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第二話 名前

文章量が前回の2倍ぐらいになってしまいました。どれぐらいが適量なのか、だんだん探っていきます!

 突然美少女が現れた。疑問は山ほどある。


 まず、彼女は何者だ?彼女は味方なのか?あのアンドロイドを一撃で倒してしまうレールガン的な銃はなんだ?どうしてあんなに可愛いんだ?と、疑問はたくさんだ。



 まず1番気になる質問を投げかける。



「君は……何者だ?」


 そう、こんな危険だとわかる状態の中、レールガン的な銃を持って、アンドロイドを撃破するのは、少なくとも一般人ではないだろう。すると、少女は答えた。



「私は付喪系美少女アンドロイドです」



 と、答えた……。アンドロイド?やっぱり、敵なのか?僕の警戒心は急に高まった。



 もしやこの少女は、アニメとかにたまにいる、雑魚い自分の味方を、気に入らないからっていう理由で殺す、完璧主義のちょっとヤバめな強キャラ的な立ち位置のやつなのか…?


 と、思っていたが、そうではないらしく、



「いえいえ、そんな警戒なさらないでください」



 と言い、彼女はレールガン的銃を床に置き、両手を上げた。敵対意識はないようだが……。



 いや、もしやこの少女は、アニメとかにたまにいる、最初は、「そんなに警戒しないでくださいよ〜」とか、やけに丁寧に喋って、敵意を示さないよくわからんキャラだけど、最終局面になってくると、その内に秘めた狂気が露見してきて、とんでもなくやばいやつだった!的なキャラなのか?



 ただの勘違いかもしれない。しかし、この少女が怪しいことには変わりがないのだ。



 ただ、引っかかるワードがある。「つくもけい」?漢字にすると、「付喪系」になるのか?彼女は自分自身を「付喪系美少女アンドロイド」と言った。



 「付喪」、「付喪神」。「九十九神」とも書くのだろうか。確か物に魂が宿る的な感じだったはず。……つまりどういうことだ?本人に聞くのが手っ取り早いな。



「付喪系?とはどういうことだ?そして、君は僕の味方なのか?」



「私は元々、そこに倒れてる()()の仲間でした。つまり、ただのアンドロイドだったんです。私は支持役を任されていました」



「しかしある日、急に自我が芽生え、()()になったんです。その原因は付喪神でした。私は付喪神に憑かれたんです。そこから、こんなテロをやってはいけないと思い、彼らを裏切りました。つまり、私はあなたの味方です」



 と、話した。つまり彼女は、アンドロイドに付喪神がついて、自我が芽生え、アンドロイドを裏切り、彼らを倒したという訳か……。



 だがしかし、彼女の話を、鵜呑みにしてしまうのはよくない気がする。彼女はこう言ってるだけで、実際はただのアンドロイドかもしれないし、彼女が本当にアンドロイド側を裏切ってるのかも、分からないのだ。



 ……僕は彼女が怖い。ここで、「あー、味方かぁ、じゃあ見逃すか!」となって、本当は敵である彼女を見逃してしまい、また多くの死者を出してしまうかもしれない。



 ここは、助けてもらって悪いが、彼女のことはあまり信用しないスタイルでいく。



 だが、本当に味方かもしれない。この究極の2択、外したらまずいな。彼女を見逃すリスクは、先述した通り。彼女を捕まえる。もしくは、……始末する。

 


 そのリスクは、罪のない、僕のことを助けてくれた心優しい、自称「付喪系美少女アンドロイド」に酷い目を合わせてしまう。……それは人としてよくはない。じゃあ、どうすれば……。



 と、思っていると、彼女が口を開く。


「まぁ、私のことを信用なんてできませんよね。じゃあ私が味方である証拠的なものを出しましょうか?」



「出せるならな」



「わかりました。証拠は2つあります。1つ目は、まだ、もう一体敵のアンドロイドはいます。そして私はその敵の位置を知っています」



 ……そうだ、僕は、まだ敵がいるかもしれない可能性を、完全に忘れていた……。まだまだだな、僕も。



「2つ目は?」



「2つ目は、私は敵の本拠地を知っています。そこで、我々アンドロイドは人間によって作られ、彼ら人間はそこでテロの計画なども練っています。さらにそこには、子供も捕らえられています……」



「子供……。なぜ子供を?身代金を求めるためか?」



「それは……おそらく、子供を人体改造して、兵器にするとか、もちろん、身代金の要求などもあるでしょうね」



「子供を兵器に……だと?」



 そんな恐ろしいことができてしまうのか?人体改造……つまり、なんか爆弾を埋め込むとかそんな感じか?僕の頭ではそれぐらいしか思いつかなかったが、とにかく非人道的な恐ろしいものであることは間違いない。そして彼女は続ける。



