12話 買い物デート
何の変哲もない日常を送ること2ヶ月。
季節は肌寒くなって来ていた。
そんなある日。
「はわぁ~」
大きな伸びをして、シャネルは起き上がった。
「シャネル、ごきげんよう」
「ネージュさん、ごきげんよう」
「エステルさん、ミラさん、ごきげんよう」
──二人に私は挨拶を返すと。
「寒くなって来ましたね」
「ホントそうだね」
「そろそろ衣替えしないとなの」
季節の変わり目を肌で感じる三人。
パジャマの上から上着を着込んでから。
「ご飯を食べに行きましょう」
「そうしようか」
「お腹空いたですの」
と言う事で食堂に向かう。
食堂に着くと、空いた席に座り込む。
少ししてパンが運び込まれてきて、それから温かいスープも運び込まれてきた。
パンを食べながら、スープで身体の芯迄温まる。
パンとスープがなくなると、部屋へと戻っていく。
部屋へ戻ると、少し経て歯磨きを済ませ、顔を洗う。
それから髪型をセットして、準備完了。
「それじゃあ、行きましょうか」
「うん、そうしよ」
「了解かの」
荷物を持って、三人は部屋を出て教室の方へと向かう。
二人と分かれて、教室に入って何時もの席に座る。
「アリシア、ごきげんよう」
「シャネル、ごきげんよう」
前の席のアリシアと挨拶を交わす。
「シャネル、カーディガン似合ってるじゃん。可愛い」
「ありがとう」
アリシアに褒められて素直に喜んだ。
丁度その時──チャイムが鳴り先生が入って来た。
暫くしてホームルームが始まり、連絡事項を伝えた。
ホームルームが終わると、そのまま授業が始まり…
どんどんと授業は進んでいく。
気が付けとお昼休みに。
「お昼行こ」
「そうだね」
学食へと向かう。
学食に着くと直ぐに、料理を取りに行く。
今週のビュッフェは、温かい料理だ。
冷えてきた時期にピッタリだ。
取ってきた料理を食べていき、また取っては来ては食べてを繰り返す。
お腹が膨れていき、一休みする。
それから学科棟へと向かう。
木の下ではシャルロットが鳥と戯れた見慣れた光景。
学科棟の方へと歩いてると。
「にぁ~」
何処からか猫の鳴き声が聞こえてきた。
「あ、エミリーさん」
「しっ!」
声を掛けたシャネルに、注意を払う。
その理由は──
「小さな仔猫がいるから、驚かせないで」
建物の影に確かに仔猫がいた。
──可愛い。
愛くるしい猫に心を奪われてしまう。
此方に気付いた仔猫は、逃げ出すのではなく近付いてくる。
エミリーの足元まで来ると、擦り寄ってきた。
しゃがみこんで、その仔猫に掌を出す。
するとペロリと舐めて、続いて仔猫を撫で始め…
気持ち良さそうに、仔猫は目を細めていてつい微笑んでしまう。
「シャネルさんもやってみる?」
「はい、それじゃあ、してみます」
優しく撫で始めて、
「迚癒されます」
「可愛い猫とそれを撫でる可愛いシャネルさん、可愛いが溢れてる」
何だか悪いものが浄化されていきそうだ。
「こんなに懐いてるってことは、飼い猫ですかね」
「多分この学園で飼われてるじゃないかな」
野良猫はここ迄懐かないから間違いないだろう。
「お、そろそろ教室に行かないと」
「そうですね」
二人は急いで学科棟内の教室に向かう。
教室へ入って、席に着くと。
「エミリーさん、猫好きなんですね」
「うん。猫って可愛いよね。癒される」
「確かにそうですね」
浄化されたエミリーと、猫の話題で盛り上がっていると。
そこへマドレーヌが入ってきて、チャイムと同時に講義開始。
肉体戦術の有効性と魔法無効の仕組みについての授業だ。
「遠距離攻撃の相手には、それなりに術式を発動するのに時間が掛かります。その間に攻め込む事が出き相手を発動前に仕留められます。術式すら途中で壊せば落とせます。科学よりも有効です」
かなり有効的なことが分かる。
「相手のマナそのものを封じ込めることで相手の魔法を封じ込められます。とは言えこれはかなりの技術が要ります」
