episode6 『元』英雄の霊装
「暑いな…」
ここはウルナ大森林。
王都から近い、初心者のよく入る森林だ。
「ここら辺に依頼されている薬草が…っと、これだな。」
そう独り言をこぼしながら俺は足元にあった薬草を摘む。
すると、
「だっ、誰かぁ〜!」
と声が聞こえた。
「えぇ…まあ、行ってみるかあ。」
俺が声のする方向へ駆けつけると、
それはそれは美人な女性がジャイアントワームに襲われていた。
「ほぉー、ジャイアントワームかぁ、それじゃ、【鑑定】っと。」
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・ジャイアントワーム
スキル:【感知】【溶解液】
ジャイアントワームは、獲物を地中で感知を使って探し、溶解液で獲物を溶かして捕食する。
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まあ、鑑定でこんだけ出れば十分か。
そんなことを考えていると、女性が情けない声で、
「助けてくださぁ〜い」
とその女性がいうと、
ワームはこちらに気づいたのか、
「キシャァァァァァァ!」
と、叫んだので
おれは【奪取】を使いつつナイフをワームに押し当て前進し、干物のように開きにした。
「それにしてもこのナイフの切れ味は想像以上だな。」
と言いながら女性に近づくと、
「助けてくださりありがとうございます。
私は光属性の魔術師のセレナと言います。
このご恩は忘れません。いつかお返しさせてくださいね?」
と言い、セレナさんはそそくさと森を出て行ってしまった。
◆◆◆
俺は森の中で先程手に入れたスキルの能力を確かめようとしている。
まずは、
「【探知】!」
すると、だいたい半径500mぐらいの範囲に赤い点がちらほらある画像が、頭に直接映し出された。
「おお、なかなか便利な能力じゃないか。」
次は、【溶解液】だな。
「【溶解液】!」
すると、手の数センチ前から黄緑色の液体が放出されて、目の前の木の幹を溶かし、倒した。
「…………」
だめだな。酸性が強すぎるからこれはお蔵入りだ。
……あれ、ワームの死体ってどうしたっけ。
あ、もしかして…
俺は急いで駆けつけたが、間に合わなかった。
俺が着いた頃にはすでに、ワームの死体から出た溶解液が周りの地面や木々を溶かし、中くらいのクレーターを作ってしまっていた。
急いで死体をアイテムボックスにしまい、俺はそそくさと森を出た。
あ、そうだ。
せっかくだからグリードにあのこと聞いてみるか。
「おーい、グリード?」
《なんだぁ?聞きたいことでもあんのか?》
「おう、【霊装】について聞きたいんだが。」
《あー、そうか。七罪の使徒で霊装使えないのお前だけだもんな。》
「いや、ほんとお恥ずかしい限りです。」
《そりゃそうと、お前は幻刻者だから闘霊武装からしか使えんぞ?》
「それでもいいから使いたいんだ。頼む!」
《わーったよ。【闘霊武装】威業って唱えりゃ使える。やってみろ。》
「おう!ありがとな。早速やってみるよ。」
嬉しすぎて、年甲斐にもなくはしゃいでしまった。
「行くぞ!【闘霊武装】威業ッ!」
そう唱えると、体の中の魔力が持っていかれる感覚がして、右手に赤黒い刃の一振りの刀が現れた。
「おお!刀か!かっこいいなぁ!」
そう言いながら鞘から刀を抜き、一振りすると…
「ゴゥッ!」
「え?…」
近くの草原が黒く焦げて更地になった。
というか、消し炭になった。
「これやばくね?え?おい、グリード!」
《知らん、お前が使いたいって言ったんだろ。》
正論をぶちかまされてしまった。
「これの属性って、炎なのか?」
《いや、炎じゃないな。強いて言うなら『黒』と言ったところだろうな。》
「『黒』…。闇とは違うっぽいな。」
《ま、俺の固有の属性だからな》
「おい、今なんか重要なこと言わなかったか?」
《ん?何のことやら…》
そんなこんなで俺は宿への道を辿った。
【ちょっと小話】
ジャイアントワームは名前の通りだいたい8mぐらいの巨大なワームで、実は希少種。
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