『結婚して幸せな家庭を作る』とか、『オタクであり続ける』とかだよ」
「結構たくさんあるんですね。では、仮面Fさんの夢ってなんですか?」
「僕の夢?僕の夢は体育の教師になることだよ」
「なぜ、体育の教師になりたいんですか?」
「僕はさ、昔、中学生の時『いじめ』ってやつを受けてたんだよ。それで、周りに味方がいなくなっちゃって、誰も僕を信用してくれなくなっちゃったけど、その先生だけは僕のことを信じてくれて。だから僕も、僕みたいな思いを中学生の時にして欲しくないから、そういう子供たちを少しでもなくすっていうか、味方になってあげたいからなるって決めたんだ」
「素敵ですね、とても。私応援しますよ」
「ありがとう。ちなみにさ、アメにはなんか夢あるの?」
「特にはありませんが、甘いものを沢山食べたいです。他にも、人間さんといっしょにアンドロイドも暮らせる世の中にしたいです。そのためには私自身も人間さんと暮らしてみたいです。あと、もう私の同志みたいな、人間に、酷い方法で使われてしまうアンドロイドがもう生まれないようにして欲しいんです。あんな使われ方をするアンドロイドは私の同志で最後にして欲しいです」
「結構多いんだね」
そう夢を語った彼女は、なんだか悲しげだった。なぜだろうか?夢を語るというのは結構楽しいことな気がするんだが。何か理由があるんだろうしかし、それは分からなかった。
しかし、そんな彼女は「あ、」と言い口を開いた。
「もう一つありました。出来れば私の同志にもう一度会いたいなあって……」
「……」
僕は黙った。黙ってしまった。言ってしまえば、僕が彼女の同士を倒してしまったんだ。そして、彼女の同志は今頃、警察に捕らわれているだろうな。おそらく処分されてしまうんだろう。
「あはは、そんなの無理ですよねだって、私の同志は人を殺めてしまったんですから。同士は、悪いことをしたんですから」
暗かった彼女の表情が更に暗くなってしまい、なんなら俯いてしまい、今は顔すら確認できない。僕は彼女のために出来ることを探した。一つだけ浮かんだ。
と、いうわけで僕は電話を取り出した。かける相手はもうお察しの方もいるだろう。まあ、あの男は便利なナイスガイだからしょうがない。
「もしもし?柳の、自称お兄さんですかー」
「おお、坊主……遂に俺をお兄さんと認めたか……。ただな、『自称』はいらないぞ。自他共に認めるお兄さんだからな。んでなんの用だ?なんかトラブったか?」
「いや、トラブルじゃない。頼み事だ」
「なんだ?」
「ショッピングモールで倒れてるアンドロイドたち、回収したら、処分はするなよ」
「えっ?」
と、アメが言葉をこぼす。まぁ、普通に考えてちょっと意味わからないことをしているのは僕も重々承知である。
「処分しないって……どうすんだよ?別にこんな奴らいたってガラクタだろぉ?」
「ガラクタってお前なあ……ひでえよ」
「じゃあなんで処分しないんだ?俺が納得するぐらいの理由を提示してみてくれよ」
「うーん、と、だな……あっ、そうそう、そいつら改造してお手伝いアンドロイド的なのにしたら良さげだとは思わないか?僕、家事苦手だし。柳家でも、使えるんじゃないか?ほら、1からアンドロイド作るのと、ベースあるのとしゃ、作る手間が違うだろ?」
アンドロイドとか、ロボットとかに詳しくはないので、ベースがあれば作りやすいのかは適当に言っている。まぁ、そんなことするつもりはなく、アメがもう一度会いたいというのなら、会わしてやりたい。
そもそも、アメを含めたアンドロイドたちは、命令されただけで、彼ら自身は悪くないのかなって思う。作られて、自由も与えられず、ただ殺人をさせるために作られた。そういう存在だったのだろう。だから、僕は彼らを救いたい。なんとなく、彼らを処分してしまうというのは胸が痛い。
「な、なぜ?助けてくれるんですか?彼らを」
と、アメが僕へ訊いてくる。僕はこう返す。
「助けたんじゃないよ。僕はただ、家事をやってくれるアンドロイドが欲しいだけさ。結果的に彼らを助けてるってだけだ」