──ふむふむとシャネルは頷いた。
それからプリントを使った講義が続く。
暫く講義が続き、気が付けと終わりのチャイムが鳴った。
「では、本日はここ迄。来週は実技をします」
そう言って教室を出ていく。
「私も帰りますね」
「あ、シャネルさん、一緒に帰ろ」
先に帰ろうとしたシャネルを呼び止め、エミリーは誘う。
「良いですよ」
ニッコリと笑って応えると。
二人で教室を出ていく。
「何時の間にあんなに仲良くなったんだ」
そのような疑問を、オリヴィアは抱く。
「そうそう、明日暇なら一日付き合ってくれない?」
「──良いですよ」
エミリーの遊びの誘いを、何の迷いもなく即オーケーを出した。
学生寮に入ると、エミリーとは分かれて自分の部屋へ戻る。
部屋へ戻ると、先に帰っていたエステルとミラと楽しくお喋りをして過ごす。
お喋りに夢中になっている内に、陽が暮れ始めていた。
なので三人はお風呂へと向かう。
冷え込んで来た時期なだけあって、熱いお湯が心地よい。
──出たくなくなる程に。
とは言えど、逆上せない内に三人はお風呂から上がり、髪と身体を洗って上がった。
それから部屋に戻り、暫くして食堂に向かう。
本日のメニュー表は魚介メインだ。
其々が料理を注文し、運ばれてくると食べ始め…
あっという間に完食し、部屋へ戻っていく。
部屋へ戻ると、暫くして歯磨きを済ませる。
それから寝る準備をして、少しして夢の世界へ入り込む。
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翌日の朝。
エルマレーヌ学園の門前。
シャネルの格好は、白と黒の可愛らしいワンピースに、上からロナーチェコートを着ている。
肩にはお洒落なショルダーバッグを掛けていた。
待つこと数分。遅れてエミリーが駆けてやって来た。
エミリーの格好は、モノトーンスタイルだ。
ネイビーカラーのナイロン製のトートバッグを肩に掛けていた。
「シャネルさん、ごきげんよう」
「エミリーさん、ごきげんよう」
二人はお互いに挨拶を交わす。
「今日も一段と可愛いね。お洒落だし」
「これは四年前に買ったやつなんです。あまり四年前から身長あまり伸びてなくて。子供っぽいやつしか着れないです」
「それは切ないね。ホント」
自分の体型を気にするシャネルに、触れてはいけないものに触れてしまった気がしてしまう。
この身長の所為で何度子供に間違えられたことか。
そのようなことはエミリーには分かる余地がなく。
「ま、まあ、行こ」
「そうですね」
そう言って歩き出す。
ボランシェの森を南に歩いて更に小一時間歩くところへ。
二人が向かうのは、ウェースだ。
ウェースはミオンと同じく大きな都市だ。
「わぁ」
「良いところでしょ」
驚くシャネルの横で、何故か自慢げにエミリーがそう言う。
「雑誌で見てて、行きたいところがあちこちあるんだけど・・・」
言い終わる前に、あるものを発見する。
それは──
「あんなところに野生の猫が」
「可愛いですね」
「だね」
可愛い猫の姿を目にし、ニヤけてしまう。
「街中にいるもんなんですね」
「あ、あっちにも、此方にも」
二匹、三匹とどんどんと増えていく。
丸で′猫の天国'にでも迷い込んだと錯覚してしまうほどに。
「このウェースは野生の猫が大分前に棲み着くようになってね。今じゃこの街のスポットの一つさ」
足を止めてた二人へ、通りかかった紳士が説明してくれた。
「この街良いね」
「そうですね」
来て早々に気に入ってしまった。
「ずっとここにいたい」
「ですね」
暫くの間猫達に癒されると。
「それじゃあ、行こ」
「そうしましょう」
と言って歩きだす。
最初に入ったた店は、アクセサリー店。
「こういうの好きなんですね」
「そうそう」
可愛いアクセサリーの数々に目移りしてしまう。
「これなんてシャネルさんに似合うんじゃない」
「そうですか」