「はい。彼らのデータを見たところ、そういう計画も練られているようです。まだ実行はされていませんが、時間の問題でしょう……」



「そいつらに、人の心は……ないのか?」



 アンドロイド、いや、元・アンドロイドらしい、彼女に聞くのもどうかとは思うが、彼女は、そいつらをきっと見てきている、そんな彼女だから聞ける。



「ない……でしょうね。彼らはただ、虐殺をしたいだけです。昔は、おそらくなんらかの思想があったようですが、最近……おそらく、私が作り出された頃からは、ただ虐殺をする集団に成り果てたのです。彼らは殺人を楽しんでやっているのでしょう」



 なんというか、言葉が出なかった。今までもテロとかには遭遇して、解決してきた僕だが、彼らはなんらかの思想があった。思想があるからという理由で、罪のない人を殺すのも当然ダメだが、なんの考えなしに、人をただ殺すだけの奴等など、本物の、クソ野郎だ。



「早く」


「えっ?」


「早くもう一体の敵の位置を教えてくれないか」



「えっと、立体駐車場に待機しています。私が待機させています。一応、指示係なので」


「乗れ」


「えっ?」



「僕の背中に乗るんだ。君を1人にしたら何をしでかすか、分からないからな」



 そう、僕は彼女のことをまだ信用しきれない。おぶっていれば、彼女が何かしてもすぐ対処できるし、僕に大体の攻撃は効かないし、何より早く敵の本拠地へ行かねばならない。


 そうだな、今のうちに呼んでおくか。


「ちょっと待ってくれ」



 僕は柳のおっさんに電話をかける。ワンコールで出た。謎にあいつは電話に出るのが早い。


「はい、こちら柳の()()()()です」


()()()()()()()()を呼んでくれ」




「って、無視かよ。悲しくなるぜぇ、()()()()はよぉ。んで、なんでドラさんなんだ?どっか行くのか?


 僕はここまでの経緯を話した。



「なるほどね。そのアンドロイドちゃんのナビで敵の本拠地に行くって訳ね」


「そうだ。ドラさん今暇かな?」



「まぁ、あの人今日は暇だろ。オッケー呼んでおくよ。優しい柳()()()()がね。また駐車したとこはメールで送る」


「そうか、ありがとう」



「なぁ、一回ぐらいツッコミをしてくれても…


「じゃあな()()()()


 と言い、電話を切る。かわいそう?あいつはそういうやつなんだよ。


「ドラさん」とは、ドライバーである。「ドライバー」の、「ドラ」さん。柳のおっさん曰く、「最強のドライバー」らしい。ドライブテクニック的な面でもそう、戦闘面でも、戦っているところを、僕は過去に見たことがある。めっちゃ強い。まぁ、僕なら勝てるけど。あくまで、「ドライバーが本職なのに強い。ドライバーの中で最強」という話である。



 彼が運転してくれれば、彼女、「付喪系美少女アンドロイド」が、何かやってくれたとしても、どうにかなりそうである。それぐらい信用している。なぜか安心感のある、ドライバーである。


「よし、行くぞ」



「はっ、はい、お、お願いします……。でいいですか?」


 彼女は、しゃがんだ、僕の背中に乗る。んん……予想外だ。てっきり彼女の体はアンドロイドを名乗るだけあり、()()かと思ったが()()()()。特に2()()柔らかいモノが……。大きすぎず、小さすぎない。おそらく、僕の好みの大きさだ……。



 って、いかんいかん。子供達が囚われているんだろ?早く行かなきゃ……。



「ちゃんと掴まっていろよ」



「はっ、はい、あの、なぜおんぶをするのですか?おんぶして貰わなくても私は歩けますが……」


「僕が走った方が早いだろ?」



「しかし、私を背負うと重いでしょうし……」



「大丈夫だ。僕は身体能力が超人的なんだよ」


「なっ、なるほど……」



「行くぞ、()()()()()()()なよ」



 と、彼女に言い、僕は()()()()の、スピードで走る。そこそこ、と言っても、多分バイクより速いかな?適当だけど。まぁ、早く着けばいいや。



 僕はショッピングモールを駆け抜けて、階段を登り、あっという間に立体駐車場に着いた。生存している人は、いなかったと思う。僕のスピードが早すぎてあまり見えなかったが、無事みんな避難したようだ。無事ではなく、亡骸となった方々は目に写ってしまったが……。すると彼女は、



