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漫才「ダイイングメッセージにも風情を」

作者: kemuri
掲載日:2022/03/18

A:ツッコミ

B:ボケ


A「どうもーよろしくお願いいたします」

B「皆さーん!!!ダイイングメッセージにも!!!風情が必要だと思いませんか!?!?!?」

A「……」

B「……(Aの方を向いて顔を近づけながら)ダイイングメッセージにも!!!」

A「うるさいうるさい!! ボリュームおかしいよ!」

B「ちゃんと時間内に収めますって」

A「コンテンツのボリュームじゃねえよ!」

B「(客席の方に向き直る) 皆さんも、ダイイングメッセージには風情が欲しいですよね!?」

A「………」

B「………あっ、ダイイングメッセージというのは被害者が血文字とかで遺す事件の手がかりで」

A「言葉をご存知ない訳じゃないんだよ!ポカンとされてる理由はそこじゃない!」

B「いやね、僕ドラマや漫画でずっと気になってたんですよ。ダイイングメッセージって味気なくないすか」

A「味を求めるもんでもないよ」

B「まず簡潔でしょ」

A「死の間際だからね」

B「たまに途切れてるでしょ」

A「死の間際だからね」

B「色も一色しかない」

A「赤以外遺せねえんだ人間は」

B「分かってますよ?死の間際だから長文を遺せないのは」

A「俺が言ったよそれ」

B「でもだからこそ最後にひと花咲かせたいじゃないですか」

A「シンプルに手がかりを遺してくれ」

B「よって僕は、ダイイングメッセージを五七五で遺すことを提案します!」

A「……五七五?」

B「そしたらコンパクトにまとめつつ風情も生まれるでしょ?」

A「どうかなぁ」

B「じゃあ実際にやってみましょう。あなたは警察をやってください。僕はダイイングメッセージを遺した幽霊をやります」

A「………!?!?(戸惑いながらも警察官役を始める)」


A「被害者は若い男性か…」

B「(後ろからAにつきまといながら) ウ~~~~……」

A「これは…血文字で何か書いてある!なになに…」

B「ウ~~~~~~~…」

A「淡き恋 破れし者の 恨み節」

B「……………」

A「……………どういうことだ?」

B「つまり僕に振られたリツ子が僕を恨んで」

A「解説をするな!!!」


(マイクの前に戻る)


A「幽霊!!! 解説をするな!!!」

B「だって分かってなかったから」

A「実際の被害者はそんなズル出来ねえんだよ!」

B「でもわずか17文字で恋愛沙汰の事件だとは伝わったでしょ?」

A「…あなた、リツ子さんに殺されたんだって?」

B「はい」

A「じゃあ『リツ子』って書けや!!3文字で済むわ3文字で!」

B「風情がないし…」

A「それで情報量薄まったら本末転倒だろうがよ!…せめて犯人の名前が分からないケースにしてくれる?それだったらまだ五七五で遺す意義を検証できるからさ」

B「なるほど」


(再び警察官役と幽霊役に分かれる)


A「被害者は若い男性か…」

B「………」

A「これは…血文字で何か書いてある!なになに…春風と ともに去りゆく 想い人……どういうことだ?」

B「(後ろからAの肩をガシッとつかむ) ウウウ~!」

A「うわあっ!?ゆ、ゆ、幽霊!?」

B「ウウ!ウウ~!(床の別のところを指さす)」

A「えっ?(視線を落とす)……過ぎ去りし 夏の思い出 えがく夜」

B「ウウ~!(さらに別のところを指さす)」

A「秋風と ともに舞い込む ヤな知らせ」

B「ウウ~!(さらに別のところを指さす)」

A「冬になり 裏切り者が 現れる」

B「ウ…ウ…(次を探してキョロキョロする) ウウ~」

A「(Bの後頭部をはたく)17文字に収めろ!!!」


(マイクの前に戻る)


A「何?いま4, 5箇所に遺してたよね?」

B「はい」

A「当初のコンセプトは?」

B「風情を出しつつコンパクト」

A「とっ散らかってんじゃねえか!しかもだんだん雑になってった。何?『ヤな知らせ』って」

B「もう死ぬから言葉を選べなくて」

A「最初に俺言ったじゃん、死の間際に考える時間ないって」

B「でも風情はあるでしょ、『ヤな知らせ』は秋の季語」

A「ウソをつくな!秋に謝れお前!…しかも最後キョロキョロしてさ、どこに遺したか分からなくなってたよね?」

B「はい」

A「リスかお前は」

B「リスじゃないでーす!!れっきとした人間です!!!」

A「強く主張するとこ今じゃないだろ」

B「じゃあ、あと1個!最後にこのダイイングメッセージだけでも見てほしい!(手のひらに書いてBに見せる)」

A「なになに……淡き恋 破れし者の 恨み節 …最初に遺したやつじゃん」

B「よく見て」

A「なに」

B「きれいな緑色」

A「人間ですらねーじゃねえかお前!!もういいよ」

A&B「ありがとうございましたー」

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