・アウト×ワーカー・な生き方
「親父~注文~」
店に入り席に着くなり、俺は叫んだ。何だ品書きって。んなもの有る訳無いだろよ。店員のマージーが来る。珍しいな、こんな時間から居やがるのは。
「ちょっと、『お連れさん』困ってんじゃない。もうちょっと『品』あるところ、連れてきなさいよ、全く。無神経な男ね。はい、『メニュー』ね。」
マージーが言った。『連れ』が叫んだ。「『有る』じゃないですか!」と。マージーから『品書き』を受取りながら。知らねって。初めて見たわ、出されたわ、ソレ。
そして男ーー『連れ』はばっと顔をあげて、俺を見たーー
「!! 読めません!っ、」と。
当たり前だろ? 馬鹿か? コイツは? あんたが『異世界』から『来た』と言ったんだろうが。なんで何不自由無く『読める』と思ったんだろ……………コイツは………………………
マージーがまじまじと眺めてたな。だよな。
「今日のおすすめな。あと…………」
俺は『男』の希望を適当に聞きつつ、適当に注文した。「あ、あと『ビアー』な。」と。むかつくから『飲む』事にした。男は要らないらしいので、親父特製ドリンクでいいだろうと。
つまりはこういう事だーー男はーー
「ただいま『父さ~ん』ユリシアねえちゃん連れて来たよ~ほら、ねえちゃん、入りなって。大丈夫だよ、今の時間そんなに『お客さん』いないから~恐くないよ。あ、ほら、マージー居るじゃん。マージー~ユリシアねえちゃん来た~」
食事処の倅がーー帰って来やがった。なんで此の『タイミング』なんだよおまえ……………
未だ『少年』なソイツは、後ろに『女』を連れてた。見ない顔だな?
「あれ!? カーズィさん? ひさしぶり~来てたんだ~?しばらく『いる』の?また『ごひいき』にね~な、マージー。」
倅は言った。マージーが来た。暇だからだろ。
「おかえりファリス。ユリシア、いらっしゃい。大丈夫だって『この人』は。『無害』だからさ。『乱暴者』じゃあ~ないよ。な、カーズィ『さん』。」
マージーが俺を見て『ふっ』と、笑ったのだった。誰が『無害』か。ある意味『俺程』有害な存在もーー居ないだろうに。まあ、此の場合の『意味』は違うんだろうーーな。と、俺は思ったのだが、連れの男が『立った』のだった。
椅子をがたんっ!と、鳴らしてだ。『君っ』と。ファリスの『連れ』の『女』を『見』て。
なんだよ。ーーまさか『知り合い』か? 又『異世界から来た』ーーとか言うなよな。
御免だぜ。面倒事は御前サンだけで、『間に合う』からな?
俺はそう思ったのだったーー因みに今、此処ーー『薫草亭』にはーー中途半端な時間過ぎて俺達しか居ない。貸切状態だな。さてと。
何から『話し』たら、良いんだ?
❂ ❂ ❂
「おら、『ビアー』。まったく『取りに』来やがれよ、おまえら。ほら『リー』ちゃん、ドリンク飲みな。カウンターに用意したからさ。冒険者なんざに『近付か』なくともイイぜ。ほら!ファリス!『リーちゃん』連れてきな!怯えちまうだろうが!」と、
親父は怒鳴ったのだった。冒険者なんかより、恐いんじゃねえのか?なあ?と言うか…………………『りーちゃん』てのは?
薫草亭の親父は、柄にも無く………………息子の連れて来た『お嬢ちゃん』に…………………照れて気持ち悪い顔してるが……………………………、大丈夫なのか?おい?『りーちゃん』てその子か?
困った俺はマージーを見たのだった。彼女は気付いて肩を竦めたのだった。誰だあれは?随分『気に入ってる』みたいだがーーと、俺は思ったのだった。マージーが言った。『洗濯屋だよ』と。…………………洗濯屋?って、あの?
その『洗濯屋』だと、マージーは言った。
つまり、『冒険者』には『無縁』なヤツだ。
「無縁て事は無いだろうよ。出しゃ良いじゃないか『洗濯屋』にさ。」マージーが言う。俺は言い返そうとするーーと?『女』が振り返り『声』を『掛けて』来たのだーー俺にだ。何だ?