「は、早すぎますよお、あなた何者なんですかぁ〜」



「まあ、一応『仮面F』と名乗っているよ。僕、狐の仮面被ってるだろ?狐は英語でFOX。だからFOXのFをとって『仮面』Fだ。」


「なるほど……。って、お名前も大事ですけど!その身体能力はなんですかぁ!?」



「まぁ色々あった」


「色々って……」



「それより、どこにいるんだ?もう一体は」



「えっと、あっちにいるはずです」


 と、言い、彼女は、敵の場所を指で示した。



「よし行くか。そうしたら本拠地に行く……


「ちょっと待ってください!」



 と、彼女は僕を止める。なんだ?もしやここまできて裏切りかなんかか?まぁ勝てるけど。


「なんだ?」



「私に、()を、アンドロイドを、倒させてください」


「……え?」


「ダメですか?」



「いや、いいっちゃいいけど、いいの?僕が倒した方が安全だと思うけど。君には敵の本拠地を教えてもらわないといけない訳だし……。なんで君は彼を倒したいの?というか、待機命令を出せるなら、別に無理に倒さなくてもいいんじゃない?」



「…私は、ケジメをつけなくちゃいけないんです。かつての()()に。あと、彼らには爆弾が取り付けられています。時間以内に目標を達成しないと自爆してしまいます。下にいた彼らにはもう処置を施しているので大丈夫ですよ」


「……そうか」



 そうなのだ。彼女にとって敵のアンドロイドたちは、同志、仲間だったのだ。自我が芽生え、裏切るまでは。それにケジメをつけたい。罪滅ぼし的なやつだろうか……。



「わかった。いいよ」



「はい、ありがとうございます」



 彼女の美しい顔が、どこか、覚悟のある顔的なやつに変わった。もちろん美しいままだが。しかし、悲しげでもあった。そりゃそうだろう。かつての同志を倒すんだから。


「では、行きますね」



「まあ、何かあったら守るから」



「……守ってくれるんですか?」



「まぁ、優しいからな僕は」



「優しい人は自分で言いませんよ」


「そっか」



「でも、信じます」




「あなたは素敵な方だと思いますから」



 ……初めてだ。女性に褒められたのは。「素敵な方」だってさ。母に褒められた覚えもないし、ましてや、他人に褒められることなど…あったかもしれない。



 ()()()には、あるか。だが、()()()は、僕は正直、女性、いや、人間としても見たくない。うう、昔のトラウマが出てくるからこの話題はやめよう。


 という訳で、最後のアンドロイドを倒しに行く。彼女はレールガン的銃を、持ってきていた。……いつの間に。正直、気付かなかった。



 敵を視認した。敵は銃を持ち、突っ立っていた。何をするでもなく、ただ突っ立っていた。彼女が待機命令を出しているのは本当らしい。

 彼女はレールガン的銃を構えた。



「ごめんなさい……同志ッ」



 と、彼女は呟いた。そして、引き金を引き、敵を、彼女のかつての同志を倒した。彼女の顔は、辛そうに見えた。



「……終わりました。この私の銃、『スイート』なら一撃のはずです。一応、生死を確認しましょうか…」



 「スイート」という名前らしい。甘い。甘いものが好きなのか?というか、彼女は何か食べるのか?そういう、どうでもいい疑問が浮かんでしまう。

 生死は、「死」だった。これで、モール内のアンドロイドは彼女を省き、倒した……のか?生き残りがいるかもしれないが、残りは柳のおっさんと、警察の方々に任せよう。



 さて、メールを確認……。どうやらショッピングモールから少し歩いた所にドラさんはいるらしい。


「じゃあ、行くか」



「……はい」



「ちょっと待ってください」



 そういうと彼女は、かつての同志の前で、合掌した。僕もせねばならない。ここで、亡くなった方々に。一刻も早く、犯人たちを捕まえねば。



「では、行きますか」



「もういいのか?」



「はい。()()()早く、犯人を捕まえて欲しいでしょうし」



「そうだな。じゃあ、車に移動しよう。さっき連絡で、車を手配してもらったから。ちょっと歩かないといけないけど」



「了解しました」



 それから僕たちはドラさんの車に移動した。移動中、僕らは一言も話さなかった。なんとなく、話したくなかった。



――――――


 僕たちはショッピングモールを出て、ドラさんの車に着いた。黒い、よくお偉いさんが乗りそうな車である。


「ドラさん、お久しぶりです」


「………」



 あいからわず無口だなぁ、この人。ほぼ喋らない、それが、ドラさんである。年齢不詳。イケおじ。無口。最強。そんな人がドラさんだ。格好としては、スーツに、タクシードライバーのような帽子を被っている。つまり、タクシードライバーの格好である。