と、ちょっと格好つけたことを言う。まぁ、たまにはこう言うこと言ってもいいだろ。
「……はは〜ん。豊くーん、そういうことかあ〜」
「……なんだよ柳」
電話から、柳の声が流れる。柳は普段、僕のことを「豊」とは呼ばない。いつも、「お前」だの、「坊主」だの、「ガキ」だの、そういう呼び方をしてくるのだが、こういう、なんというか、挑発的な時は名前で呼んでくる。いやらしい奴だ。
しかし、『そういうことかあ〜』と言うぐらいなのだから、おそらく、僕の状況を察したということだろう。普通にすげぇなこの男。
「んまぁ、いいよ。今回の報酬ってことでいいか?処分しないで、保管しておいてやるよ」
「ありがてぇ」
「んじゃあ、テロリスト潰しよろしくねぇ〜」
「あいよ」
と言い、電話を切る。とにかく保管という形ではあるが、処分されないのは助かった。アメはずっとこっちを眺めている。驚いた顔をしている。
「私の同志は処分されずに済んだのですか?」
「ああ、そうみたいだな。あっ、勘違いすんなよ?さっきのお手伝いアンドロイドの話は冗談だよ。まあ、家事が苦手なのは本当だけどね……」
と、笑い混じりに言う。
「……ありがとございます」
「ああ、いいけど、まぁ、感謝するなら柳に感謝してくれよ。あっ、柳ってのは……
続きを語ろうとしたがやめた。それはアメが泣いていたからである。
「ええっ、ああ?どうしたの?大丈夫?」
と、咄嗟に文章を作ったので、適切な声掛けではなかったかもしれないがとにかく彼女に声をかけずにはいられなかった。
「いえ、嬉しくて……つい」
「そっか。なら安心したよ」
アメはアンドロイドを自称しているが、結構、感情が豊かである。
「まぁ、アメが彼らと会えるのはもう少し先になるかもしれないけどね」
「それでも構いません。ただ彼らが助かって、また会えるチャンスがあるだけで十分です」
彼女が明るくなってくれてよかった。サンキュー、柳。
――――――――
と、それからは柳の話をしたり、雑談したりして、もうあと30分ぐらいで到着というところまで来た。
「んじゃあ、そろそろ、どういう作戦でいくのか、決めようか」
「はい!そういたしましょう!」
アメはすっかり元気なり、明るい感じになってくれた。
「まず第一優先は、子どもたちの救出だな」
「そうですね。子供達は地下に囚われています。地下へは隠し扉でしか行けません」
「なるほどね。どうだろう?どういう作戦で行こうか……」
ここは、アンドロイドで頭のいいはずのアメに頼るのが得策だろうが、まだ僕は彼女が敵ある可能性を捨てきれないため、僕が作戦を考える。もし、彼女が作戦を考えたら、その作戦が罠である可能性も大いにある。
「少し考えさせてくれないか?」
「分かりました」
というわけで数分思考したのち、彼女に作戦を報告する。一応、成功しそうかどうかを聞いておくためである。
「よし、思いついたぞ」
「どのような作戦でゆくのですか?」
「まず、アメが裏切ったことを察されてはまずい。そこで、僕を捕まえたふりをする。『テロは失敗したものの、不死身の面白い奴を見つけました』的な感じで。流石に誰しもが不死身の奴には興味を示すだろう。僕は不死身ってだけの弱そうな奴を演じる。そして油断させて、地下へ潜入。そして、子どもたちに接近して、救出。そのあと、地下から上がり、アメは子どもたちを逃す。そして僕は建物内で暴れて、子どもたちの逃げる時間を稼ぐとともに犯人たちの注意を惹きつける。犯人たちを全員拘束したのち、あとは警察に任せる。これでどうだろうか?」
長々と作戦を説明した。まぁ、まとめると、まず油断させて、子どもを救出したのち、僕は暴れて、アメは子どもたちを逃す。そしてあとは警察に任せると言った感じ。
「えっ?Fさん、不死身なんですか?」
「あれ?言ってなかったっけ?」
そういえば言ってなかったような……?ちなみに『Fさん』と呼ばれるようになった。理由はまぁ、親しみを持ってくれているのだろう。あと単純に呼びやすいからだと思う。
