表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

童話

ヤドカリだったころの悲しい思い出(童話)

作者: 入間秋生

冬童話2021のお題を見て思い出した、昔書いた話。


昔々僕がヤドカリだったころの悲しい話。

僕はそのころ海に住んでいた。

ヤドカリだったからね。

僕の住んでいた海は、岩場の海で色々な魚や海藻がいてにぎやかだった。

貝も豊富だったので、ヤドカリとしては引っ越しもしやすくて、良い海だったよ。

ヤドカリの生活はのんびりしている。

お腹がすいたら海草を食べ、窮屈になったら新しい貝を探し、気が向けば岩に上がって日に当たる。


ある日僕は友人(いや友ヤドカリか?)と日に当たっていた。

二匹で並んで日にあたる。

のんびりと幸せな時だった。

波の音が聞こえる。

たまに当たるシブキは暑くなった貝を適度に冷し心地よい。


その時、人の子が友人をつかみあげた。

「なんだーヤドカリだ」

子どもはそう言うと友人を海へ投げた。

僕は慌てて手足を貝にしまい、海へ転げこむ。

水面に落ちた僕は、波に流されながら静かに海底に沈んでゆく。

しばらくするとカツンと小さな音と衝撃があり、僕は海底の岩にたどり着いたことを知る。

海底を歩き、友人を探したけれど、結局友人には二度と会えなかった。


これが僕がヤドカリだったころの一番悲しい思い出。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