14話 まさか、あなたがーー
ボランシュの森。
「また厄介なのが出たわネ」
暗がりの中、生物に囲まれた下着に近い格好をした少女──ディファナ。
ディファナは、目の前にいる『少女』から報告を受けていた。
「あなたの奪った魔法の所有者が、そんな力を…」
それを聞いたディファナは、兎に角驚いた。
「で、非魔法学科の方はどうなの?」
「···」
「そうなのネ」
何故知っているのか、その様なことを聞くのだろうか。
「楽しみネ! 交流祭」
「···」
何か企てるようだ。
そこへ──
「何か楽しそうな話しとんね」
一人の少女がやって来た。
「交流祭は久々に妹と会うから、その邪魔だけはせんといてな」
「うん、うん。そうネ。じゃあ、それだけはしないようにするネ」
やって来た少女の願いに、二つ返事で答える。
「後の事は好きにして構わんよ」
と少女は言う。
「けど今回は」と前置きをすると。
「下調べだけにしといた方が良い」
「そう?」
「機会ならまだ有るんやし。様子見としとこ。それに貴女やったら内側で色々出きるんやろ」
嫌な予感がしたのか、交流祭でのそれを中止せるよう示唆する。
「邪魔が増えたら面倒臭いし、あなたの意見に賛成するネ」
少女──アドリーヌの意見が受け入れられ、満足そうだ。
「視察はあたしだけで良えやろ。それと貴女で」
「アドリーヌと貴女なら大丈夫ネ」
心強い物言いに、頼もしいなと思う。
「楽しくなりそうネ」
「そやね」
「···」
三人とも楽しそうだ。
そこまで決まると。
「じゃあ、解散ネ」
「また近い内来るわ。ほな、さいなら」
二人は其々学園と別の学園へと戻っていく。
ディファナもまた生物もろとも姿を消す。
──────────────
実技試験が終わり、あっという間に一年の終わりの月が訪れた。
シャネルの誕生日も盛大にお祝いされて、月も半分が終わろうとしていた。
シャネルが目を覚ますと。
閉められたカーテンを開け放つ。
「わあ」
窓の向こうには、辺り一面が銀世界が広がっていた。
「シャネル、ごきげんよう。寒いね」
「ネージュさん、ごきげんよう。ホント寒過ぎなの」
起き上がってきた二人が、シャネルへ挨拶をする。
──それに気付い私は
「エステルさん、ミラさん、ごきげんよう。凄い雪」
「本当だね。寒過ぎるわけだね」
「雪とか久々に見た。猛吹雪なの」
昨夜から降り続いた雪の影響で、凄いことになっていた。
ガタガタと震えたミラは、パジャマの上に厚手のコートを羽織る。
シャネルとエステルも上からコートを羽織って、食堂の方へ向かう。
食堂に着くと、空いた席に座り込む。
暫くの間待っていると、朝食が運び込まれてきた。
──パン団子だ。
寒い日にピッタリの一品。
早速食べ始め…
あまりの美味しさに食べ終わってしまい。
食べ終わると、部屋へ戻って行く。
部屋に戻ると歯磨きを済ませ、顔を洗う。
それから着替えて、髪型をセットして、準備を済ませた。
「それじゃあ、行こっか」」
「そうだね」
「そうしようなの」
椅子から立ち上がると、荷物を持って其々の教室へ向かう。
教室に着いてから、何時もの席に向かう。
「アリシア、ごきげんよう」
「シャネル、ごきげんよう」
席に着けと、前の席のアリシアと挨拶を交わす。
お喋りしてる間に、チャイムが鳴り先生が入ってきた。
そしてホームルームが始まる。
連絡事項迄伝え終え、授業開始し、どんどんと時間が過ぎていく。
お昼休みになり、学食へと向かう。
ビュッフェを楽しみ、食べ終わるや否や非魔法学科棟へ向かった。
流石の寒さと雪で、木の下にはシャルロットも鳥もおらず。
教室の中に入っていく。
「シャネルさん、ごきげんよう」
「エミリーさん、ごきげんよう」
隣の席のエミリーと挨拶を交わす。
「シャネル、ごきげんよう」
「ネージュさん、ごきげんよう」
「ごきげんようなのじゃ」
──後の三人も挨拶してくれたから。
「ごきげんよう」
挨拶を返した。
それからマドレーヌが教室に入ってきて、講義が始まる。
本日は生物と非魔法についてだ。
生物はどうやら非魔法が天敵らしい。
強力な生物でも、魔法だと効かない奴を非魔法で仕留めたと言う例もあるのだ。
この事から、如何に非魔法が優れているかが分かるだろう。
──そう、非魔法が破れること等有り得ないのだから。
今確認出来ているだけの生物のイラストと、使う'魔法′についての講義を行う。
