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15話 復讐の末路

翌日の学科講義終了後。



 「昨日の事だけど、考えたけどやっぱり復讐することにする」


 「昨日の事?」


 他の五人がいなくなってから、シャルロットはマドレーヌの元へ向かい。


 マドレーヌの姿を見つけるなり、そう言い放った。


 「復習…何の事か分かりませんが、意気込みは素晴らしいので、頑張ってくださいね」


 何か話が擦れ違っているようだが、結果受け入れられたようだ。


 昨日の今日で忘れること等あるのだろうか。


 とは言えど期待を裏切らないようにしようと、心の中で思う。


「では、また」


 そう言ってシャルロットは部屋の方へと戻っていく。


「で、本当に良かったんですか?」


 「過去から逃げ続けるよりかは良いと思います。前に進められるのなら。'昨日の私′がそう言った見たいなんですし」


「なら良いんですけど」


まるで自分では無いかのような言い種だ。


 それは、例えるなら入れ替わり人形のような感じで、入れ替わっていると言うべきか。


 一種の病気に近い。



 その病気が齊らした災いは少なからず無く。


 ある時は、それが原因で飼っていた仔犬を殺す始末だ。


 またある時は、争いの引き金へとなったりと。


 ──良いこと等これっぽっちもない。ただの厄介な病気なのだ。


病気の治療法も分かっていない。


 病気の所為で、シャルロットの復讐心を高めることに繋がってしまった。


意図的なものではないとしてもだ。


「では、これにて失礼しますね」


「ええ」


 椅子から立ち上がったマドレーヌが、そう言って部屋を出て行った。


 ◇  ◇ ◇  ◇  ◇  ◇  




其から何も起こらないまま数日が過ぎた。


そんな休日のある日。


 シャネルは非魔法学科の仲間四人とミオンの街へ出掛けていて、その帰り道。


 暗がりの中歩いていると、建物の隙間に女が倒れていた。


 その事に気が付くと、透かさず女の方に駆け寄る。


 傷口か広く、コートの上からでも分かる程に血が滲み出て、酷い状態だ。


 ──これがシャルロットの言っていた復讐なのだろうか。


 と思っていると、その先で横たわるシャルロットの姿が。


急いでシャネル達が駆け寄る。


「シャルロットさん、確りして」


 シャルロットの方も、腹部に大きな穴が開いていた。


 意識を戻そうと、強く揺すった所逆に傷口が広がっていく。


 「このままではヤバイから、治療魔法の専門医に連れていきます」


「わかった。運ぶの手伝う」


 一同は治療魔法の専門の魔術師の所へ向かう。



治療魔法の専門機関。


 そこの中央のベッドで、治療が行われていた。


「治療の方はどうですか?」


「まだ厳しいすね」


 治療を施していた女の魔術師が、シャネルの問いに厳しい顔のままでそう言う。


 「普通の魔法ならこんなに時間掛からないすけど」


「それってどう言うことですか」


 「高度な魔法か、端または、全く別の魔法に邪魔されてる」


「そんな···」


 ただ見ていることしか出来ない自分の無力さに、シャネルは唇を噛む。


 「出来ることはするてすけど、あまり期待はしない方が良いすよ。貴女達には悪いすけど」


 あまり見たことの無い症状に、絶望的なことを言い出す。


 治療を始めて暫く経つが、一向に治る兆しが見えてこない。


 「これは不味いすね。これだけしても駄目だともう駄目すね」


「そんな···」


 ──治療魔術師が言うのだから間違いない。


「わたし先生呼びに行ってくる」


 ボーッと突っ立っているだけのエミリーが、急いで学園の方へ向かおうとする。



マドレーヌの部屋。


──先生、先生。


何処からか声が聞こえてきた。


聞こえてきた先は、脳内だ。


 ──誰かが私を呼んでますね。ただ事じゃない。まさか


飲んでいた紅茶を皿に置いてから。


生徒の様子を魔法を使って窺う。



 そこに映されていたのは、あまりにも酷い状態のシャルロットとシャネル達だ。


「やっぱり···急がないと」


 深刻な事態であると知り、急いで向こうと文字通りに時空を繋ぐ。



 「ゴメンす。もう私じゃ無理すよ。処置はやり尽くした。けどどうしようもないっす。これだけやっても駄目すから」


「そんな···このまま死なせるなんて嫌」


 重い雰囲気の漂う治療機関へ、繋がった空間からマドレーヌがやってきた。


「そこを変わって貰えます?」


「え? はい、了解っす」


言われるがままに、場所を移動した。


腹部に出来た大きな傷口を、手でなぞる。


それから


「〈#邪魔祓__カコマギア·エクソル__#い〉」


呪文を唱えた。


 すると少しずつながら傷口が和らいでいくも、完全にではない。


 抵抗するように傷口がまた開こうとしていて、そこに包帯を巻く。


 この包帯は万能で、痛みを感じさせない。それだけではなく、魔法で和らげていく効果がある。


 とは言え、治るのには一年以上は掛かるのだが。


 更に魔法を使えにくくなるが、シャルロットには関係ない。