そう言ってシャネルへ見せたのは、スノードームのネックレスだ。
「そうですかね」
「うん、ホント似合うって。少しは大人っぽくなるって」
それを聞いて、シャネルは嬉しそうだ。
一通り店内を見回ると、店を出る。
続いて雑貨店へと入り込んだ。
店内はお洒落な雰囲気が漂っていて、人でも多い。
──このポーチ可愛い
手に取って眺めるシャネル。
そのポーチは、ラムネ色で大人っぽいやつだ。
サイズもよく、以外と入る。
値段もそこ迄高くなく。
「気に入ったので、これ買って来ますね」
「うん、じゃあ、わたしまだ見てる」
言い終わるやレジに向かい、会計を済ませる。
買った袋に入ったポーチを、ショルダーバッグに仕舞う。
後ろからエミリーが現れた。
彼女も何かを買っていたようだ。
「何か買ったんですか?」
問いかけに対して、エミリーは「ナイショ」と言って教えてくれず。
それからお店を出て次のお店に行く前に。
──ぐぎゅ~
と可愛らしい音が鳴った事もあり、お昼ご飯を取ることに。
二人はレストラン街を歩くこと数分。
「あ、猫の隠れ家ってレストランある」
「そこにしましょうか」
「うん、そうしよう」
──店内には、至る所に猫が飾られ、隠れていてまさに隠れ家と言っているのも伊達じゃない。
席は全てソファー席だ。
窓側の席に座り込むと、ウエイトレスがメニューを手にしやって来た。
メニューを見るが、どれも美味しそうで決まらず暫し悩んでから。
「私は、このミケーのウサギ肉の三色ソースオムラフと、オニオングラトスープにします」
「それじゃ、私はこの三種の肉のニュールと茶トルブレッドにする」
二人が決まるや否や、ウエイトレスを呼んだ。
二人は其々注文し、それを伺ったウエイトレスが注文を伝えに行く。
暫くして料理が運び込まれてきた。
お皿にも凝ってるらしく、猫の絵柄が彼方此方に付いている。色も違うようだ。
猫好きならば来なければ損な事間違いなしと、謳うだけの事はあると言うことか。
オムラフの上にホワイトソース、デミグラスソース、黒胡麻ソースが乗っかっていて、美味しそうだ。
分厚いお肉が三種もニュールの中に入っててボリューム満点だ。
別のお皿には茶トルの形をしたパン。
早速手を手拭いで拭いて食べ始め…
「ん~ん。美味しい。三種のソースが卵とウサギライスと混ざり合って美味さを増してる」
シャネルは食べた感想を言う。
「ん!! 美味い。お肉は思ったより柔らかくて滑らか。それにニュール自体も美味い」
絶賛な様子のエミリー。
続いてエミリーは、茶トルを恐る恐るニュールに付けて食べ始め…
「んん!! 美味! 凄く美味い」
美味いとしか言えない程美味かったようで、あっという間に無くなっていく。
「オニオングラトンスープも美味しい」
──ごくごくと飲んでいく。
全て食べ終わってから、少し休んでお会計を済ませる。それが終わると店を出た。
「お腹膨れましたね」
「そうだね」
苦しそうにするシャネルへ同じく苦しそうなエミリーが言う。
そこで、休めるところを探したところ直ぐに見つかった。
「そこで休みましょ」
「そうしよ」
暫くの間休むことに。
それから苦しみが治まった二人は、歩き出す。
レストラン街を出て、西に数分歩く。
やって来たのは、#宝物__シサヴロス__#と云う洋服店だ。
この洋服店は、品揃えが良く、何でも揃っている。
ここは身長の低い人用の服も多い。
「ここなら、大人っぽいコーデ、シャネルさんも出来るんじゃない?」
「そうだと良いですけど」
早速店内を見回る。
「これなんてどう~?」
そう言って見せたのは、花をモチーフにしたワンピースだ。
「わぁ、可愛い」
サイズの方も確かにピッタリだ。
子供っぽい印象から一転、大人っぽい印象に変わった。
「こっちのドレスもどう?」
「確かに良いですね」
全体的に黒が印象的で、落ち着いた雰囲気を醸し出す。
「このパーカー可愛い」
「あ、ホントだ」