現在はおおよそ五十体程居るとされている。
使う'魔法′の種類も多い。
この講義内容なのも、最近生物の動きが活発化しているからに他ならない。
生物化した生き物達は、通常冬眠する時期であろうと関係なく、活動し続けている。生き物達からしては迷惑な話だが。
一通り説明し終わると、プリントが配られてそれに沿って講義が続く。
暫く講義が続き、軈てチャイムが鳴る。
チャイムが鳴ったから講義を止め、
「では、今日の講義はここ迄にします。では、また明日」
そう言ってマドレーヌは、教室を出て部屋へ戻って行った。
「それじゃあ、私たちも帰ろっか」
「そうだね~」
「そうしようか」
「良いよ」
「妾も良いぞ」
五人は仲良く学生寮の方へと戻っていく。
その姿を睨み付けていたシャルロットは。
「皆してあんな良く分からない奴なんかに騙されて···馬鹿じゃない? どうせ何時かは裏切られるのに」
自分を抜いた四人の様子に、疑心暗鬼になってしまう。
そんなシャルロットの前に、部屋へ戻った筈のマドレーヌの姿が──
偶々忘れ物を取りに来ただけだろう。
そんなマドレーヌは、先程のシャルロットの呟きに対して、意見を言った。
「本当に皆を騙すつもりなら、もっと上手くやると思いますよ。それにあの娘はそんな器用じゃない。過去を乗り越えて見てはどうですか。あなたは悪く無いですよ。悪いのは裏切った友人」
「だとしても。今さら何? そんなこととっくに知ってる」
マドレーヌのアドバイスをバッサリと切る。
「遣り返したいとは思わないんですかね? 仕返ししたいと思った筈」
「話はそれだけ? なら帰る」
話を最後迄聞こうとせず、帰ろうとしたシャルロットへと。
「復讐をしたいと思いませんか」
そう言うと、シャルロットの足がピタリと止まった。
「復讐…」
思わず呟いた。
──何故そんな事も思い付かなかったんだ。
否、思い付かなかった訳ではない。だが勝てないと思い、行動に移さなかっただけだ。
「今の貴女なら出来ますよ。あの時より強くなってるんですから。まあ、返事は急ぐことはありませんからね。明日でも構いませんよ」
そう言って姿を消す。
「あの時とは違う···」
言われたことをぼさっと口にしてから。
「復讐すら成功すれば、また人を信じられる」
シャルロットの中で答えが出た。
それから学生寮の方へと戻っていく。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
学園の庭では、珍しい程降った雪に紫髪のツーサイドアップの小柄な幼女───コレットがぶつぶつ言いながら遊んでいた。
隣ではシャネルもいて、スノーアートを作っているようだ。
端から見たら子供にしか見えない。
否、コレットだけはまだ子供か。
この二人を見ていると微笑ましい。
「シャネルお姉さんのスノーアート凄いね」
「先生のも凄いですね」
「先生なんて呼び方堅苦しいから、コレットって呼んで欲しいの。それにコレの方が年下だもん」
「それじゃあ、コレットで」
改めて名前を呼ばれ、満面な笑顔で「うん」と答えた。
雪猫と雪兎、雪花などを作ったらしく。──迚上手い。
一通り雪で遊び終えると。
「雪遊び楽しかった」
「コレも楽しかった」
二人とも大満足な様子。
「シャネルお姉さん、付き合ってくれてありがと」
「私の方こそ、誘ってくれてありがとう」
お礼を良い終えてから。
「じゃあ、寒いから部屋に戻ろう」
「うー、そうしよ」
二人は学生寮へと戻っていき、途中で分かれた。
部屋に戻ると、暫くして三人でお風呂へと向かう。
衣類を脱いで、風呂場に入り躯と髪を洗い、温泉に浸かる。
「ふぅ~。温まる」
「気持ち良い」
「体に染み渡ってきて冷えが和らぐなの」
──お風呂からは、辺り一面の雪景色が広がっていた。迚美しい。
ゆっくりと湯船に浸かり、逆上せる前に上がる。
それから躯と髪の毛を洗って、風呂場から出た。
躯を綺麗に拭いてから、パジャマに着替えて部屋へと戻っていく。
部屋に戻ってから少し経て食堂に向かう。
食堂へ着くと、席を取って、注文を済ませる。
頼んだものが運び込まれてきて、食べ始め…
どんどんと料理はなくなっていき、ついには完食してしまい。
暫し休むと、部屋に戻っていく。
部屋に戻ると、少し経て歯磨きを済ます。
それが終わってから、寝る準備を済ませて横になる。
目を瞑っている内に、夢の世界へと入り込む。