 こうしてシャルロットの方は終わり、もう一人の女の方にも同じ処置を行う。


一通りの治療が終わる。


 「シャルロットさんがこうなったのは、私に原因があります」


「それってどういう意味ですか?」


 意味の分からないシャネルが、マドレーヌに怒りを含んだ感情で問い質す。


 問い質されたマドレーヌは、昨日の事と、自分の事を全て話す。


 「マドレーヌ先生、そんな病気だったんだ」 


 「その病気は厄介だね~。その結果がこれなんて可哀想」   


 「復讐する筈が、逆にその相手に返り討ちにされたのじゃな」


 「復讐何て良くない。それにどうして復讐なんて」


 話を聞いた四人は、其々思うことを素直に口にした。


 「その事なんですけどね」と一旦間を置いてから話し出す。


 「シャルロットさんは、一年前に、一番信頼していた友人に裏切られたなんです。その原因は、魔法適正率が低すぎたことと、あまりにも弱過ぎた事だと思います。それも依りにもよって、ボランシュの森に置き去りにされたとかで。それ以来、彼女は人を信じることを恐れて、今のシャルロットさんになったんです」


知られざる過去を、五人に話した。


 「絶対に許せない。こんな酷いことした相手を。その相手が、嘗ての友人何て尚更許せない」


 「シャネルさんの言う通りだ。僕も許さない。あまりにもシャルロットさんが可哀想だよ」


 シャネルとオリヴィアが残虐なことをした相手へ怨嗟する。


「けど、相手は相当ヤバイんだよねー」


「あの感じからして間違いないのじゃ」


「そうだね」


 勝てるとは思えぬ相手との衝突は避けたい。


 何も言わずに仕掛けてくる程の相手では無いとは思う。


とその時──シャルロットが目を醒まし…


「結局、アイツには勝てなかったか」


強くなったと勘違いした結果がこれだ。


焦燥感を感じ始める。


 「もう何もかもどうでも良い。どうせ復讐なんて出来ない。人と関わる何てやっぱり良くない」


 マイナス思考なシャルロット。


 そんなシャルロットは、周囲を見渡し状態を確認する。


 目覚めた事に気付いたシャネルは、そちらへと近付く。


「全て聞きました」


 「勝手に人の過去聞いて、笑ってんでしょ。人と関わるなんて無駄」


 「笑ってなんて無いです。そんなこと無いと思います。確かに辛い思いしたに違いありません。けど、無駄だとは言い切れないんじゃないですか」


 勝手に過去を知られ、哀れまれると思っていたシャルロット。


 しかしシャネルの発言を聞き、安い同情かと思うと。


 「私も同じようなことに遇いましたが、今はこうしていられています」


 「あんたのは特別でしょ。私とは違うんだから」


 「確かにそうかもしれません。ですが、気持ちを理解したいと言う気持ちはあります。進みたいと強く願えばきっと前に進めると思います」


自分の思いを、シャルロットへと伝えた。


すると、


「前にね…そんなの遅い」


 「そう思うなら、どうして復讐なんてしようとしたんですか? 遅いと思うなら、するとは思いません」


「それは···」


 痛いところを衝かれ、思わずシャルロットは口ごもる。


「じゃあ、私は戻ります」


 そう言ってシャルロットの元を去り、仲間の方へと戻っていく。


「ハッ…」


 同じく重体であった女が漸く目を覚ます


 「確か急に女に襲われて···あれ、生きてる」


 死んだと、そう思い込んだのだろう。


 生きていることを実感し、ホッと安堵した。


 「目を醒ましたようすね。ここは治療魔法の専門機関すよ。倒れていた貴女をこの人達かここ迄運んできてくれたんすよ」


 目覚めたことに気付き、治療魔術師の女性が説明を行う。

 説明を聞き終え、視線をシャネル達の方に移す。


 「助けて下さってホントありがとうございます」


 上体を起こした女は、彼女達へお礼を言う。


五人は何処か照れ臭そうだ。


 「偶々あそこを通り掛かっただけです」


 「逆に通り掛かって無かったら、大変なことになってたねー。ホントさ」


 「偶然というよりは必然かもね。場所が場所なんだから」


ーー実際にそうだ。


 あれは偶然等ではない。


 万が一に備えて、予めシャルロットが建物に近い所を選んだのだから。


 「助けて貰ったお礼をしないと」


 「お気持ちだけで結構です。それに怪我の方を治したのは先生ですし」


 「先生、本当にありがとうございます」


 再び治療魔術師に顔を向けると、お礼を言う。


 「ああ、私じゃないすよ。治したのは彼方の人っす。何でも彼女達の学科の先生みたいすよ」


 今迄注目を向けなかったマドレーヌへと、注目を向ける。


 「失礼。では、改めて治療して下さりありがとうございます」


 「良いんですよ。お気に為さらず」


 改めてお礼を言う女へ、大人な対応を取った。


 それから暫くして完全に体が動くようになり、ベッドから立ち上がり…


 女は荷物を持って帰っていく。


 何時の間にか、シャルロットも消えていた。


 追いかけるようにし、シャネル達も学園の方へと戻って行く。


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