水分
水分がなければ
体が霧散してしまう
水分がなかったのなら
何にも触れられません
私の体は塵でできている
風が吹くと少し剥がれてしまう
私は先週まで引き出しにしまわれていましたが
外に出されて急に風化してしまったの
あの思い出の場所に
行ってみる
塵の一つ一つが
涙を流す
水分があれば
体をとどめていられます
水分があったのなら
何かを書くこともできます
砂の城に
霧吹きで水をかけるように
私は固まる人型に
元の姿に戻る
湿った塵が
生きることもない
死ぬことも
そんな塵が
今日も漂う