「あの~『おにいさん』は、『アウトワーカー』さんなんですか?」と。面食らった俺はそうだと返事した。ファリスがとっとこと戻って来た。親父は中ーー厨房へ戻った。俺のオーダーが未だ来てない。作りに戻ったんだろうと、俺は思った。
女は『ごめんなさい』と言った。俺は『は?』と思う。心当たりが無い。女は説明を始めたのだった。
つまり。
昔『街』で働いてた彼女は、質の良くない『冒険者野郎』に、『暴言』吐かれて、泣き泣き『此の町』ーーつまり『田舎町』にーー移り住んだのだと。前回俺が此の町に来た時には居なかった彼女は、俺が別の街へ移動した直ぐ後くらいに、此処に来たらしい。成る程ね。良かったよ。『異世界人』とかじゃなくてな。
因みにマージーは『元』冒険者だ。別に怪我して引退したとかではない。此の町の此の店のマスターの料理の『腕前』に『惚れち』まったと。色恋は抜きだがな。マージーはウエイトレスを『本業』にした、兼業『アウト×ワーカー』に転職しただけだ。
まあ俺と『似たような』ものか。俺も兼業といえば、兼業だ。勿論『本業』はアウトワーカーだが、『材料』入手するには、『人任せ』は手間なんだよ。
「成る程ね。俺は『カーズィ』てんだ。よろしくなお嬢サン。『ユリシア』だっけ? 『仕事』も『受ける』ぜ。『カクテル』なんてどうだ? 『女子』に人気だろ?」
俺はニヤッと笑ったのだった。ほんの少し前にも似たようなやり取りをーーしたが、カクテルは薦めなかったな。俺は横の男を見た。男はその時、俺にこう言ったのだ。
「こんにちは~『ユリシア』さん。ちょっといいですか? 僕ね、なんとなく貴女に『見覚え』が『在る』ーーみたいで。あ、僕ね、『記憶』失くしちゃってて。困りますよね。全くね。」
おまえーーさっきから『進歩』してねーな…………………と、俺は思ったのだった。そう、
此の『異世界野郎』は、自分の名前がわからない、『困ったちゃん』だったのだーーーー『帰れ!』と言えねーーーーーーーー此の『ツラサ』理解るーーーーーーーーか?此の『町』の『名』は『カンミ』ーーーー『冒険者職業案内所』在るーー割りかし利便性の有る『町』だ。飯も旨いしな。確かに主要街道から外れててだな、その為か良く『田舎』町と言う奴等も居るーーが、それ程寂れちゃいない。『カラサ』や『ミカク』に比べりゃ小さい『町』だがな。悪くない町だ。何より『仕事』が『豊富』だからだ。俺は此の町が気に入っていた。そんな『町』でのーー『出来事』だったのだ。『此の話』はな。
その日暮らしの『連中』を、いつしか誰かが『冒険者』と呼んだ。其れ等は『アウト・ワーカーズ』として定着した。『外』で『仕事』する『連中』だから、『アウト』『ワーカー』。案内所が出来たのは、ずっと後の事らしい。
俺は『調合師』だ。薬草やら香辛料やら何でも御座れ。得意分野は『アルコール』だ。強いて言うなら『アルコール・ポーション』だな。は?アルコール・ポーションがわからない?なんでだ? はあ? おまえの『星』には『無い』のかよ?
可哀想な『星』だな、其れ。え? 『アルコール』は有る訳?
じゃあ何で『ポーション』が無いんだよ? 名無し君さ。仮名付けないと、やりづらいな、此れ。なんか考えるかーー全く『面倒事』だぜ。
兎にも角にも俺は『しばらく』、名無しの迷子野郎を『保護』する事とーー成ったのだった。
自警団の警邏見付けて引き渡したら、断られたんだよ!『ははは、カーズィさん。分かったけど「預かって」。』とな。
『「見捨て」て「死なれ」たら、』「目覚め悪いでしょう?カーズィさんてば。♪」と。
ーーーーーーーー『依頼』と受け取るぜ?自警団め。団長に請求書出したるわ。待っとけ。
俺の気も知らん迷子は『ユリシア』にニコリと笑ったのだった。優男は『得』だな、おい。珍しくもマージーが白惜しかったのだった。ついでに飯代まけてやれよ、マージー。そいつ『文無し』だからさ。
取り敢えず明日にでも『男』を『アウトワーカー』登録してやる。覚悟しとけや、優男。
『材料』『採取』手伝わせるからな。俺はそう思ったのだった。
だから気付かなかった。『ファリス』の『視線』にはーーだ。其のーー意味も。
こんにちは。とーーいう訳で、『調合師』ブレンド×メーカーの『お話』が始まりました~
さて、どうなるのか。ご来店有難う御座ます。ではでは///m(_ _)m
あ、良く見掛けるゲームや本とは違う『オリジナル』な表現が多目になりそうな気がしますーーが、雰囲気で察して解釈いただけると、幸いに思います。m(_ _)m