「よろしくお願いします」



 と挨拶をした。彼女も同様に挨拶をした。



「……どこ」



 ドラさんが喋った!珍しい。声イケボぉ……。彼女が美人だから話したのだろうか?彼女は、



「えっと、スマホかナビありますか?探しますので」


 と、言うが、しかしドラさんは、


「……住所」


「えっ?住所ですか?あそこに住所はないですが、大体の住所は分かりますが……」



 僕は彼女に言う。



「ドラさんは住所を言えば大体わかるよ。ナビとかなしに。頭に入ってるんだってさ。あと機械苦手らしい」


「えっと、じゃあ、


 彼女は住所を述べた。


 ~です。分かりますか?」



 ドラさんは頷く。すげえや。住所で、場所を、なんも見ずに分かるとか。出発進行の前に、


「ドラさん、例のアレ、トランクですか?」


 ドラさんは頷く。例のアレ、それすなわち、


「えっ、ちょ何を……」



「捕まえる訳じゃない。あくまで安全確保のためだ。僕は君をまだ、完全に信用してはいない」



 と言い、彼女に例のアレ、「手錠」をかける。足にも一応。そして、彼女の銃、「スイート」もトランクに乗せる。



 例のアレ、手錠に関しては何も僕は言っていないが、柳のおっさんが用意してくれた。あの男、何気にできる男である。もちろん今から捕まえに行く犯人分もある。


「じゃあ、ドラさんお願いします」



 ドラさんは頷く。車が動き出した。モールの方は、もう警察が入っているらしい。残党がいないか、生存者、死者の対応をしていただく。


 静かだ。車内は、大変静かでございます。うーん、僕が喋らないのもあるし、彼女も、喋ってくれるだろうが、喋っていいのか分かってなさそう。ドラさんは言うまでもない。



 まぁ、喋るか。人と雑談など、ほとんどしない。柳のおっさんとするぐらいだ。



 つまり、僕は友達がいない。大学でも、ほぼ孤立である。中学、高校で、まぁ、その、いじめに遭っていた僕は、いつの間にか、友達は居なくなり、人ともほとんど話さなかった。家族も、僕のことをあまり好きではないらしい。


 そんな気がするのだ。いや、そうなんだ。中学の頃、家族、主に両親からの信頼は、()()()でほぼ無くなった。大学に行く金は払ってくれた。だが、これ以降、あなたには何もしない、そんな雰囲気を両親は醸し出していた。



 僕には妹がいる。みんなその妹に、僕の分の愛情を注いできた。妹は実際、僕より頭が良くて、スポーツもできて、(まぁ、今では僕の方ができるけど。)性格も良くて、顔も良くて、スタイル抜群で……上げ出したらキリがない気がするのでここらへんでやめておく。



 しかも妹はこんな愚かな兄を今も尊敬してくれるらしい。連絡をたまにしてくれるし、相談に乗って欲しいと言ってくることもある。



 妹のことは、まぁ、愛している。(家族としてね!)しかし、僕は妹が怖い。なんなら少し嫌いである。なぜかって?家族の愛を取られたとか、そういう理由ではない。妹はそう、()()()()()のだ。完璧すぎて怖い。

 

 そういう人である。まさに、アンドロイドのようだ。いつも正しい。いつも優しい。そういうプログラムでもされたように、そう動く。


 まぁ、妹のことはいい。長々と、僕の孤独話をしてしまった。申し訳ない。さて、彼女と話すか。



「えっと、まぁ、なんだ、静かなまま、目的地まで行くのも嫌だろ?何か雑談をしよう」



 頼む、いい感じの反応をしてくれ……。



「いいですよ。何をお話しますか?」



 よし!食いついた。だがしかし、話題を振られた。ど、どうしよう……話題のことを何も考えていなかった!んー、そ、そうだ、アレを聞こう。


「そうだな、気になったことがあるから聞いても構わないか?」


「はい、いいですよ」



「君の銃、『スイート』って名前だろ?なんで『スイート』なんだ?」


「私が甘いものが好きだからですよ」



「そうなのか。付喪系アンドロイドは、人間と同じく、何か食べたりするのか?」



「はい、食べますよ。私のことは、アンドロイドというよりは、人間として考えてもらっていいですよ」



「特に何が好きなんだ?」



「甘いものと言っても、私は元々、アンドロイドで、私は、私を作った、人の前ではアンドロイドとして過ごしているので、そんなに外に出れる機会が無くて、甘いものをあまり食べれていないのですが、板チョコと、プリンを食べたことがありますよ」