グレーのシンプルな奴で、後ろには動物の絵柄が付いてある。
続いて上着の方を見ていると。
可愛い青色のロナーチェコートに一目惚れしてしまう。
「試しに来てみたら」
「はい、そうしてみますね」
とその場で来ていたロナーチェコートを脱いで、青色のロナーチェコートに袖を通す。
「良いと思う。凄く似合ってる」
「それじゃあ、これ買います」
手に取って他の所を見に行く。
「これも一緒にどう? 組み合わせ良いと思うんだけど」
エミリーが手渡したのは、モコモコな白色のニットだった。
「良いですね。そうしますね」
白色のニットも手に持つ。
それから歩き出す。
途中で可愛らしいスカートを見付けてそれも買うことにした。
それからレジに向かい、会計を済ませた。
エミリーも色々と見ていたが、これと云って目欲しいものがなかったようだ。
店を出ると、マルシェを回る。
回り終わると、丁度小腹の空いた頃で、スイーツを食べるとこに…
不思議なお店の前で足を止め、メニューを覗き込む。
美味しそうなスイーツの数々に、この店を選ぶのも必然的だろう。
店内に入り空いた席に座り込んだ。
そこへウエイトレスが来てメニューを二人に手渡す。
二人はメニューを見ながら悩むこと数分。
「私はこのブルーチーズケーノの白ワインソースにたっぷりフルーツ添えたやつにします」
「それじゃあ、わたしは、虹色のレインボーパフェにする」
二人の注文が決まって、ウエイトレスを呼ぶ。
注文を済ませて暫く待っていると。
運び込まれてきた。
たっぷりフルーツと天空のチーズケーノは、お皿一面にフルーツが盛られていてる。その中心に空を想わせるブルーのチーズケーノが乗っている。
──迚美味しそうだ。
虹色のレインボーパフェは、下層にコーンフレーク、ヨーグルト、スポンジケーキ、その上に七色のスイーツが盛り付けられていた。
三種のジェラットに、フルーツ、プーリュ、生クリーム、ショコラ。
此方も美味しそうだ。
早速二人は食べ始め…
「ん~ん。美味! このフルーツ、白ワインソースとマッチしてて美味美味。それにブルーチーズケーノにソースが絡み合って最高。味もしっかりしててもう、美味」
食べた感想を、シャネルは口にし、ご満悦なご様子。
「先ずはこのジェラットから···」
スプーンで掬い上げて口に運ぶ。
「甘い。美味い」
それからどんどんと食べていく。
「ん~ん。どれも美味美味。お口の中が幸せ」
お腹が幸福に満たされていく。
あっという間に無くなっていった。
──食べ終わると、少し休めてから。
「そろそろ行こっか」
「そうですね」
荷物を持ってレジに向かい、会計を済ませる。
それからお店を出て行った。
「そろそろ帰ろうか」
「そうですね」
一通り楽しんだ二人はウェースの出口に向かう。
それから学園の方へと戻っていく。
学園に着いてから。
「今日は本当に付き合ってくれてありがとう」
「良いんですよ。私も楽しめた」
足を止めてお礼を言うエミリーへ、ニカっと笑い掛けて応えた。
「今日付き合ってくれたお礼」
──そう言って手渡したのは、小さな包みに入った何か。
小包から取り出してみると、そこにはキラキラと輝きを放つ虹色のキャンディのキーホルダー。
「可愛い。ありがとうございます」
「こっちは私の」
色違いの同じキーホルダーだ。
「お金を・・・」
「良いって、だって友情の証だし」
「友情の···」
財布からお金を取り出そうとするシャネルを、手を使って止める。
エミリーの嬉しい一言に、頬を赤く染めて嬉しそうした。
そしてまた歩き出す。
──歩きながら。
「そう言えば能力ってどうやったら使えるの」
「自然と付くものだけど、自分のなかに秘めているものを出すような、そんな感じかな。頭の中にパッと思い付いたやつでもいけるかも」
「ありがとう」
実技に向けて身に付けたいシャネルは、ヒントを貰った。
それから楽しい会話をし、学生寮へ戻ると、其々の部屋へと戻って行った。




