・異なる×世界・〜から来た『男』〜
そんな感じで俺達は朝食をーー『いただいて』いるーー途中だった。扉を叩く音ーーって事は、客か? 俺はユリシアを見たのだった。ユリシアは面食らう。心当たりが無い様だった。
匙を置いて、立ち上がった。そして扉を開いたーー其処には、…………………………、
「おはよ〜カーズィ『サン』。良く眠れた〜?」と聞いて来たーーーーマセガキが居たのだったーーーーーーファリスがいたのだ。しかもコイツーーーーー何で連れて来たんだよ。コイツをな。
「あ、本当に居た!ひどいですよ!カーズィさん!僕は昨日『ずっと』待ってたのに!心細かったんですからね!」と。
おまえねーーーーーーー。名前の無い『男』が、言ったのだった。『お腹空いたんですよ!』と。
まあ…………………たしかに『無用心』だから………………と、コイツに金持たせて無かったけどな。そういえば。…………………………………悪かったよ。(それは忘れてたんだよ。)
結局『朝飯』専門の『飯屋』は未だ教えて無かったので、知らない『コイツ』は、ファリスん家の『食事屋』に行ったと。当然やってない。で、困ったコイツは、ファリスを叩き起こして、…………………悪かったよ、ファリス。睨むな。睨むなって。
遅く迄『開けて』る『食事屋』が、朝やってる訳無いーーだろうよ。昼からだよ。ファリスん家は。今の時間のファリスは未だ寝てる時間だよ。悪かった。だから睨むな。
二人してーーな。
優しきユリシアが『朝食』支度してくれるまで、二人して俺を『睨んで』たよ。
なあ『優男』、『飯』位ーーその辺の『女』ーーにでも『声』掛けて、『食わせて』もらえよ。お前の『顔』なら、だまされてーー嫌、『ほだされ』て、飯位ーーありつけるだろうーーよ。
案外『綺麗な』顔してんだからさ。おまえ。使えるモノは、『使え』よ。『生きた』ければーーさ。どうにも『コイツ』にはーー切羽詰まった『感』がーー感じれないんだよな。なんでなんだ?
『男』がーー『飯』を終えて、一息つくと、ユリシアに向き直って改まった。にこりと笑って、ユリシアに礼を言ったのだ。
「生き返りました。有難う御座ます。」と。ユリシアは遠慮がちに、『どういたしまして』とーーちいさく言った。
「あ~ユリシアさんはお優しいですね。それに美しい。それに『此の』家!良いですね~落ち着きます。素敵な『空間』だな。僕、『好き』ーーだな。此処。『ずっと』居たく為る。」そう、『そいつ』はーー
言ったのだ。なんだーーコイツーー瞳が輝いていた。初めて『みる』、『みせ』るーー表情だった。俺は何故だかーー苛立ちを覚えたのだった。
× × ×
「アウト×ワーカー?」
男が真顔で聞いて来たので、俺は答えた。そうだと。そして一通り説明してやった。男は『成る程』と呟いたのだった。此処は未だユリシアの家だ。こいつを案内所で登録するとして、宿屋に戻るより、此処で説明した方が、手っ取り早いと俺は思ったからだった。ユリシアに断りを入れて、俺は男に『説明』していた。ついでにーーとーー
「名前?ーーーーですかーーーー確かに。」
此の男には『名前』が必要なのだ。『登録』にもな。「取り敢えずな。」俺は言った。記憶喪失の話を事前にして登録すれば、『記憶』が戻った時、変更が効く。ま、男に記憶が戻るのは『帰れる』時になるかも知れんがな。だがしかし、『最悪』戻れない『場合』もーー考えるべきだろうーーと。
可哀想でもな。そもそも『別の』『星』から『来ちまった』やつの『話』なんてーー聞いた事がーー無い。期待はし過ぎない方がーーいい。おそらくーーな。
と、ユリシアの様子が変だった。俺が気付くと先にファリスが言ったのだった。
「ちょっといい?」と。
「『おにーさん』に『質問』ね。『帰り』たい?」と。ファリスは遠慮がちに聞いたのだった。
× × ×
「ファリス……………………………私………………………」
やはり様子の可怪しいユリシアが言った時だった。再び扉が叩かれたのは。
× × ×
扉は又俺が開けたのだった。そして其処には『子供』がーー居たのだった。此方を見上げてた。
× × ×
「こんにちは。ユリシア居るかな?」
男の子だ。俺を見上げてそう言った。ファリスより年下だなと俺は思った。ひとりか?と。親はどうしていないのだ?ろうと。
「朝は『おはよう』だぞ、坊主。親はどうした? 何で『ひとり』なんだ?」
俺はそう聞いたのだが。
「居るよ」と言った少年の後ろから、有り得ないレベルの美形の男がーー現われた。
男は『哀しい眼』をしてーー俺を見たのだった。全て見透かす様なーー眼差しだった。
子供が言った。
「お父さん。僕に任すって言ったのに。どうして出て来ちゃったの。あ~もう」と。
似てない親子だとーー俺は思った。そうしてユリシアが言ったのだ。『お兄ちゃん…………?』と。そう、とても不思議そうにーーだった。
「少年『ご苦労さま』。」
ユリシアの『兄』らしいーー『男』は言ったのだった。ファリスは気不味そうに『ヨウセイさま…………………』とだけ言った。それから物騒な事を。
「俺、『コイツ』の事『だけ』は、『ぶっ殺し』たいーーんだけど。駄目なの?」と。
「ユリ『ねーちゃん』の『仇』みたいなモンだし。よくもまあーーーーノコノコとーーーー」
ファリスは珍しくも『険悪』だった。目の前の『少年』を見てーーーーーー吐き捨てたのだ。
『殺したい』と。
逆に『子供』はーー「 物騒な『ボク』だな。駄目だよ『ボウヤ』。『言魂』って言うじゃん。『魂』宿るから『やめな』よ。いつか『自分』に『還る』よ。やだろ?それはさ。 」ーーそう言ったのだった。
綺麗な男は、子供の頭に手を置いた。哀しいままで。そして言った。
「ユリシアだったね。『思い出せる』かな。ーー」ーーそう言ったのだ。