「そうかぁ。あっ、そうだ。甘いものといえば」



 僕はポケットに飴があったことに気づいた。飴は食べたことがないなら、あげてみるか。と、思い、彼女に飴を差し出す。



「これは?」



「飴だ。甘いお菓子だ」



「飴、ですか。聞いたことありますよ。甘い物なんですよね?」



「そうだな。食べるか?」



「頂けるんですか?」



「いいよ。味は、いちご味でいいか?」



「はっ、はい。未知のものを食べるのはワクワクしますが、少し緊張しますね」



 僕はいちごの飴を袋から出す。そして彼女の……口に、僕が入れるのか。彼女は現在、手錠をかけられているため、自分では食べづらいだろう。女性に何か食べさせるという経験は初めてだな。ぼっちの、「あーん」なぞ、当然したことない僕には辛いな。


「口に入れていいのか?」



「入れていただけるのですか?」


 ……なんかエロい。そんな気がした。



「口に入れたら舐めるんだぞ」


「はい!」



 なんか興奮してないか?おそらく、未知のものに出会った喜びなのだろうが、エロい。



「じゃあ、入れるぞ。あーん」



 彼女の口に飴を入れる。彼女は飴を舐め出した。


「んー!?」



 という声が聞こえる。おいしい、らしいのか?……嬉しいな。美少女に自分のあげたものが喜んでもらえるとは……感激だ。


「美味しいです……」



 と、彼女は飴を舐めながら言う。


「気に入ったか?」



「はい!すごく美味しいです!こんな小さなものに、こんなに甘味が詰まっているとは……」


 かなり感動しているようだ。まさかここまで喜ぶとは。


「も、もうないのですか?」



「ないな、飴はポケットにたまたま入っただけだ」


「そ、そうですか……」



 なんかがっかりされた。うーん、飴もっと持っておくべきだったか。ていうかなんで飴持ってたんだっけ?忘れてしまった。


 そういえば、僕は彼女のことを、「君」と、呼んできた。彼女の名前はなんだろうか?



「そういえば、君の名前は?ずっと聞いていなかったな」


「名前ですか……。私に名前は……そういえばありませんね。私を作った彼らには、『お前』とか呼ばれてましたね」


「『お前』って……」



「名前、つけていただいてもいいですよ」



「え?なんで僕?」



「まぁ、あの人たちには付けてもらいたくないですし、あなた……いえ、仮面Fさんにつけていただいた方がいいですし」



「ほぼ初対面なのに?」



「うーん、私の場合、あの人たちを除いたら、ほとんど初対面ですよ」

 

 と、少し自虐的に言う。



「そうか……。本当に名前、付けていいのか?僕なんかで」


「いいですよ~」



「私に先なんてないですから……」



「ん?なんかいったか?」



「いえ、なんでもありませんよ」



絶対何か言っていたがよく聞き取れなっかったのでまあ、いいや。しかし、名前ねえ。ネーミングセンスには自信はないのだが……。



「少し考えさせてくれないか?」



「はい、もちろんです」



 うーむ、彼女といえば、付喪神、アンドロイド、美少女、セーラー服、銀髪、赤眼、僕好みの胸、『スイート』、甘党、飴、あめ、……「アメ」。


 アメというのはどうだろう。呼びやすい、覚えやすい、彼女らしい。良いのでは?という訳で早速彼女に提案してみる。



「『アメ』というのはどうだ?カタカナで『アメ』」


「……『アメ』ですか」


 「ゴクリ……」という音は出せないがそれぐらいの緊張感が僕の中に走る。


「すごくいいですね!気に入りました!私の名はこれから『アメ』なのですね!」


 アメは満面の笑みを浮かべる……可愛いな。よほど嬉しかったのだろう。


「気に入ってくれたなら良かったよ」



 本当に良かった。彼女に、いや、『アメ』という名前をつけれたのはのはとても光栄である。そう感じた。だって、すげー美少女の名付け親なんだよ?僕は。嬉しいなあ。こんな嬉しいのは久々だ。



 だがしかし、ここで緊張感を失ってはいけない。まだ僕は敵を捕まえられていない。



「ドラさん、後どれぐらいで着きそうですか?」


 ドラさんは指で2と示した。


「2時間ですか?」


 ドラさんは頷く。……まだ時間はかかってしまうな。まあ、アメと話していればいいだろう。

どうでしたでしょうか?面白く書けるようこれからも頑張ります!

「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!

文章書くのあまり早くないので更新ペースはカスだと思いますが、頑張って早く書きます…。上の2つをしていただいたら、早さがえらいことになる…かも?

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