というか、さっき電話で本名バレてるじゃん僕。柳のことも、もし彼女が敵である可能性を考えると、あまり賢い行動ではなかったなと、今になって反省している。……もしかして柳は、電話越しに、アメがそこまで警戒する必要のある人物でないと判断したのか、それともただのミスか。あいつはそんなミスをする奴とは思えない。あいつはやる時はちゃんとやってくれる奴だからだ。
「そうだね、僕は一応不死身だ」
「ど、どうして不死身なんでんですか?」
「んまぁ、昔ちょっと女神を助けたらこうなっちゃった」
「どうして女神を助けて不死身に……」
「そこんところの話は今はいいや。それでどうだ?僕の考えた作戦は成功しそうか?」
「いけると思いますが、ただ、一つ、Fさんが時間を稼ぐと言うところが気になります」
「と、言うと?」
「いくらFさんが不死身とはいえ、犯人たちは危険です。普通に銃持ってますよ?しかも、戦闘経験も積んでいるはずですし、何より頭が狂ってます。殺人狂なんですよ?」
「だーいじょぶ。僕は今まで多分これから戦う奴らよりヤバい奴とも戦ったことあるから」
神様とも戦ったことあるぐらいなんだ僕は。まぁ、武器有りの人間なんぞ余裕の類ではあると思う。もし、やばくなっても、気合いで解決する。
「しかし、不死身でも怪我はするのでしょう?痛くはないんですか?」
「痛みには慣れてるよ。だから大丈夫」
「で、でも……」
「心配してくれるのか?大丈夫だって。僕は死なないから。子どもたちが助けを求めてるんだろ?将来教育者になる僕が、ここで子どもを助けなくてどうするのさ」
「分かりました。でも、無理はしないでくださいね?」
「了解。アメも無理しないでくれよ?」
「はい、分かりました」
「あっ、そうだ。もしどうしても僕の力が必要な時は、『助けて〜F』的な感じで言ってくれれば、すぐに向かう。僕は聴力とか、視力も高くできるから、聞こえるはず」
「分かりました。なんかヒーローみたいですね。それ」
「確かにそうだな」
ヒーローね。いい響きだ。僕のこの化け物のような力も、ヒーローとして使えれば最高だ。
昔はこの能力が大っ嫌いだったが、今はそうでもないかもしれない。この僕の力で人が助けられるなら、万々歳だ。僕が苦しめば、助かる命があるのなら。僕のあの黒歴史は、僕の青春の崩壊は、ある意味価値のあるものかもしれない。
「到着」
と、ドラさんが言う。着いたようだ。山の中で、人があまりいなそうな、そういう印象を受ける場所だ。ここの山の中に敵の本拠地があるそうだ。アメが詳しく場所は知っている。
「じゃあ、行こうかアメ」
「はい」
僕は手錠をかけられる。さっき言った作戦の一つ。僕が潜入するための作戦である。勿論、手錠なんぞ簡単に破壊できるし、鍵を持っているので、その必要は無いはず。さらに狐の仮面もとり、変装用のメガネもかける。身元がバレたく無いためである。
ドラさんにはここで待機してもらう。緊急時に、逃げるためである。一応、僕の脚力があれば脱出は可能だ。しかし、それはあくまで最終手段だ。
無事に子どもたちを救出し、テロリストをぶっ潰す。その目的を果たしたら、アメに甘いものでも食べさせてやろう。そう思い、敵の本拠地へ向かうのだった。
どうでしたでしょうか?面白く書けるようこれからも頑張ります!
「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!
文章書くのあまり早くないので更新ペースはカスだと思いますが、頑張って早く書きます…。上の2つをしていただいたら、早さがえらいことになる…かも?
あと、これやっていいのかわかんないんですけど、(更新遅いのに)新しく物語を書きたいです。そっちの方は、短く終えるつもりです。とりあえず一つ、なんか完結している作品欲しいなあって、思いましたので書きたいです。僕の癖というか、僕は頭でポンポン新しい物語を作っちゃってそれ書きたくなってしまうのです。じゃあ書こう!(謎理論)というわけです。